Project/Area Number |
23K21793
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Project/Area Number (Other) |
21H03688 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山越 言 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (00314253)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥14,430,000 (Direct Cost: ¥11,100,000、Indirect Cost: ¥3,330,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | アフリカ / 人獣共通感染症 / 農作物被害 / 里山 / 自然保護区 / 野生生物保全 / 観光 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、アフリカ各地でここ数十年の間に急激に普及した野生動物観察を伴う諸活動と、それに対応した野生動物の人慣れの歴史を、史資料分析および現地調査により再構成し、動物研究や観光が実施されている焦点調査地が現在抱える野生動物保全に関する問題への影響を分析する。日本の野猿公園など、類似の事例との比較を通して、これからの人と野生動物の適切な距離がどうあるべきかについて、学術的・実践的な答えを探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
各種人獣共通感染症が蔓延する昨今、人と野生動物の距離と関係を問い直すことは喫緊の課題である。人類史の中で、人はさまざまな方法で野生動物に接近してきた。本研究は、西欧近代の発展のなかで誕生し、野生動物研究や観光というかたちで今日の野生動物問題の核心を形成する、「野生動物への近接欲望」に注目する。現在、人と野生動物とが接する現場となっている自然保護区やその周囲の人為的環境(里地里山)では、ローカルな仕組みにグローバルな価値間が介入してさまざまな対立が生じている。これらの現場において、人と野生動物との適切な距離を検討するために、アフリカおよび日本において、フィールドワークに基づく調査を行った。 研究代表者は、焦点調査地であるギニア・ボッソウ地域において、現地調査を継続した。研究協力者であり西アフリカ各地の野生チンパンジーの生息状況や調査史について豊富な経験と知識のあるフランス人研究者JoulianおよびTarroniと同行し、ボッソウ及びギニア森林地域の新たなチンパンジー個体群の生息状況調査や人々の暮らしとの距離について観察を行った。幹線道路の近傍の村落のような人為的攪乱が大きい環境でも、小さく分散したチンパンジー群れが生息している可能性が示唆された。 研究協力者の大坂は、ガボン・ロペのマルミミゾウによる、人為的植生の利用と遊動の季節変化について、ゾウの調査では一般的に困難な個体識別法を用いて長期の現地調査を継続した。1990年代から利用可能なロペのプロジェクトの歴史資料の分析も進めた。研究協力者の花村は、山口県周防大島町の大水無瀬島に人為的に導入されたニホンザル群の歴史と現在の生息状況に関する現地調査を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施できず、昨年度から実施が可能となった現地調査を、本年度は本格的に進展させることができた。調査地であるギニアでは初年度2021年に、ガボンでは本年度にクーデタが発生し、調査の実施が危ぶまれたが、どちらも最小限の混乱で収まり、本年度の調査に大きな影響はなかった。 ギニア・ボッソウ、ガボン・ロペ、日本・周防の各調査地とも、生物学的な生息状況調査に加え、調査群が経験してきた人の暮らしや生息環境との比較的長い歴史についての史資料調査やインタビューが進展し、両者の組み合わせによりユニークな研究成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
焦点調査地ギニア・ボッソウにおいては、現地調査を継続するとともに、人慣れの進行と個体数減少との因果関係について、過去の映像資料の分析を進める。 ガボン・ロペにおいては、研究協力者大坂によるマルミミゾウの長期現状調査を進める。また、同地域で蓄積されている1990年代以降の文書および映像資料を分析し、マルミミゾウの個体識別を過去と現在双方で進める。このアプローチにより、植生の人為的変化とゾウの遊動との関係を長期にわたって明らかにする。 研究協力者花村による、大水無瀬島での調査を継続し、同島に現在生息するニホンザル個体群の導入以前の履歴に関する聞き取り、文献調査を継続する。また、センサーカメラを有効利用し、未調査であった同ニホンザル群の現在の生息状況について調査を進める。 参画研究者による研究会を行い、研究地間の比較についての議論を深め、論文、書籍ほか、各種研究成果の公表に努める。
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