Project/Area Number |
23K21428
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Project/Area Number (Other) |
21H02875 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
小西 輝昭 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, グループリーダー (70443067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠本 多聞 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 計測・線量評価部, 主任研究員 (90825499)
平山 亮一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 重粒子線治療研究部, 研究統括 (90435701)
劉 翠華 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 重粒子線治療研究部, 主任研究員 (00512427)
大澤 大輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 主任技術員 (90324681)
小林 亜利紗 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 主任研究員 (30773931)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
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Keywords | マイクロビーム / バイスタンダー効果 / ギャップジャンクション / 異種細胞間 / 陽子線 / 放射線誘発バイスタンダー効果 / 低酸素 / 細胞情報伝達 / 窒素酸化物ラジカル / バイスタンダー応答 / 放射線抵抗性 / ライブセルイメージング / 細胞間情報伝達 / 低酸素環境 / 間接作用 / α線 / 転移 |
Outline of Research at the Start |
放射線誘発バイスタンダー効果は、照射細胞から近傍の非照射細胞へのシグナル伝達によってさまざまな細胞応答を引き起こす。我々は、放射線に対する生存戦略の一つとして照射細胞およびバイスタンダー細胞の双方の防御応答機構の活性化にともなう細胞の生存能力の変化によって放射線抵抗性や転移能の獲得などが起こるのではないかと考えた。マイクロビームを用いてがん細胞にのみ照射を行い、異種細胞間(がんと正常細胞の共培養)環境や低酸素環境における細胞応答とその分子機構の解明を目的とする。異種細胞間双方向シグナリングのシングルセル応答解析を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、低酸素環境下における放射線誘発バイスタンダー応答解析(Radiation Induced Bystander Effect; RIBE)が主題である。そのため、低酸素下での細胞培養・照射・解析が可能な実験環境の整備が必然とあり、低酸素ワークステーションの稼働し、低酸素環境での細胞試料の作成、培養および処理条件の最適化を進めた。また、低酸素環境下(酸素濃度1%)での高分解能なマイクロビーム細胞照射を実現するために、最適化を継続して進めた。 上記と並行して、ヒト肺がんA549細胞、ヒト肺正常TIG1細胞の低酸素環境下での培養した試料にマイクロビーム照射を行い、RIBEを測定した。直径24㎜の細胞播種面積を有するマイクロビーム照射専用の細胞皿に1×10^5細胞が培養し、この試料に対して、マトリックス状の(27x27=)729カ所に直径2μm以下の3.4 MeVの陽子線マイクロビームを照射した。細胞当たり1, 2, 6Gyとなるように、各箇所への照射粒子数は、45, 90, 270個の3条件とした。これは、全体の0.04%程度の細胞のみが照射されたことになり、細胞皿中のほとんどの細胞は非照射かつバイスタンダー細胞である。このマトリックス照射法を活用し、大気下と低酸素下(酸素濃度1%)におけるRIBEを測定した。その結果、大気下に比べ、低酸素下では、がん細胞のRIBEは低下するが、正常細胞では増加することを明らかにした。また低酸素環境下のRIBEの拡散においても、細胞膜(ギャップ結合、GJ)間情報伝達と窒素酸化物ラジカル(NO)の双方が大きく関与していること、さらにこの作用が正常細胞とがん細胞とで異なることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低酸素下での細胞試料の準備法が確立したことや、陽子線マイクロビーム細胞照射装置のが順調に稼働していること、また国内外との連携が少しずつではあるが再開しており、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロビーム照射の方法に合わせて、低酸素下での細胞培養・照射・解析が可能な実験環境の最適化を進める。マイクロビーム照射における照射と細胞観察環境においても照射手順の最適化をすすめ、より円滑に照射が可能にするためのソフトウエア改良を行う。また、マイクロビームによる細胞照射実験を加速させる。一方で、ヒト肺がんA549細胞、ヒト肺正常TIG1細胞の低酸素環境下でのX線照射に対する生存率測定、放射線抵抗性の要因の一つとして考えられているHypoxia Inducible Factor 1 α(HIF1α)の発現量の変化に対するバイスタンダー効果の変化についても着目する必要がある。また、バイスタンダー効果を起因とする上皮間葉系転換については、さらにバイスタンダー細胞の遺伝子発現解析を進め、バイスタンダー応答が顕著に表れる照射粒子数、細胞数、照射後の時間などの諸条件について再検討する。また、線質に依存したバイスタンダー応答の可能性について検証するため、他の施設のX線マイクロビームシステムの活用についても検討する。 低酸素環境下での陽子線マイクロビーム細胞照射装置SPICEの装置性能を活かし、より生物効果が高い5.1MeVヘリウムイオンのマイクロビームの実用化を進める。
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