Project/Area Number |
23K21658
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Project/Area Number (Other) |
21H03425 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60060:Information network-related
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
林 幸雄 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70293397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 雄央 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (10528425)
田中 敦 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (30236567)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | ネットワーク科学 / 頑健性 / ループ(サイクル)形成 / 代替経路 / モジュール化 / 逆優先的選択 / 自己修復 / 連鎖的過負荷故障 / 再構築 / メッセージ伝搬法 |
Outline of Research at the Start |
現実の多くのインフラネットワークは非常に脆弱で、それら脆いもの同士が支え合っているが、特に遠隔制御など通信を担う情報ネットワークは極めて重要である。一方、甚大な被害をもたらす自然災害や悪意のある攻撃による脅威が年々増大する中で、現状は場当たり的な対処となっている。しなやかな復活力を持つ「レジリエンス」が近年注目されてはいるが、概念的な議論に留まり、分断化を防ぐネットワークの設計・運用の指針は示されていない。
そこで、最新の研究動向を踏まえたネットワーク科学や統計物理学の手法を活用した定量的なシミュレーションや理論解析から、自律分散処理に基づくネットワーク増強の実現メカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年の統計物理学の知見等から、ネットワークの基本機能である連結性は、木構造に一旦なってしまうと脆く、逆に木構造になりにくい程、耐性が強いことが理論的に示唆されている。そこで、従来の場当たり的な対処ではなく、より良い(レジリエンス:しなやかな復活力を持つ)ネットワークの再構築を目指す科学的根拠を探るべく、いかなる故障や災害に遭遇しても出来る限り木構造にならない為にループを強化するには、どんな構築や修復が望ましいかを明らかにする。 一昨年、ループに関連する代替経路の実用的な計数法を提案して、その有効性をEU国間通信網等のデータを用いて定量的に明らかにした。昨年は、最小次数ノード間のリンク追加及び、逆優先的選択による次数分布の連続変化で、結合耐性と通信効率を両立させ、分布幅が最小極限のレギュラー構造の最適性を見出した。今年度は更に以下の成果を得た。 ・次数分布の連続変化で分布幅を狭くする程、連鎖的な過負荷故障への耐性強化にも効果的であることを定量的に示し(国際学術論文誌1件)、分散データセンターの配置問題にも応用した(国際会議1件)。また、災害時などを想定した衛星通信によるリンク追加の効果を検討した(国際会議1件)。さらに、リンク追加における浸透相転移の理論解析を行った(国内研究会1件)。 ・最適耐性を持つレギュラーグラフ(国内研究会1件)でも、モジュール/コミュニティ構造が加わると脆弱化することを新発見した(国際会議1件)。 ・光ファイバー等のケーブルで構成された国内の基幹通信網に対して列島を周回する海底ケーブルを追加すると、各二地点間の非交差経路の組合せ数が大きく増加することを定量評価した(国際会議と国内研究会各1件)。 ・ループ強化の指標となる(NP困難な)最小フィードバック頂点集合を近似的に求めるメッセージ伝搬法が、高速に収束するメカニズムを明らかにした(国際学術論文誌1件)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は主に、ループ強化に基づく自己修復の分散アルゴリズム化や、次数分布の連続変化による頑健性強化の基本的性質を明らかにしてきた。次年度は、典型的な次数順攻撃から空間攻撃に拡張した際の自己修復の耐性分析に発展させ、(現実の多くのネットワーに共通して存在する)べき乗次数分布から指数分布を経てより幅が狭い分布の中で(鎖状構造等の無いランダム結合で次数分布のみの影響として)、最小極限のレギュラー構造が攻撃への最適耐性を示すことを見出して、リンク追加としては最小次数ノード結合が頑健性向上に本質的に寄与することを明らかにした。 今年度はさらに、一般論としては、ループ強化に関連したメッセージ伝搬法が高速となる理由を探り当て、次数分布の幅が狭くなるほど(リンクの媒介中心性分布が狭くなり特定リンクを通過する経路への集中が無くなって)代替となり得る最短経路の本数が増えて許容量の超過を抑えた並列的情報流が可能となることで連鎖的な過負荷故障への耐性も強化される一方、最適な結合耐性を持つ場合でもモジュール/コミュニティ構造が加わると脆弱化することを新たに発見した。但し、これらのうち一部の内容は学術論文になっていない。 また、より現実的な課題への発展形としては、分散データセンターの配置問題への応用、衛星通信によるリンク追加の地域メッシュ人口データを用いた効果分析、国内基幹通信網への周回海底ケーブル追加による非交差経路(代替路)の組合せ数増加、等の定量的評価を行った。 これらの成果は、国際学術論文2件、国際会議予稿集3件と口頭発表のみ1件、国内研究会発表3件としてまとめることができた。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、これまでに得られた途中成果を整理しつつ、特に海底ケーブルの追加効果などに関して学術論文出版化を目指す。 また、期間中には未解決で残る可能性がある部分についても、それらの解決に向けて出来るだけ具体的な方向性を見出しながら検討していく。 一方、計算サーバなど設備的には充実してはいるが、さまざまな攻撃に対する種々のパラメータの組合せでランダム生成したデータ平均値を求める大規模シミュレーションの為、メモリ拡充や(災害時を含めた瞬電に耐えられる)無停電電源装置の交換などで対処していく。
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