Project/Area Number |
23K21770
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Project/Area Number (Other) |
21H03644 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64030:Environmental materials and recycle technology-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森 勝伸 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (70400786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 大介 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (30375323)
石井 孝文 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50750155)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 循環再生材料設計 / リグニン / カーボン |
Outline of Research at the Start |
芳香族を最も多く含むリグニンに、重金属イオンを担持し熱処理することによって、導電性に優れたグラフェンを得ることに成功した。そこで、本研究では、リグニンへの金属担持量と熱処理条件を制御することで、高導電性を有する単層グラフェンを安定に供給できる生成経路を明らかにし、生成したグラフェンの実用化に向けた準備を行う。具体的には、樹脂とのブレンド技術を確立し高導電性の絶縁性ポリマーを提示する。さらに、熱処理時の副生成物を合成ガスに変換することで、リグニンの完全な再資源化を図る。これより、リグニンを炭素材料変換技術に加え、複合材料の添加剤や排ガスの再利用を含め100%使い切る再資源化技術を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地球上で芳香族を最も多く含むリグニンに重金属イオン(鉄、コバルト、ニッケルイオン)を担持し、低酸素雰囲気下で高温熱処理によって、優れた導電性を有するグラフェンを得ることに成功している。この研究期間全体を通して1)リグニンへの金属担持量と熱処理条件を制御し、高導電性を有する単層グラフェンを安定に供給できる生成経路を創出する、2)生成したリグニン由来グラフェン(以下、LG)の実装化に向け、樹脂とのブレンド技術を確立し高導電性の絶縁性ポリマーを提示する、3)熱処理時の副生成物(水素、ガス等) も合成ガスに変換することで、リグニンの完全な再資源化を図る。 本研究の3年目にあたる2023年度では、当初の計画通り 1)LGの合成経路の完成、2)高分散グラフェン-樹脂の物性評価、3)C1化学プロセスによる有機物質の合成を行った。LGの合成経路において、リグニンから高効率にグラフェンへと変換するには、リグニンと鉄(II)イオンを水溶液中で可能な限り高分散の状態を維持しながら錯形成(Fe-リグニン錯体)させることが最も重要な要因であることがわかった。次に、LGの複合材料のフィラーへの応用については現在までの進捗状況に述べる(Macromolecular Chemistry and Physics, 2023)。また、C1化学プロセスによる有機物質の合成に資するガス成分の定量を実施しているが、その研究の中で、分担研究者・石井准教授が炭素結晶中の水素ガス濃度からエッジサイトの均一性を評価する測定方法を開発した(Carbon, 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究3年目は、1)LGの合成経路の完成、2)高分散グラフェン-樹脂の物性評価、3)C1化学プロセスによる有機物質の合成を行った。以下にそれぞれの進捗状況を報告する。 1)リグニンから高効率にグラフェンへと変換するには、リグニンと鉄(II)を水溶液中で可能な限り高分散を維持しながら錯形成させる必要があることがわかった。本法で得られるリグニン由来グラフェン(LG)に残っている鉄の化学形態をX線分析すると、金属単体のα-Feとγ-Feの他に、マグネタイトが存在していることがわかった。リグニンの炭素を熱処理によりグラフェンに変換するには、Feの形態が重要な鍵になることが示唆された。 2)LGを高分子のフィラーとして用い、最終的に導電性材料に応用するため、LG含有ポリマーの作製を行った。不活性なLGは、親水性高分子に直接ブレンドすることは難しかったので、分担研究者の永井らは、重合用開始剤を含むモノマー溶液にLGの単層構造を崩さないように振とうさせながら重合し、高分散グラフェンと樹脂ブレンド材料を得ることに成功した。 3)鉄担持リグニンを熱処理する過程で発生するガスを、金属有機触媒を介してメタンに変換できることを明らかにした。この結果を受けて有機ガスに変換する触媒の種類を変えることで、メタノールやギ酸等を生成できるものと示唆した。この研究とは別に、生成された炭素材料のエッジサイトの均一性を評価するため、昇温脱離装置(TPD)を構築した。この装置によって本研究で得たLGは、芳香族が均一に分布していることがわかった。 以上より、我々が当初計画した内容に従って高い成果を得ることができた。LGが生成されるメカニズムについては検討の余地はあるものの、新たな分析方法の開発やLGの利用開拓が進んでいることから、「(1)当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
【リグニン由来グラフェンの性能評価】2023年度の成果を受け、Feの化学形態とグラフェンの芳香族の均一性の関係を明確化し、導電性材料としての性能を考察する。また、高分散グラフェンポリマーの導電性並びに機械的強度を評価する。 【C1化学プロセスによる有機物質の合成】2023年度から継続して、無機ガスから有機ガスに定量的に変換できる金属有機触媒の開発を進め、これまでの一連の研究から、「完全なるリグニンの再資源化」に資するケースモデルを確立する。それとともに、LGの新たな研究分野の開拓を目指す。 【外部への積極的な情報発信】2023年度を含め、公表していないデータをまとめ、(1)LGの結晶性及び生成効率に及ぼすFeの担持質量と化学形態の影響、(2)グラフェンポリマーの耐熱性、(3)リグニン由来グラフェンの結晶性の分析を中心に論文化、国内外の学会での発表を積極的に行う。 以上の研究成果はバイオマスからのC1化学に展開とカーボンニュートラルに資するキーテクノロジーとして期待できる。
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