Project/Area Number |
23K21391
|
Project/Area Number (Other) |
21H02791 (2021-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
竹田 和由 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (80272821)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
|
Keywords | 癌 / 抗腫瘍免疫 / 遺伝子変異 / 癌微小環境 / 免疫抑制 / 免疫チェックポイント阻害剤 / IL-12 / cold tumor / inflamed / EPS-R1 / CCR6 / CCL20 / 免疫チェックポイント抑制剤 / IFN-γ / グリセロール3リン酸 / MDSCs / monocytic MDSCs / polymorphonuclear MDSCs |
Outline of Research at the Start |
免疫チェックポイント阻害薬の臨床効果が限定的である原因は、免疫治療抵抗性株の出現と癌組織内での癌特異的免疫の疲弊によると考えられる。申請者は、癌微小環境で抗腫瘍免疫反応に応答して癌細胞の遺伝子不安定性が増強し、癌細胞にゲノムレベルで新たな変異が誘導され抗腫瘍免疫抵抗性となることを世界で初めて報告した。さらに未発表ではあるが、癌特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が疲弊の後に免疫抑制能を獲得することを見出している。癌細胞と抗腫瘍免疫の癌微小環境内でのクロストークに着目し、その結果として誘導される癌細胞の遺伝子変異と癌特異的CTLの免疫抑制能の獲得を関連付けて解析し、この分子機構の解明を目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、癌微小環境で抗腫瘍免疫に応答して癌細胞にゲノムレベルで新たな変異が誘導され抗腫瘍免疫抵抗性となること(cancer genome immunoediting) (Nature Comm.3017:8:14607)、および癌特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が疲弊の後に免疫抑制能を獲得するという申請者の2つの発見に基づき、癌細胞と抗腫瘍免疫のクロストークにより誘導される癌細胞と免疫細胞の変化を解析し、その分子機構を明らかにすることを目的としている。昨年度は、乳酸菌OLL1073R-1の代謝物である多糖体EPS-R1の経口摂取で誘導されるCCR6+ CD8+ T細胞が、CCL20を産生する癌組織内に浸潤した後にIFN-γを産生することによりcold tumor内にinflamedな癌微小環境を構築し、その結果、免疫チェックポイント抑制剤(抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体)の抗腫瘍効果を増強することを報告した。 今年度は、申請者が以前研究していたIL-12(J.Immunol.161:1901-1907.1998,J.Exp.Med.189:1121-1127.1999)の副作用を減弱しつつ抗腫瘍効果を高める手法として、酸性の腫瘍内微小環境でのみ活性を発揮するIL-12-based nanocytokine (Nano-1L-12)の作用を検討した。その結果、Nano-IL-12の投与もまたcold tumor内にinflamedな癌微小環境を構築し、免疫チェックポイント抑制剤の抗腫瘍効果を増強することを報告した。 これらの結果は、inflamedな腫瘍微小環境を作り効率的に短期間で抗腫瘍免疫を作動させることが、癌細胞が変異により抗腫瘍免疫をエスケープするのを防ぎ、免疫療法の治療効果を増強する非常に有効な手法であることを示唆するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、癌細胞と抗腫瘍免疫のクロストークの結果として誘導される癌細胞と免疫細胞の変化を解析し、その分子機構を明らかにすることを目的としている。このクロストークが行われる癌微小環境がクロストーク強い影響を与え、また、クロストークが癌細胞や免疫細胞に与える影響も癌微小環境に強く影響されると考えられる。従って、癌微小環境に強く影響を与える多糖体EPS-R1やNano-IL-12の研究結果は、癌細胞の抗腫瘍免疫からの回避を抑制し免疫療法の治療効果を増強するには、クロストークが行われる癌微小環境を腫瘍免疫に有利なinflamedな状態にすることが重要であることを示したものである。 免疫治療をエスケープした癌細胞には、樹状細胞による抗原提示を阻害する因子が発現している場合があることや、メタボリズムの変化により低酸素状態での増殖能が著しく増強している場合があること、さらには、癌細胞とのクロストークにより疲弊したCTLが新たに免疫抑制機能を獲得することも見出しているが、まだpublishに至っていない。しかし、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
rasH2を高発現しつつ抗腫瘍免疫を発動させるRM200AS1-2.1から選択した細胞株に発現するneoantigenと、これを認識するT細胞レセプターの同定を終え、本申請課題を遂行するに相応しい実験モデルを確立し研究を進めている。増殖中、各種免疫療法により退縮中、抗腫瘍免疫を回避し再増殖する癌細胞を取得し、DNAおよびRNAの抽出を終えており、移植前の癌細胞由来のDNAおよびRNAと比較することで抗腫瘍免疫により誘導された遺伝子変異の解析を進めている。同時に得られる癌組織に浸潤した癌特異的CTLをneoantigen/MHCテトラマーを用いて同定し、再刺激時のサイトカイン産生能等により、経時的にCTL機能の疲弊および免疫抑制能の変化の評価を進める。この特殊なCTLを見出しているので、より詳細な解析を進める。最終的には、CTLにより癌に変異が誘導される分子機構、癌細胞の変異によりCTLに疲弊と免疫抑制能が誘導される分子機構を明らかにすべく研究を進める。加えて、これまで得られた結果に基づき、癌増殖および免疫反応による拒絶が起きている時の腸内細菌叢を並行して調べ、腸内細菌が抗腫瘍免疫に与える影響および、抗腫瘍免疫反応が腸内細菌叢に与える影響も解析していく。
|