Project/Area Number |
23K21011
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Project/Area Number (Other) |
21H01560 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25010:Social systems engineering-related
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Research Institution | Kyoto University (2022-2024) University of Tsukuba (2021) |
Principal Investigator |
金澤 輝代士 京都大学, 理学研究科, 准教授 (50759256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 創祐 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00771221)
佐野 幸恵 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60580206)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 金融 / マーケットマイクロストラクチャ / 経済物理学 / HFT / 金融データ解析 / 金融ミクロデータ分析 / データ解析 / 長期記憶過程 / LMFモデル / エージェントベースモデル / 平均場ゲーム理論 / 高頻度金融データ解析 / 流動性 / 確率過程 / 最適輸送 |
Outline of Research at the Start |
近年、金融市場では高頻度データが利用可能になり、市場の生態系が非常に高い制度で理解可能になって来た。また、電子取引が発達した結果として高頻度トレーダー(high-frequency traders, HFT)と呼ばれるAIトレーダーが非常に活発に取引に参加していることが報告されている。そこで本研究では東京証券取引所におけるミクロデータを活用することで、HFTの戦略生態系と、その結果として市場流動性がどう影響を受けているかをデータ解析と理論解析の両面から分析する。更にはHFTなどの行動を数理的に記述するエージェントべースモデルを提案し、市場の流動性シミュレーターを構築する事を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は金融市場におけるトレーダー,特に高頻度トレーダー(high-frequency traders, HFT)の行動を実データから分析し,流動性への影響を調査することである.また東京証券取引所のミクロデータ分析を通じてわかったトレーダーの取引戦略をエージェントベースモデル(agent-based model, ABM)に組み込むことで,市場をシミュレーションすることを目指す. 本年度はLillo-Mike-Farmer (LMF)モデルの観点から,トレーダーの注文分割行動についての研究を完成させることに注力した.LMFモデルは成行注文を通じた流動性消費行動のモデルである.LMFモデルは特に大口注文分割行動に焦点を当てたモデルである.金融実務において,大口注文を執行したい機関投資家は注文分割を行うと言われている.この注文分割行動の結果として,成行注文における符号(買いを+1,売りを-1と符号化する)は弱い予測可能性を持つ,と言われている.LMF理論はこの性質を定量的に整理し,検証可能な予言を提唱していた.具体的には,成行注文の符号自己相関関数の漸近的挙動を特徴づけるベキ指数が,注文分割回数のべき指数と直接関係することを主張していた. 本研究ではこの予言をミクロデータ分析を通じて実証した.更に結果を論文としてまとめ,物理トップ誌のPhysical Review Letters誌に投稿した.査読結果としてMinor revisionであることがわかったため,論文改訂を通じて今後出版に漕ぎ着けることを予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
LMFモデルは2005年に提案された古いモデルであり,分野では確立されたモデルと看做されている.一方で,本モデルの予言を検証するためには個々のトレーダーの注文行動を分析可能なミクロデータが必要であり,実データ分析を通じた検証は未解決問題だった.本問題を肯定的に解決する論文を無事投稿することが出来,更には物理学のトップ誌であるPhysical Review Lettersでminor revisionの査読結果を得たことは非常に良い進展だと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
現在Physical Review Letters誌に投稿中の論文については,査読結果を反映させて再投稿を行う必要がある.これを次年度中に確実に行うことを目指す. 次に,大口注文を行った時のマーケットインパクト(MI)の平方根則について研究を行う.MIとは成行注文を行った時に発生する価格変化を指す.金融実務において,MIの平方根則は重要な問題として認識されている.多くのモデルはMIは注文量について線形であることを予言する(例えば金融経済学でのKyleモデルなど).しかし,実際に実務的に成行注文を大量に行った時,価格変化は非線形に応答し,平方根則に従うことが経験的に知られている(つまり,注文量をQと書くと,MI∝Q^{1/2}).この法則が意味することは,市場は大口注文の発注に対して強いレジリエンスを示すということである.このレジリエンスは何故生じているのだろうか?これが分野として大きな問題になっている.特に申請者はこの市場のレジリエンスと,HFTの取引戦略との関係に興味がある. そこで次年度は,MIの平方根則について詳細なデータ分析を行う.東京証券取引所のミクロデータ分析を通じて,東京証券取引所でも平方根則が本当に実現しているか,そしてその精度はどの程度正確であるかを統計分析する.また,平方根則の比例係数はある種の新たな流動性指標として捉えることが出来るか,研究する.そしてその係数がどういう要因によって決まっているか,特にHFTの行動特性とどのように相関を持つかについて,探索研究を行う.
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