Project/Area Number |
23K21343
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Project/Area Number (Other) |
21H02568 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮竹 貴久 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80332790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 智史 玉川大学, 農学部, 教授 (20547781)
佐々木 謙 玉川大学, 農学部, 教授 (40387353)
天竺桂 弘子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80434190)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | ゲノム行動生態学 / 死んだふり / 生物の動き / ドーパミン / 死にまね / RNA干渉 / ゲノム編集 / 不動 / ノックダウン / 行動と個体群 / 行動と群集 / コクヌストモドキ / RNA-seq解析 |
Outline of Research at the Start |
本研究の概要は、ゲノムに制御される生理活性物質の個体変異を明らかにし、個体レベルの自然選択や性選択に及ぼす影響まで解析することである。動植物を問わず生物の基本的な多くの行動は「動き」に集約される。対捕食者戦略(自然選択)や繁殖戦略(性選択)を司る基礎的な行動形質の多くは「生物の動き」によって決まる。「動き」をつかさどる遺伝生理・ゲノム基盤が、生物個体の適応度と個体間相互作用(対捕食者戦略、交尾戦略)にどう関わるのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、チロシン代謝系のドーパミン関連遺伝子であるHPDをRAN干渉実験によってノックダウンすることに成功した。そしてHPDをノックダウンしたコクヌストモドキのロング系統は、コントロールとして水、vermilion (ver),GFPをインジェクションしたコクヌストモドキのロング系統に比べて、死んだふりの持続時間が有意に短くなった。これはHPDの機能を停止することで、代謝系の流れがチロシンからDOPAを介してドーパミンの合成に移行したことを示唆しており、そのため死んだふり持続時間が短くなったものと考えられる。さらにHPDをノックダウンしたコクヌストモドキのロング系統のコクヌストモドキとコントロールのコクヌストモドキを一緒のシャーレに入れて、捕食者であるアダンソンハエトリを入れると有意にノックダウン系統がハエトリグモの攻撃を多く受けて、さらに捕食された割合もコントロールに比べてノックダウン系統が有意に高い結果が得られた。この結果は、クリプトクローム解析の結果、死んだふりの持続時間が多くの数の遺伝子で支配されるポリジーン形質であるにもかかわらず、ドーパミン代謝系の一つの遺伝子をノックダウンすることで、生存率における適応度まで有意に変化することを明らかにしたことから、ゲノム行動生態学を確立できた画期的な結果だと言える。 また日本全国に生息するコクヌストモドキを各地から採集して、その死んだふり持続時間と繁殖形質も比較したところ、これらの形質には地理的なクラインが見られることもわかった。今後は、さらに捕食者相のデータ解析も行い、HPDと対をなすNATの遺伝子をノックダウンした個体の作成も行い、適応度に及ぼす影響を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ドーパミン代謝系のHPDをノックダウンしたコクヌストモドキのロング系統は、コントロールとして水、vermilion (ver),GFPをインジェクションしたコクヌストモドキのロング系統に比べて、死んだふりの持続時間が有意に短くなった。これはHPDの機能を停止することで、代謝系の流れがチロシンからDOPAを介してドーパミンの合成に移行したことを示唆しており、そのため死んだふり持続時間が短くなったものと考えられる。さらにHPDをノックダウンしたコクヌストモドキのロング系統のコクヌストモドキとコントロールのコクヌストモドキを一緒のシャーレに入れて、捕食者であるアダンソンハエトリを入れると有意にノックダウン系統がハエトリグモの攻撃を多く受けて、さらに捕食された割合もコントロールに比べてノックダウン系統が有意に高い結果が得られた。ポリジーンメカニズムでも、代謝経路の1個の遺伝子のKDで捕食回避という適応度に影響する結果が得られたことは当初計画していた以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、・HPDのKDを頭部と胸部で行い、その際にNATなどの発現も見る。リアルタイム定量PCRは1) KD時の標的遺伝子(この場合はHPD) の発現低下を確認するため、2) 標的遺伝子以外の発現変動を部位ごとに調べるため (NADなど) という2つの目的で行う。そして、頭部と胸部の発現を見るために、無処理区と処理後2日後(行動アッセイをしていた条件)の2区に絞って、2個体あるいは3個体分の頭・胸部をそれぞれ1サンプルとして抽出する。両区とも繰り返し数は5回とする。さらにNATのノックダウンを行う。siRNAを設計するのであれば、遺伝子組み換えを要するdsRNA作成の必要がなくなる。先行研究論文を参考にしてsiRNAを設計し、岡山大でinjection (RNAi) から定量PCR・行動アッセイをしてもらうという流れで行う。また、アミン計測用のRNAiサンプルも準備し、玉川大でアミン計測をで行う。ノックダウン個体の脳内ドーパミン量を定量する。NATとHPDの二つをKDを目標とする。そしてNATおよびNATとHPDのノックダウン個体の死にまね時間と捕食回避行動も見て、ゲノム行動生態学の先駆け的研究を行う。
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