Project/Area Number |
23K21121
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Project/Area Number (Other) |
21H01953 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2024) Osaka Prefecture University (2021) |
Principal Investigator |
亀尾 肇 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50597218)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
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Keywords | 錯体化学 / 結合活性化 / 触媒 / パラジウム / クロスカップリング / 錯体触媒 / ケイ素-メチル結合活性化 / カップリング反応 / 有機ケイ素化合物 / シラノール / 無機化学 / 触媒反応 |
Outline of Research at the Start |
有機ケイ素化合物の用途は、農薬、医薬品、機能性材料まで多岐に渡る。これら多くの有機ケイ素化合物の主骨格は、強固なケイ素-酸素結合やケイ素-炭素結合により構築されており、一般的に高い安定性を有する。一方、これらの結合を触媒的に変換できれば、高効率な変換が実現できるだけでなく、全く新しい有機ケイ素分子の創製も可能となる。しかしながら、強固なケイ素-酸素結合やケイ素-炭素結合の触媒的な切断を鍵とする触媒反応はこれまでにほとんど達成されていない。本研究では、それらの反応を基盤とすることで、高付加価値有機ケイ素化合物の効率的な合成手法の創製を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでホスフィン配向基を用いることで、強固なケイ素-フッ素、ケイ素-酸素、ケイ素-メチル結合の切断を経る触媒的なカップリング反応を実現してきた。一方、ホスフィン配向基を有する生成物の用途は、触媒反応配位子などに限られる。そこで、本年度では、合成的な観点を取り入れて、これまでの触媒反応の開発で得た知見を基に、安価なクロロシランから高付加価値なシラノールへの変換プロセスの確立に取り組んだ。まず、安価なトリメチルクロロシランを出発原料として、そのケイ素-メチル結合を触媒的に変換することで、異なるアルキル置換基を有するシラノールへと変換する合成プロセスについて検討した。トリメチルクロロシランにホスフィン配向基 "o-(ジフェニルホスフィノ)フェニル基" を導入したのち、申請者らが開発した触媒的なカップリング反応を適用することで、トリメチルクロロシラン由来の二つのケイ素-メチル結合が段階的にアルキル化されることを見出した。さらに、既報のケイ素-アリール結合のヒドロキシル化 (Akiyama, T. et al. Bull. Chem . Soc. Jpn. 2008, 81, 623) を参考に、触媒反応生成物のヒドロキシル化反応を検討することで、ホスフィン配向基の脱離により、シラノールへの変換が達成された。反応全体としては、トリメチルクロロシランから、異なるアルキル置換基を有するシラノールへの変換を四段階にて実現した。得られるシラノールは、機能性材料、創薬、農薬のビルディングブロックになる高付加価値の化合物群である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、昨年度までに開発してきたケイ素-メチル結合の触媒的変換法を基盤とすることで、安価なトリメチルクロロシランから高付加価値なシラノールへの変換プロセスを実現できた。これらの成果は、多様なメチルシランやアルコキシシランを高付加価値なシラノールへと変換するための基盤的知見となるものであり、有機ケイ素化合物の新しい合成戦略を提供するものと考えている。これらの研究成果から、本研究課題には大きな進展があったと判断できる。このため、研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
クロロトリメチルシランから異なるアルキル置換基を有するシラノールへの変換を四段階で実現したものの、各段階の単離収率が低い。特に触媒反応での生成物の収率の改善が重要な課題となっている。これらの課題を解決するため、パラジウムおよびニッケルを中心とする錯体触媒のスクリーニング、ルイス酸などの添加剤やアルキル化剤を精査することで、高効率な触媒的変換を実現する。その最適化と並行して、テトラメトキシシランやエトキシランからの、四置換シラノールの合成法も検討する。近年、これらのテトラアルコキシシランは二酸化ケイ素からの効率的直接合成が実現されつつあり、それらの四置換シラノールへと変換できれば、機能性材料の新しい合成戦略となりうる。今後、テトラアルコキシシランへの配向基導入と、それに続くケイ素-炭素結合の選択的な変換について、高い水準で実現できるように精査する。さらに、得られた生成物からシラノールへの変換法を確立して、短工程での高付加価値化合物への変換を達成する。
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