Project/Area Number |
23K21173
|
Project/Area Number (Other) |
21H02119 (2021-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38030:Applied biochemistry-related
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
黒木 勝久 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20647036)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 秀美 宮崎大学, 農学部, 教授 (80508549)
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 教授 (90295197)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | 硫酸化 / 酸化ストレス / α,β-不飽和カルボニル / a,b-不飽和カルボニル / NAPQI / 発現定量 / SULT / 内分泌ホルモン |
Outline of Research at the Start |
生体が酸化ストレスにさらされると、ホルモンなどの生体機能調節分子はα,β-不飽和カルボニル化を受け、細胞毒性を持つようになり、パーキンソン病やがん、肝障害、生活習慣病の原因となる。研究代表者は、これまでにα,β-不飽和カルボニル化合物の新たな代謝機構として、硫酸化を見出し、その機能解明を行ってきた。本研究では、生体が備える酸化ストレスに対する防御機構としてのα,β-不飽和カルボニル化合物の硫酸化代謝の生理的意義を明らかにすることを目的とする。本成果は、様々な現代病の予防対策や治療への応用が期待できる
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「硫酸化を受けるa,b-不飽和カルボニル化合物の探索その硫酸化代謝解析」と「酸化ストレスによるSULTの発現変動」を実施した。 ①硫酸化を受ける新たなa,b-不飽和カルボニル化合物の探索と代謝解析:カテコールアミンキノンとエストロゲンキノンをチロシナーゼにより合成し、酵素的硫酸化を確認できた。NAPQI硫酸化のKinetics解析を行い、SULT1C4が最も触媒効率の高い酵素であった。HepG2細胞におけるNAPQI代謝をLC-MSで解析した結果、NAPQI硫酸体の高いシグナルが検出でき、細胞内でのNAPQI代謝に硫酸化も寄与することが明らかとなった。さらに、細胞毒性試験の結果、SULT1C4を強発現した細胞ではNAPQIの毒性が大幅に減少し、硫酸化による解毒作用を確認できた。次に、ヒト臓器のLysareを用いた試験では、小腸の方が一番強い強い活性を示した。デジタルPCRを用いた発現解析の結果、肝臓と比較して、SULT1A3の小腸発現が高い結果となったことから、生体内ではSULT1A3がNAPQIの硫酸化を担っていることが想定された。 ②酸化と親電子ストレスによるSULTの発現変動解析:酸化ストレス下でのSULT発現変動を正確に解析するため、デジタルPCRによるmRNAの絶対定量解析の準備を整えた。過酸化水素処理によるSULTのタンパク質発現は定量質量分析法(MRM法)にて確認した。その結果、SULT1A3とSULT1C4の強い発現増強が確認できた。特に、SULT1C4は未処理のHepG2細胞ではほとんど発現が確認できなかったが、過酸化水素処理によって20-30倍近い発現が確認できた。SULT1C4は生体内での発現臓器が良く分かっていない酵素であることから、酸化ストレス刺激下で特異的に発現誘導される酵素である可能性が想定された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①硫酸化を受ける新たなa,b-不飽和カルボニル化合物の探索と代謝解析 アドレノクロム、NAPQI、ニコチンアミド、カテコールアミン、エストロゲンの5種類の酸化代謝物であるa,b-不飽和カルボニル化合物の酵素的な硫酸化を確認した。NAPQIの硫酸化に関して詳細に解析した結果、3つの触媒酵素を見出すことが出来、特にSULT1C4の触媒作用が最も強かった。NAPQI硫酸化代謝物をHPLCおよび質量分析計でも確認し、さらにHepG2細胞における代謝解析の結果も明らかに出来た。さらに、その硫酸化はNAPQIの解毒代謝機構を有していることを明らかにした。当初予定の他のa,b-不飽和カルボニル化合物に対しても現在、硫酸化活性解析を進めているところであり、この項目はおおむね順調に進んでいると判断した。 ②酸化と親電子ストレスによるSULTの発現変動解析 最適なprobeを見出したSULTのリアルタイムPCRによる定量解析の予備試験の結果、2-3倍程度以上の発現量の変化でないと正確に定量解析できなかったことから、当初予定と変更して、デジタルPCRによる絶対定量解析に変更した。予備試験の結果、1.2倍程度でも優位に発現変動を定量可能であることから、現在、酸化ストレス下でのSULTの発現誘導試験を行っている。タンパク質発現は定量質量分析法にて、15種類のSULTの発現変動の解析条件を確立することが出来た。ヒトの3種類の細胞を用いてMRMによる発現定量解析を行い、十分にその発現変動を解析できることを、8種類の核内受容体刺激薬を用いた実験で、明らかにすることが出来た。さらに、過酸化処理によって発現変動するSULTを見出すことが出来たことから、本項目もおおむね順調に進んでいると判断した。 以上の①と②の研究項目の進捗状況・達成度合いを総合すると、おおむね順調とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
a,b-不飽和カルボニル化合物の硫酸化を介した酸化ストレス防御機構とその生理的意義の解明を目的とし、本年度は、「a,b-不飽和カルボニル化合物の硫酸化代謝解析と生理的意義」、「親電子ストレスによるSULTの発現変動」、そして、「マウスを用いたストレス防御機構としての硫酸化の生理機能解析」を実施する。 ①a,b-不飽和カルボニル化合物の硫酸化代謝解析と機能解析:カテコールアミン酸化代謝物、エストロゲンキノン、ポリフェノールキノン硫酸化のin vivo硫酸化を検討するため、肝臓や小腸の臓器lysateを用いた解析の他、LC-MSを用いた肝臓細胞における硫酸化代謝解析と硫酸化による細胞毒性の解析を進める。また、親電子化合物によるシステイン修飾の影響を蛍光電気泳動法により解析する。 ②親電子ストレスによるSULTの発現変動解析:a,b-不飽和カルボニル化合物添加による親電子ストレス下での培養細胞におけるSULTの発現解析をmRNAおよびタンパク質レベルで評価する。mRNA発現はデジタルPCRによる絶対定量解析を行い、タンパク質発現は三連四重極型質量分析計を用いた定量質量分析法(MRM: Multiple Reaction Monitoring)にて、15種類のヒトSULTの発現変動を解析する。 ③マウスを用いたストレス防御機構としての硫酸化の生理機能解析:in vivoにおけるアセトアミノフェン酸化代謝物 (NAPQI:N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン)の硫酸化の意義を解析するため、NAPQI硫酸化酵素の遺伝子ノックダウン実験を行い、NAPQIの代謝における硫酸化の意義を解析する。
|