火山性酸性河川の列島縦断調査による地表化学合成生態系の成立条件解明
Project/Area Number |
23K21338
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Project/Area Number (Other) |
21H02561 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
岩田 智也 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50362075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 一三 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 外来研究員 (20167505)
野田 悟子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (80342830)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | 火山性酸性河川 / 化学合成生態系 / 水生昆虫 / 共生 / 食物網 |
Outline of Research at the Start |
本研究は火山フロントに沿って火山性酸性河川の広域縦断調査を行い、希少な化学合成食物網の成立を支配する生物地球化学的および生態学的要因を明らかにすることを目的としている。現在、九州から北海道にかけて約50河川での野外調査を完了しており、安定同位体およびFAME分析による食物網解析と微生物群集解析および生物地球化学的分析を進めている。これにより、地表における化学合成生態系の存立基盤の全容解明と、地圏エネルギーが陸上生態系の捕食者群集にまで到達する地圏-水圏-陸圏の食物網リンケージを明らかにする予定である。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い実施が遅れていた2021年度計画の野外調査と合わせ、主に東北から中部地域の19の火山性河川(恐山、酸ヶ湯温泉、岩手山、須川温泉、川原毛地獄、鬼首温泉、安達太良山、吾妻山、万座温泉)において広域縦断調査を実施した。 調査の結果、火山活動や温泉の特性によって河川の物理化学環境が大きく異なることが明らかとなった。また、河床の微生物群集と底生動物群集の構造も河川環境によって大きく変化し、微生物では硫化水素に依存した光合成細菌の存在も確認された。底生動物群集ではスカユオナシカワゲラやコウノオナシカワゲラ、ユスリカ属の一種のいずれかの分類群が河川ごとに特異的に優占する特徴がみられ、その違いは主に水温やpH、硫化水素濃度の変化と対応していることも明らかとなった。さらに、これら優占種群が卓越する底生動物群集がきわめて高密度に分布している河川も確認することができた。このことは、底生動物の高い二次生産を支える栄養基盤が火山性河川に存在している可能性を示している。 また、秋田県玉川温泉で実施した定期調査ではスカユオナシカワゲラの生活史と発生・成長過程が、大分県別府温泉の硫酸酸性河川(平田川水系)の採取試料に対して実施した分析ではサンユスリカ類が高密度に分布する特徴的な群集が成立しており、食物連鎖としては細菌類,ユスリカ幼虫,シオヤトンボの極めて単調な食物網が卓越している可能性が明らかとなった。以上より、火山性河川には特徴的な生物群集の成立を支配する生物地球化学的および生態学的要因が存在していることが本年度の調査で明らかとなったことから、今後は河川食物網を支える栄養転送経路と宿主-微生物共生系について解析を進め、地表における化学合成生態系の存立基盤の全容解明を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度には新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の発令に伴い、予定していた調査を行うことができなかった。そのため、2022年度には両年度に予定していた調査を集中的に行った。野外調査は予定通り実施することができたが、調査地点が増えたことからサンプルおよび解析に想定以上の時間を要している。そのため、2022年度においても進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、主に北海道、中部、九州地域において野外調査を実施し、日本列島全域を網羅するように調査地点を設定する。とくに、進捗が遅れている試料分析(安定同位体分析、脂肪酸分析、微生物群集解析)とデータ解析を推し進め、火山性酸性河川の生物群集の構造と栄養基盤および共生システムについて、広域的なパターンを解明していく予定である。また、成果の発表も精力的に行っていきたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)