Project/Area Number |
23K21832
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Project/Area Number (Other) |
21H03745 (2021-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2021-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
和田 健 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (10401209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 出海 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (30579058)
兵頭 俊夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 協力研究員 (90012484)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,510,000 (Direct Cost: ¥12,700,000、Indirect Cost: ¥3,810,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
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Keywords | 陽電子 / 低速陽電子ビーム / 陽電子回折 / 表面 |
Outline of Research at the Start |
全反射高速陽電子回折(TRHEPD)装置直前まで磁場輸送した陽電子ビームを,TRHEPD実験用に非磁場領域に高輝度で取り出すシステムを高効率化する。そのために必要となる,磁場遮蔽システム,ビーム集束レンズを開発する。さらに,ビームのパルス幅がそのくり返し周期に対して4桁も短い(パルス中で高密度となりすぎている)ため,高効率化によって検出器が飽和しないよう,このパルス幅を伸長して平滑化し,TRHEPD実験に十分なエネルギーでビームを供給するためのシステムを開発する。そのために特殊な放電対策を施した電極と最大20kVまで印加する特殊なパルス電源および高電圧アンプシステムを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
陽電子は反粒子のため十分なビーム強度を得るのが困難で全反射高速陽電子回折(TRHEPD,トレプト)法等の実験では測定に時間がかかり,これが様々な材料研究におけるボトルネックとなっている。より高強度ビームでの実験を可能にするため,磁場によって輸送した低速陽電子ビームを非磁場領域にビームを引出してから減速材 (リモデレータ) に高効率にビームを収束するシステム開発を進めた。これまでに,ビームラインからの磁場遮蔽のための磁性体薄膜 (磁場遮蔽グリッド) の導入,および磁力線をコイル外側にそって上流側に戻すための磁性体遮蔽構造を導入することで,非磁場領域へのビーム輸送効率を大幅に増大できることが確認できた。ただし,その下流側における静電レンズではビームの収束が困難であることがわかった。ビーム軸に垂直な方向の運動量の分散が想定よりも大きかったことが原因の1つと考えられる。そこで,静電レンズ群の最終段の静電収束レンズにかえて磁場レンズを導入し,ビーム収束の問題は解決された。ただし,その上流側の静電レンズ (アインツェルレンズ) 部の存在のために,磁場収束レンズへの陽電子輸送効率が落ちていることが判明し,このアインツェルレンズを省略して磁場収束レンズに導入するよう改良してビーム試験を行った。その結果,輸送効率が数倍に高められたことが確認できた。磁場遮蔽グリッドと磁場レンズの距離をさらに詰めることで,より輸送効率を高められることもわかったため,そのための光学系の改良設計と製作を行った。また,この技術はポジトロニウムのレーザー冷却実験等においても重要となってきている。 並行して,強度が増大したビームを用いてもTRHEPDの検出器のマイクロチャンネルプレート(MCP)が飽和しないよう,TRHEPD用に15 keV以上で20 ms毎の1 μsのパルス幅のビームを準DCビームに変換するパルスストレッチャーの開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁場輸送された陽電子ビームを回折実験用に非磁場領域に高輝度で取り出す新開発のシステムの前年度までのビーム試験において,上流側の磁場遮蔽グリッドと磁場レンズの距離をさらに詰めることで,より輸送効率を高められることがわかったので,ビームの輸送効率をはかることを目的に,磁場遮蔽用の磁性体薄膜の下流側に設置していた静電輸送レンズ系を省略し,できるだけ短距離でビームを磁場収束レンズに輸送する光学系の改造設計と製作を行った。さらに,磁場収束レンズのポールピースの内径についても3種類用意をして,どの条件でリモデレータに収束ができるか比較検証できるようにした。また,磁場収束レンズ下流側の磁場強度の測定の結果,ビームラインのソレノイドコイルからの磁力線のまわり込みの影響が強いことが判明した。その対策に,磁場遮蔽部直上流のソレノイソコイルの外側のヨークから,ビームラインのソレノイドコイル外側を覆うような軟鉄による磁場遮蔽シールドを作成した。新しいシステム全体を組上げ,真空試験を実施した。また,この光学系の開発を通して得られた知見をポジトロニウムのレーザー冷却実験にも応用することで,ポジトロニウム生成媒質までの高効率なビーム輸送と,実験領域における漏れ磁場の低減を実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
改造した光学系を用いてビーム試験を行い,3種類用意した磁場収束レンズのポールピースのそれぞれの特性を調べ,性能を最大化する条件を探る。さらに,ポジトロニウムのレーザー冷却実験に転用しつつ性能評価と最適なレンズパラメータの調整を行っていく。
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