Project/Area Number |
23K21166
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Project/Area Number (Other) |
21H02099 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
折田 和泉 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (70525964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 輝光 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40452023)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | C1化合物 / メタノール / メタン / 実験室進化 / メタノール資化性菌 / ポリヒドロキシアルカン酸 / メチロトローフ / 代謝改変 |
Outline of Research at the Start |
メタンやメタノールといったC1化合物はカーボンリサイクルの観点から近年特に注目されている。本研究は、このようなC1化合物を単一炭素源・エネルギー源として生育可能なC1微生物を育種することで有用物質生産能力を高めることを目的としている。これまでに、高濃度メタノール条件下でC1微生物を植え継ぐ実験室進化により高濃度メタノール耐性株を取得し、単離株の全ゲノム解析を行った。また、転写のタイミングを調節できる転写スイッチの利用により、メタノール培地で生育中に蓄積する微生物産生生分解性プラスチックのモノマー組成を改善した。今後、実験室進化株に転写スイッチを適用するなど更なる物質生産能向上を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
未来型資源といわれるメタンやメタノールなどのC1化合物を単一炭素源として生育可能なC1微生物を研究対象とし、高濃度メタノール生育能付与や転写スイッチの利用といった代謝改変と制御により、C1化合物を原料にしたものづくりの基盤を構築することを目的としている。 2023年度は、2022年度までに取得していたMethylorubrum extorquensの高濃度メタノール耐性実験室進化株の全ゲノムリシーケンスの結果から責任遺伝子を予想し、解析を進めた。実験室進化株に見出された変異を実験室進化の親株に導入し、高濃度メタノール添加条件下で培養した。その結果、親株と比較して良好な生育能を示したが、その生育速度は実験室進化株より顕著に遅く、高濃度メタノール耐性への寄与は部分的であることが示された。得られた実験室進化株について、高濃度メタノール添加条件で培養し、物質生産のターゲットとしている微生物産生生分解性プラスチック、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の蓄積量を測定したところ、親株と比較して2倍程度増加していた。 また、2022年度までに構築したM. extorquens代謝改変株を宿主として、PHAモノマー前駆体を供給する酵素遺伝子発現のタイミングを転写スイッチを用いて検討した。培養開始時に当該遺伝子の発現を誘導したところ、生育が著しく阻害された。一方で、生育後に誘導した際には、PHAの第二、第三モノマー分率が非誘導の株と比較して5倍程度増加していた。今後、実験室進化株内で同様に転写スイッチによるPHAモノマー分率の制御を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルメタノール資化性菌Methylorubrum extorquensの実験室進化については、最終的に200回植継ぎ、植継ぎ回数が増えるに従って高濃度メタノール耐性能が強化されている。このことから、今後、物質生産の宿主としての応用利用が期待できる。また、10回、100回植継ぎ株については全ゲノムリシーケンスを実施し、解析を進めている。これまでのところ、決定的な責任遺伝子の同定には至っていないが、引き続き解析を行っていくことで、アルコール耐性について重要な知見が得られる可能性がある。また、誘導剤添加により遺伝子発現のタイミングを変えることが可能な転写スイッチを利用することで、メタノール培養した菌体が生成するポリヒドロキシアルカン酸のモノマー組成を劇的に変化させることに成功した。従って、当初の目的であった高濃度メタノール耐性能の付与とPHAモノマー組成の制御が順調に進んでいるため、おおむね順調に進展していると結論付けた。 一方で、メタンを原料にした物質生産については、メタン資化性菌の培養条件は検討できたものの、予定しているシグマ因子のランダム変異が成功していない。最終年度にランダム変位ライブラリーを構築し、スクリーニングを実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
Methylorubrum extorquensの育種では、これまでに高濃度メタノール耐性菌の取得と転写スイッチによるポリヒドロキシアルカン酸モノマー組成の制御に成功している。最終年度は、高濃度メタノール耐性菌内で転写スイッチを動かすことで、ポリヒドロキシアルカン酸の蓄積率とモノマー組成の大幅な改善を目指したい。また、代謝改変株の解析から、これまでメタノール生育時には機能していないとされていたTCA回路が回転し、脱炭酸されている可能性が考えられた。TCA回路を遮断することで物質生産能の向上が見込まれることから、TCA回路の制御を試みる。 一方で、メタンを原料にした物質生産については、メタン資化性菌のシグマ因子のランダム変異を予定しているが、ランダム変異ライブラリーの取得に至っていない。早急にライブラリーを構築し、メタンまたメタノールを添加した培地で良好に生育する株のスクリーニングまで行いたい。
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