Project/Area Number |
23K21763
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Project/Area Number (Other) |
21H03624 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64010:Environmental load and risk assessment-related
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
今藤 夏子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 室長 (10414369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 雄一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (00748840)
倉西 良一 神奈川工科大学, 工学部, 客員教授 (10250143)
内田 典子 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50876464)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 水生昆虫 / DNAバーコード / メタバーコーディング / 休廃止鉱山 / 重金属汚染 |
Outline of Research at the Start |
河川にどのような種類の水生昆虫が生息しているかを調べることで、その河川の環境を知ることができる。近年、水生昆虫の新しい調査法として水中のDNA(環境DNA)を解析する方法が検討されている。本研究では、重金属で汚染された河川において、環境DNAを使って水生昆虫の調査する手法を検討する。環境DNAに含まれる情報がどの昆虫種を表すのかを照らし合わせるデータベースを拡充し、それにより検出される種数がどれ位増えるのかを調べる。また、従来の捕獲調査と環境DNAによる調査の結果を比較し、環境DNA調査の実用性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度も水生昆虫の参照DNA塩基配列の収集と、調査を実施した廃鉱山下流のコドラート調査結果の解析、環境DNAによる多様性解析を行った。新たな調査地点として、東北地方の酸性河川を追加し、前年度と同様に環境DNAや水質分析のための採水と水生昆虫のコドラート調査や標本採集を行った。水生昆虫標本の収集は、環境DNAの調査地点以外の東日本河川においても実施し、形態同定とDNAバーコード配列の収集を進めた。DNAバーコード配列は、世界的な標準領域であるミトコンドリアCOIと、新たに収集が期待されている16S rRNAの2領域について配列取得を進めた。また、隠ぺい種など分類学上の整理が必要な種については、研究協力者の協力も得つつ形態と塩基配列による検討を進めた。 前年度に行った東北地方の廃止鉱山下流の調査で得られた試料について解析を進めた。廃止鉱山下流の河川約1.2km区間において、金属影響のある支流河川で1地点、金属影響のない河川で1地点、この河川に金属影響のある支流が合流した地点、さらに下流2地点の計5地点を選定し、環境DNAによる昆虫メタバーコーディング解析を行った。その結果、採集調査による水生昆虫の分類学的多様性は金属影響のある支流地点で最も低かった。環境DNA解析の結果、合流地点から500 m程度離れた下流地点において群集構造の違いが検出されたことから、局所的な調査であっても環境DNA解析が有効な手法となり得ることが示唆された。ただし、支流が合流した直下の地点では、コドラート調査で検出された分類学的多様性と存在量の減少が環境DNAでは検出できなかった。これらの結果には、リファレンスデータベースの不足が影響している可能性があるため、今後、本研究で得られたリファレンス配列に基づくデータベースを用いることで、評価の精度の向上が見られるかについて検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参照DNAデータベースの拡充のため、収集した水生昆虫標本を中心に形態同定と塩基配列の取得を順調に進めている。形態同定結果とDNA塩基配列の不一致が見られる標本もあり、分類学上の新たな知見である可能性も含めてより一層の精査を行う必要がある。 鉱山下流における環境DNAによる水生昆虫の多様性検出について、短い流下距離間における種数・群集構造の変化の判別可否について、投稿論文の執筆を進めている。また、これまで本研究で整備してきたデータベースの拡充によるメタバーコーディング解析の精度向上についても検証していく。既存COI領域のユニバーサルプライマーと、他研究で開発された昆虫16S rRNA領域のユニバーサルプライマーについて、多様性検出精度の比較検証を行う。2023年度に追加した調査地点については、2024年度に本格的な解析を実施し、速やかに成果にまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に沿って着実に進んでおり、主要な野外調査も昨年度までにほぼ完了した。今後も申請書の計画通りに研究を進めていく。環境DNA解析の研究成果については、論文化と投稿を引き続き進めていく。昆虫標本から得られた塩基配列については、国際データベースへの登録と公開を進める。昆虫の形態標本については博物館への寄託を目指し、各方面の調整を行う。
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