Project/Area Number |
23K21455
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Project/Area Number (Other) |
21H03024 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55050:Anesthesiology-related
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Research Institution | Production Development Science Research Institute |
Principal Investigator |
植田 弘師 一般財団法人生産開発科学研究所, その他部局等, 研究員 (00145674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50402798)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
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Keywords | 慢性疼痛 / 脳免疫相関 / 性的二型性 / リゾホスファチジン酸 / +線維筋痛症 / 性差 / 免疫細胞 / 疼痛メモリー / 線維筋痛症モデル / 脾臓細胞 / 疼痛メモリー移行 / アドレナリンβ2受容体拮抗薬 / ミクログリア / 末梢免疫機構 |
Outline of Research at the Start |
疼痛メモリー解析に有効な心理学的ストレス誘発性と酸性食塩水の繰り返し筋注による線維筋痛症モデルにおけるLPA受容体の関与と免疫細胞サブセットの役割についての性差を解析する。重要な特徴は全身性疼痛に見られるフィードフォワード機構、特に免疫機構の関与にある。本研究の技術には脾臓摘出効果、病態動物からの脾臓細胞のナイーブマウスへの移植効果、脳内のLPA受容体遮断効果、さらにはこうした変化に及ぼす脳内LPA受容体遮断についての性差解析が含まれる。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度研究計画では慢性疼痛モデルごとの性的二型性の検証について線維筋痛症モデルにテーマを絞り、中枢性の断続性繰り返し心理学的ストレス誘発性(IPGP)モデルと酸性食塩水の繰り返し筋肉内注射による(AcGP)モデルを用いて性差と免疫細胞の疼痛メモリーにおける役割を解析する。得られた研究成果は以下の通りである。1)ドナーとしてのマウスIPGPモデル脾臓細胞をレシピエントとなるナイーブマウスへの移植することにより、疼痛誘発が観察された。2)あらかじめ脾臓摘出処置を施したIPGPモデル病態マウスでは疼痛誘発作用は有意に抑制された。3)AcGPやIPGP動物から摘出した脾臓細胞に移行した疼痛メモリー効果について、ドナーとして用いた雌マウスの方が脾臓細胞における疼痛誘発作用が持続性の点でより強力であった。4)AcGPモデルでは脳室内へミクログリア阻害剤を連続投与することや脳におけるミクログリアを消去する薬剤であるPLX3397を食餌に混入させる方法において疼痛誘発作用が減弱することを見いだした。5)脳から脾臓への疼痛メモリーの伝達方法の一つとして自律神経系の関与を検討する目的で、AcGPモデルにおいてアドレナリンβ2受容体拮抗薬、ブトキサミンあるいはカラゾロール投与がドナーにおける疼痛ならびに脾臓細胞をナイーブ(レシピエント)マウスに投与した時の疼痛も消失したが、α1受容体プラゾシンでは影響が認められなかった。6)予備実験ではMiltenyi社の抗体磁気ビーズを用い調製したAcGPマウスからの摘出脾臓細胞由来のCD8陽性細胞には、レシピエントマウスにおける疼痛誘発作用が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度予定した研究計画のほぼ全てにおいて予期した研究成果を得ることが出来た。具体的には末梢機構誘発性のAcGPモデルと上位脳ストレス誘発性IPGPモデル由来の脾臓細胞がともに疼痛誘発機構を有することを明らかに出来た。その効果に性差があることを示す結果も得られた。最も重要な研究成果は脳から脾臓への疼痛メモリー移行が自律神経β2受容体機構を介することを示すことに成功したことがあげられ、2023年当初のInternational Journal of Molecular Science誌に掲載することができたことにある。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢筋肉内酸投与によるAcGPモデルならびに心理学的ストレスによるIPGPモデルにおける疼痛作用がLPA1受容体を介し、IPGPモデルでは脳室内にLPA1受容体拮抗薬を投与することにより遮断されるという事実についてはすでに論文報告(Neurobiology of Pain, 2017)済みであるが、末梢性のAcGPモデルにおける脳内LPA受容体の関与については不明である。さらには、LPA受容体拮抗薬の脳内投与が脾臓細胞による疼痛誘発作用をも遮断するかどうかは大変興味がある。その可能性を示唆する知見としてアドレナリンβ2受容体拮抗薬が脾臓細胞による疼痛誘発効果を遮断したことから、脳からの交感神経系を介した疼痛メモリー移行機構の関与があげられる。同様に内分泌機構の関与についても研究を展開することが求められる。こうした脳から脾臓への下降性機構に加えて、脾臓細胞の脳に及ぼす上行性の影響についても研究展開が求められる。これら全てが解明されれば、線維筋痛症に見られる全身性疼痛機構の持続性に関連したフィードフォワード機構が明らかにされるだろう。さらにはこれら機構に関与する責任分子の同定とその検証についても新たな研究課題として取り組む必要がある。
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