Project/Area Number |
23K21817
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Project/Area Number (Other) |
21H03719 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
安田 慎 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (60711653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 藍 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任助教 (00816358)
足立 真理 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD) (10848675)
長岡 慎介 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (20611198)
砂井 紫里 千葉工業大学, 未来変革科学部, 准教授 (90367152)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | イスラミック・ツーリズム / イスラーム / 観光経験 / イスラーム経済 / ライフスタイル / 観光 / 宗教資源 / ツーリズム / 宗教資源フロー / ライフスタイル分析 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、イスラミック・ツーリズムを通じたライフスタイルの構築を、イスラーム・ファンドを核に形成された観光経験をめぐる宗教資源フローの分析から解明するものである。特に、宗教資源フローにおける個人や社会による資源マネジメントの実態を分析することで、イスラミック・ツーリズムがもたらす新たなイスラーム的ライフスタイル(生活様式や人生設計)を解明し、その社会的役割を明らかにしていく。その際、イスラーム・ファンドによる宗教資源フローのマネジメントや、利害関係者たちによるガバナンス機能に着目し、いかに社会的合意や意思決定がなされていくのか、そのプロセスを具体的に解明していくことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の3年目となる今年度は、前年度までは実施困難であったフィールド調査に従事しながら、これまでの文献資料調査で得たデータをまとめて、研究成果の発表と議論を進めていくことを主眼に置いて研究を行った。文献資料調査を通じた市場動向分析や研究における議論では、イスラミック・ツーリズムがハラール認証制度から脱却し、個人や社会の精神的充足を、宗教市場を通じて達成しようとする、スピリチュアル・エコノミーの動きを強めている点を、宗教ツアー内容の変化や旅行積立をめぐる動きから明らかにしてきた。また、研究分担者との議論や研究会の開催を通じて、「モラル・アカウンタビリティ」と命名できる、観光経験を宗教的枠組みのなかに組み込んでいく実践が重要視されている点を示した。 研究の議論と成果公表では、フランス・パリと日本・東京で行った国際ワークショップを通じて、国際的な研究発信や研究者ネットワークの構築を行ってきた。フランス社会科学高等研究院・日仏財団(FFJ l’EHESS)との共催の国際ワークショップでは、モラル・アカウンタビリティの多様性や理論的可能性についての議論がなされた一方で、イスラミック・ツーリズムが現代ムスリム社会を捉える際に欠かせない領域である点が改めて確認できた。日本・東京での国際ワークショップでは、デンマーク・ロキシテ大学からハラール研究の国際研究を推進しているヨハン・フィッシャー氏を招聘し、2つの国際ワークショップを開催し、ハラール認証制度から脱却していくイスラミック・ツーリズムの姿が明らかになった。 さらに、研究成果の公表では個人による研究成果の公表に加えて、研究代表者が中心となり関連する特集号(ヴァナキュラー・ツーリズムからみる南アジア:宗教・聖地・観光)を組織し、イスラミック・ツーリズム研究のなかで蓄積してきた研究成果を、他分野の研究者と共有したうえで研究成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度まで国際観光市場においてパンデミックによる混乱が続いていたために、国外でのフィールド調査による実態調査が困難であったために、当初よりも参与観察やインタビュー調査というフィールド調査による実態の解明においては遅れが出ている。また、研究代表者・分担者の育児や妊娠という家庭の事情やライフイベントによって、国外フィールド調査に従事できる期間が限られた場面があったことも、国外フィールド調査による観光の現場に関わるデータ収集が遅れる要因となった。 他方で、これまでの文献資料調査を通じて蓄積してきたデータを用いながら、イスラミック・ツーリズム市場の新たな方向性を明らかにするとともに、その一連の成果を国際ワークショップや特集論文という形で発信できた点では、研究は大きく進捗しているとも言える。特に、11月にフランス・パリで開催した国際ワークショップで研究成果の公表と議論を行うとともに、フランスの研究者ネットワークを構築できた点や、日本への国外研究者招聘でさまざまな議論が展開できた点は、研究において大きな進捗であったと言える。 さらに、個人ベースでの研究成果の公表が、研究代表者・研究分担者たちによって論文・書籍という形で展開されてきた。さらに、本研究課題で示した地域の文化や価値規範によって異なる観光実践の在り方を、「ヴァナキュラー・ツーリズム」として概念化することで、比較研究の可能性を開いた点も成果としてあげられる。その一端は、南アジア研究者たちとの共同で行った一連の特集論文(「ヴァナキュラー・ツーリズムからみた南アジア:宗教・聖地・観光」)においても見て取ることができる。 以上の点から、実態調査という観点では進捗に遅れが出ている部分もみられるが、研究成果のまとめと公表という観点では、一定の成果をあげつつある点を指摘できる。その点で、「やや遅れている」という状況にあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は4年間にわたる研究課題の最終年度になることから、引き続き文献資料調査・フィールド調査を研究代表者・分担者が行いつつ、研究成果の取りまとめと公表を積極的に行っていく予定である。特に遅れが出ているフィールド調査に基づく実態調査を、研究代表者を中心に研究分担者や関連する研究者の協力を仰ぎながら、データ収集と分析を行っていきたいと考えている。特に、イスラミック・ツーリズム市場の核となるイスラーム旅行会社の関係者たちへのインタビュー調査を適宜実施していきたいと考えている。そのうえで、各地で実施したフィールド調査のデータを整理・分析しながら、これまでの研究で明らかにされてきた、モラル・アカウンタビリティをめぐる議論を参照しつつ概念化を進めていく。 研究成果の公表では、他地域や他宗教を対象に関連する研究を行っている国内外の研究者たちとの研究会を実施することで、これまでの研究内容のモデル化や概念化を負い進めていきたいと考えている。特に、スピリチュアル・エコノミーと呼ばれる新自由主義的な社会環境のなかで構築されてきたイスラミック・ツーリズム市場において、いかなる宗教的概念が社会のなかで構築され、浸透していっているのか、その内実を明らかにしていきたい。その他にも、これまでに行った国際ワークショップの関係者や、フランス社会科学高等研究院・日仏財団や、研究代表者もメンバーである国際的な宗教観光研究の研究者ネットワークである「宗教観光・巡礼機構」を中心に、国際ワークショップの開催や英語特集論文の執筆・公表を行い、更なる研究成果の公表や国際共同研究の推進を行っていく予定である。 さらに、当該研究で蓄積した一連の研究成果を踏まえて、日本国内の観光学の研究者との共同研究を組織することによって、イスラミック・ツーリズム研究で蓄積してきた研究成果を広げるとともに、更なる理論的可能性を探っていきたい。
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