Project/Area Number |
23K21796
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Project/Area Number (Other) |
21H03691 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齋藤 剛 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (90508912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (10177230)
吉田 早悠里 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20726773)
苅谷 康太 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70634583)
佐藤 健太郎 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80434372)
中尾 世治 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (80800820)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | 北部アフリカ圏域 / イスラーム改革 / 宣教 / 宗教復興 / 社会変革 / 北部アフリカ / イスラーム / 知の生成・伝達・継承 / イスラーム化 / 知 / ネットワーク / 社会改革 / 知識 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、多言語・多民族的環境にある「北部アフリカ」においてイスラーム的知識の共有と、各地における多様な社会変革の実現がいかなる論理に基づいて実現されているのかを明らかにすることを目指している。地中海、マグリブ、東アフリカ、西アフリカなどを対象として個別研究を進めるのと同時にそれらの地域を横断した社会的・知的連関網に着目をして研究を進めてきた。研究の過程で新たな課題として浮かび上がっているのは、イスラーム的知の共有と社会変革の論理をめぐる既存の言説の相対化のためにも、欧米における研究が蓄積してきた西アフリカ史観などを再検討に付すことである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、現地調査を継続しつつ、研究成果を日本国内外における国際シンポジウムやワークショップでの発表、あるいは論文としての発表を行なった。 現地調査については、エチオピア南西部ジンマ県におけるスーフィー聖者の宗教実践と、信徒たちのその解釈と実践をめぐる現地調査、フランスにおける写本の調査とその分析、アメリカ、ノースウェスタン大学に所蔵された西アフリカ研究の大家ウィルクスが現地で集めた写本とフィールドノートなどの一次史料の収集と分析を主に進めた。また、写本などの一次史料の収集と合わせて国際共同研究の推進を班員がそれぞれに進め、海外の研究者との学術的ネットワーク構築に努めた。 研究成果については、とくに理論的考察については齋藤が「中東に生きる人々に学ぶ」と題した論考を『社会人類学年報』誌上に発表しているほか(査読付き)、小田の研究に触発された海外の研究者たちと小田との共同研究の成果がFabula誌上に”Little Statisticians in the Forest of Tales: Towards a New Comparative Mythology”と題されて刊行されている。査読付きの本論考において小田は最終著者である。また苅谷は、西アフリカにソコト・カリフ国を建設した知識人ウスマーン・ブン・フーディー(1817年没)の著作の詳細な校訂を基礎資料として刊行している。また、中尾、佐藤、吉田は国際シンポジウムなどにおいて、それぞれウィルクス、イブン・ハルドゥーンの知的系譜(イスナード)、文化継承とアーカイヴズなどについて複数の成果を発表している。また、齋藤と佐藤は昨年度に続き、オランダ・モロッコ研究所(NIMAR)において開催された国際シンポジウムに参加をしており、その成果はオランダのBrill社から刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度には、現地調査を継続しつつ、研究成果を日本国内外における国際シンポジウムやワークショップでの発表、あるいは論文としての発表を行なった。 吉田はエチオピア南西部ジンマ県における精力的に継続調査を実施しているほか、これまでの研究成果の一端を例えばthe Japan Society for Afrasian Studies の国際シンポジウムなどにおいて発表している(招待講演)。 中尾はノースウェスタン大学(アメリカ)に所蔵された西アフリカ研究の大家ウィルクス関連資料の収集と分析を主に進めた。ウィルクスが提示した西アフリカのイスラーム化をめぐる史論は今日の西アフリカ研究において定説とされているものであるが、中尾は資料の詳細な分析を通じてウィクルスの研究の限界点などを明らかにしているほか、現地におけるイスナードの検討を進めている。苅谷は、ウスマーン・ブン・フーディー(1817年没)の校訂を基礎資料として提出している。西アフリカ研究の世界的進展に寄与する学術的価値が極めて高い貢献である。小田は、小田の研究に触発された海外の研究者たちからの提案を発端として執筆が進められた国際共著論文をFabula誌上に発表している。これは、小田の研究が世界的に評価されていることを示すものである。佐藤は、イブン・ハルドゥーンの知的系譜(イスナード)の研究を海外の研究者との連携のもとに進めて、その研究成果を複数の国際シンポジウムにおいて発表している。齋藤は、本共同研究とも関連する理論的な論考を『社会人類学年報』において発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度には、エチオピア、フランス、モロッコなどにおいて現地調査を実施し、一次資料の収集に引き続き努めるとともに、研究成果の発表に努めてゆく。 吉田は、夏季および冬季にエチオピア南西部ジンマ県において、スーフィー聖者の経済状況と、スーフィー聖者に対する人々の奉仕のあり方に関する調査を実施する。またこれまでの調査を踏まえて、日本ナイル・エチオピア学会などの学会誌に研究成果を投稿する予定である。苅谷は、これまでの史料分析などの成果を踏まえて,ソコト・カリフ国におけるマフディー思想に関する論文を国内外の雑誌に投稿する予定である。佐藤は、マグリブの著名な知識人カーディー・イヤードが著し、マグリブの知的所産の代表的著作の一つでマシュリクでも人気を博した預言者崇敬の書『シファー』を取り上げ、そこに記された知識人たちの系譜分析を進める予定である。中尾は、フランス国立海外公文書館で調査を実施する予定である。また本年度開始したイスナードの分析を継続し、ヴォルタ川流域でのイスナード制作伝統の開始時期を解明する計画である。また調査と分析の成果発表の準備も進めてゆく。小田は、フランスでの資料収集を継続しつつ、ラモン・リュイが最晩年に遺した対ムスリムのキリスト教神学論において,レヴィ=ブリュルが未開民族の心性について述べた融即律との比較研究を進めてゆく予定である。また小田と中尾は、中尾が収集したイスナードを小田が情報学的観点から解析する形でも連携しつつ研究を進めてゆく。齋藤は、モロッコを対象とした宣教師によるベルベル人とイスラームをめぐる理解のあり方を検討してゆく予定である。
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