Project/Area Number |
23K21828
|
Project/Area Number (Other) |
21H03739 (2021-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2024) Osaka Prefecture University (2021) |
Principal Investigator |
三村 功次郎 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (40305652)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光田 暁弘 九州大学, 理学研究院, 准教授 (20334708)
河村 直己 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (40393318)
保井 晃 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (40455291)
水牧 仁一朗 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (60360830)
魚住 孝幸 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80295724)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
|
Keywords | X線分光 / ベイズ推定 / 不純物アンダーソン模型 / 希土類化合物 / 電子状態 |
Outline of Research at the Start |
共鳴硬X線光電子分光,共鳴X線発光分光,高分解能蛍光検出X線吸収分光からなる複合計測システムを構築し、Eu化合物に対して試料個体差の影響を完全に排除したスペクトル観測を行う。励起の素過程が異なる各スペクトルを不純物模型に根ざしたベイズ推定により画一的に再現し、確度の高い物理パラメータを決定する。本研究を通じてEu化合物の物性研究の推進に貢献し、今後の物質探索、ならびに量子臨界現象におけるEu 4f-5d電子間のクーロン斥力の役割に対する指針を与える。
|
Outline of Annual Research Achievements |
希土類4f-5d電子間のクーロン斥力 (Ufd) は、近年報告された価数揺らぎに起因した新奇量子臨界現象の鍵であり、その定量評価が急務である。本研究では、共鳴硬X線光電子分光 (共鳴HAXPES),共鳴X線発光分光 (共鳴XES),部分蛍光収量X線吸収分光 (HERFD-XAS) からなる複合計測システムを構築し、Eu化合物を中心に試料個体差の影響を完全に排除したスペクトル観測を行う。不純物模型に根ざしたベイズ推定により励起の素過程が異なる各スペクトルを画一的に再現し、Ufdを含む確度の高い物理パラメータを決定する。決定された物理パラメータが希土類化合物の価数揺らぎ・価数転移、特に量子臨界現象の発現にいかに関与しているのか、その物理的描像を解明する。 本年度は、EuNi2(P1-xGex)2に加えてEuNi2(P1-xAsx)2, Eu(Ni-xPtx)2P2, Eu(Rh-xCox)2Si2, EuNiPの単結晶育成を行った。計測系については、前年度にSPring-8 BL09XUで構築した複合計測システムを利用し、その際に問題となった点を改善することで安定的な自動計測が実施できる環境を整えた。この複合計測システムによりEuNi2P2, EuNi2(P0.9Ge0.1)2に対する計測を行い、Eu 2p3/2 → 5d吸収領域における明瞭な共鳴現象の観測に成功した。さらに試料系を拡張し、Au-Ga-Yb準結晶・近似結晶の複合共鳴計測、YbRh2Si2の複合共鳴計測の磁場・偏光依存性に関する情報を獲得した。スペクトル解析については、2次光学過程である共鳴HAXPESおよび共鳴XESスペクトルを効率よく解析する必要がある。そのため、効率的かつ高精度で周辺尤度を計算する手法を考案し、実際のスペクトル計算に適用できることが確認された。今後、その実用化に向けての取り組みを進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおりEuNi2(P1-xGex)2の単結晶育成を行うことに加え、さらにEuNi2(P1-xAsx)2, Eu(Ni-xPtx)2P2, Eu(Rh-xCox)2Si2, EuNiPの単結晶育成も行った。 計測系については、実際にX線発光分光器を共鳴HAXPES装置に組み込み、実際に放射光を利用した調整を行う事で、装置を複合分光計測システムとして構築した。前年度の問題点を解決し、安定的な複合計測が行える環境を整えた。この達成は本研究の中でも重要な課題のひとつであり、今後、様々な試料に対する複合計測に弾みを付けるものである。 上述した複合分光計測システムを利用して、EuNi2P2, EuNi2(P0.9Ge0.1)2の同一試料表面に対してHERFD-XAS, 共鳴HAXPES, 共鳴XES複合計測を実施した。実際に、Eu 2p3/2 → 5d吸収領域において、Eu 3d共鳴HAXPES,Eu Lα1共鳴XESスペクトルの両者が明瞭な共鳴増大を示すことを確認した。また試料系を拡張し、Au-Ga-Yb準結晶・近似結晶の複合共鳴計測、YbRh2Si2の複合共鳴計測の磁場・偏光依存性に関する情報を獲得した。今後は、各スペクトルを不純物模型に根ざしたベイズ推定の導入により画一的に再現することで、Ufdを含む確度の高い物理パラメータの決定を目指す。この解析については、モンテカルロサイクリングから分散共分散行列を求め、標準化を行う手法を開発した。この効率的かつ高精度で周辺尤度を計算する手法により、スペクトル解析が加速するものと考えている。 以上から、進捗状況を「概ね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
種々のEuT2X2単結晶 (X: 遷移金属、X: P, Si, Ge等) の育成を行う。また、光学系を含めて構築した複合分光計測システムに対する調整を継続し、さらに安定的な複合スペクトル計測が行える環境を整える。 育成・評価が完了した種々のEuT2X2や類似する希土類化合物を測定試料として、同一表面に対する共鳴HAXPES, 共鳴XES, HERFD-XAS複合計測を実施する。温度依存性およびT, X依存性の詳細な観測を実施することで、Eu価数およびc-f混成強度、電荷移動エネルギー、Eu 4f-5dクーロン斥力を求めるためのデータの蓄積を図る。 購入済みのワークステーションに構築したコードを組み込み、解析作業を本格化させる。ベイズ推定によるスペクトル解析環境を整え、上述した各種物理パラメータを解析者の主観に依らない形で決定し、より正確な物理量の考察を可能にする。 以上の研究を通して、決定された物理パラメータがEu化合物の価数揺らぎ・価数転移、特に量子臨界現象の発現にいかに関与しているのか、その物理的描像を考察する。次年度は最終年度となるため、特にこの点について注力する。
|