Project/Area Number |
23K21644
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Project/Area Number (Other) |
21H03395 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60010:Theory of informatics-related
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩本 貢 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50377016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 順司 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (30345483)
渡邉 洋平 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (40792263)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | シミュレーションベース安全性 / 十分統計量 / 情報理論的安全性 / 計算量的安全性 / 安全性概念 / 情報理論的暗号 / 情報漏洩 / 暗号理論 |
Outline of Research at the Start |
安全性の定式化は暗号理論における最も重要な基礎的問題である.本研究では,安全性定式化の理論を暗号理論・情報理論・統計学的な立場から検討し,特にシミュレーションベース安全性に関する多角的な理解を目指す.単なる解釈論ではなく,異なる数学的概念によって安全性概念を記述し,それらに対する新たな安全性証明技法を提案する.シミュレーションベース安全性は情報理論的安全性および計算量的安全性の両方で定式化できることから,得られた成果をベースにして計算量理論と情報理論・統計学の融合を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,暗号理論分野で生まれたシミュレーションベース安全性を,情報理論的・数理統計学的な立場で考察し,情報理論的安全性(情報理論)と計算量的安全性(計算量理論)の間に新しい関係を見いだすことを目指している.具体的には以下の3つの課題を解決することを目標としている. (A) 分離定理に基づく,新しく簡潔なシミュレーションベース安全性証明手法の開発. (B) シミュレーションベース安全性では陽に意識されない,漏洩情報量の定量化とそれに基づく安全性証明. (C) 計算量理論的な観点から見た,十分統計量や分離定理,条件付相互情報量の探求.それに基づく,情報理論と計算量理論の新しい関係性の模索. 研究課題(A), (B)については,本年度までに得られた成果を総合してBGW (Ben-Or, Goldwasser, Wigderson) プロトコル(Shamirの秘密分散法に基づく,和・積に関するマルチパーティ計算(MPC))に対する (A) 分解定理と (B)漏洩情報量に基づく,新しい一般的な安全性証明を得ることに成功した.(A)の分離定理による証明は,確率分布の変形のみで安全性が証明できる新しい方法ということができ,実質的に乱数の一様性が重要であることがわかった.また(B)については,しきい値法ベースの秘密計算の安全性証明が,秘密分散法の安全性証明とほぼ同じ技法で証明できることを明らかにした.この成果は電子情報通信学会英文論文誌(A)の2024年3月号に招待論文として掲載された.また,同学会総合大会(2024年3月)のチュートリアルセッションでも,本成果に関する招待講演を行った.以上を持って研究課題(A), (B)については一定の目処がついたと考えている. 本研究に関連して,マルチパーティ計算や高機能暗号に関するいくつかの成果を得て,国内・国際会議で発表することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究期間の3年目であるが,研究計画当初に設定した研究目標であったBGWプロトコルに対する一般的な安全性証明を得て,電子情報通信学会英文論文誌(A)に論文発表を行うことができたため,研究開始時に想定した目的に対して,一定の成果が得られたと考えている.今後は,研究課題(A), (B)についてはこれまで得られた成果を発展させつつ,計画当初から最も難しいと考えていた,挑戦的な研究課題(C)に取り組む.
本研究の遂行にに関連して,MPCや高機能暗号に関する成果が多く得られた.発表した国際会議論文については,今後,学術雑誌への論文投稿を予定しており,研究期間終了を待たずに質量ともに十分な成果が得られつつある.研究課題全体としては挑戦的で難しい問題がいくつか残っているが,所期の目的はほぼ達せられたため,区分(2)を選択した.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに得られた成果で,研究課題(A), (B)については一定の成果を挙げることが出来た.今後の研究としては,研究課題 (A), (B)の発展および,(C)に取り組むことが挙げられる. 研究課題(A)に関しては,今年度までに明らかにしたsemi-honest安全性(攻撃者がプロトコルに従う場合の安全性)に対するシミュレーションベース安全性を,malicious安全性(攻撃者がプロトコルに従わない場合の安全性)に拡張することや,ゼロ知識証明の安全性概念に応用することで,本研究の基本的アプローチの有効性を検討する.研究課題(B)に関しては,先行研究において全く明らかにされていない,情報漏洩を許す暗号方式に対するシミュレーション安全性などを考察する.可能なら,これを検索可能暗号といった情報漏洩を許す高機能暗号プロトコルに展開する.研究課題(C)は計画段階で最も挑戦的であると位置づけた研究であり,計算量的な十分統計量について考察を行う.課題(C)は定義すること自体が難しいと予想され,研究期間内の理論構築には困難が想定されるが,可能な範囲で進めたい. これら3つの研究課題は独立に遂行できると今のところ考えているので,関連研究を調査しつつ,並行して進める.課題(A)については主に岩本が,(B)については渡邉,(C)については四方が中心となって行うことを想定するが,研究の方向性については全面的に岩本が企画した研究であるため,岩本は全てのテーマについて,渡邉・四方と議論をして研究を進める予定である. 研究実績の概要で述べたとおり,今年度はMPCや高機能暗号に関する成果が多く得られ,国際会議で発表したので,査読付き論文誌に投稿することも重要である.最後に,得られた成果をもとに様々な研究者と議論を行うことで,次の新しい研究テーマを模索する予定である.
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