Project/Area Number |
23K21877
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Project/Area Number (Other) |
22H00605 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
護山 真也 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (60467199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 久泰 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (00613829)
志田 舞 (三代舞) 駒澤大学, 仏教学部, 講師 (40939485)
稲見 正浩 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70201936)
小野 基 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00272120)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,510,000 (Direct Cost: ¥12,700,000、Indirect Cost: ¥3,810,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
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Keywords | プラジュニャーカラグプタ / ダルマキールティ / ヤマーリ / 四諦 / 哲学と宗教 / 苦諦 / 滅諦 / 自己認識 / 非認識 / 因明 / プラマーナ |
Outline of Research at the Start |
本研究は,インド仏教における認識論・論理学の体系化を行ったダルマキールティ(7世紀頃)の『認識論評釈』に対する浩瀚は注釈書『認識論評釈荘厳』のうち,「プラ―マの確立」章部分のテキスト校訂,訳注研究を主軸として,その著者であるプラジュニャーカラグプタ(8-9世紀頃)の宗教哲学を解明することを目指すものである。国際ワークショップ等の開催を通して,プラジュニャーカラグプタ研究の国際共同研究を遂行する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度に引き続きプラジュニャーカラグプタの『認識論評釈荘厳』「プラマーナの確立」章のサンスクリット語・チベット語訳テキストの校訂作業および訳注研究を中心にしながら,苦諦に関する議論の注釈箇所(護山),滅諦に関する議論の注釈箇所(三代),自己認識に関する議論の注釈箇所(小林),非認識に関する議論の注釈箇所(稲見)それぞれの研究を継続し,その成果の一部を学術論文のかたちで公刊した。 また,9月16-19日にはオーストリア科学アカデミー(ウィーン)において,第2回国際プラジュニャーカラグプタ研究ワークショップを開催し,Eli Franco, Vincent Eltschinger, 松岡寛子をはじめとする海外研究協力者ほか,20名近くの参加者による共同研究を実施した。 国内では3回の研究会を開催した。第1回(7月22日,東京学芸大学)は苦諦セクションの解読研究,第2回(12月9日,駒沢大学)は加納和雄氏を招待しての,PVAの校訂者であるラーフラ・サーンクリトヤーヤナのチベット旅行とその足跡に関する講演,そして,第3回(2月14日,信州大学)は矢崎長潤・繆寿楽・護山による研究発表を開催した。このうち,とりわけ加納氏の講演から,PVA校訂で使用されたサンスクリット語写本のうちの貴重な一本である,いわゆる「A写本」の所在が確認できたことをここに報告する。 また,稲見正浩の主導により拡大プラジュニャーカラグプタ研究会(3月23-24日)が開催され,PVA解読研究および研究成果の発表が行われた。 以上の本年度の成果の一部は,Eli Franco教授古稀研究論集To the Heart of Truth, 『印度学仏教学研究』『プラジュニャーカラグプタ研究』等において公刊されており,プラジュニャーカラグプタ研究会ホームページでも関連情報が記載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,プラジュニャーカラグプタの『認識論評釈荘厳』「プラマーナの確立」章のテキスト校訂と訳注研究が基礎となるが,そのための解読作業は護山・三代により個別に進められており,随時,その成果は論文の形で公刊されている。ただし,その解読のペースは予定よりも若干遅れ気味である点は否めない。その理由は,本務校で諸業務のために,まとまった研究時間が確保できない点にある。この点を改善するための妙策はないが,授業がない期間を上手く活用しながら,解読研究のペースアップをはかりたい。 次に,研究者相互の意見交換と共同研究という点では,国内での研究会を順調に開催できており,年一回の国際ワークショップに関しても,海外研究協力者であるEli Franco教授,松岡寛子博士の協力により,オーストリア科学アカデミーで開催することができた。国際ワークショップには,アメリカ・フランス・ドイツ・オーストリア・韓国等からの参加者があり,2024年度以降の開催についても協力体制を築きたいという申し出を受けている。もともとは,海外から一名か二名の研究者を招聘して研究セミナーを開催することが研究計画に盛り込まれていたが,国際ワークショップというより充実した形式で,プラジュニャーカラグプタ研究の国際共同研究のプラットフォームが確立できたことは,予定以上の成果として明記しておきたい。 また,分担者の稲見正浩教授の主導による定期プラジュニャーカラグプタ研究会(毎週月曜日13:00-18:00)で研究分担者がオンラインで顔を合わせ,研究の進捗について意見交換を行っており,研究計画の微修正などを行うことができた。 本年度は,海外研究協力者の松岡寛子氏の尽力により,Eli Franco教授古稀記念論集が刊行されたが,研究分担者全員の研究成果を公刊することができ,オープンアクセスにも貢献することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては,プラジュニャーカラグプタの『認識論評釈荘厳』「プラマーナの確立」章のテキスト校訂と訳注研究を継続して進めていく。護山の担当箇所に関しては,本年度中に,苦諦セクションの校訂と訳注を終えることと,輪廻の論証セクションにおける未来原因説関連箇所のテキスト校訂と訳注とを公刊することを目標としている。三代の担当箇所に関しても,滅諦セクションの解読をすすめる。以上の箇所に関しては,海外研究協力者の松岡寛子氏の協力のもと,ヤマーリ注のサンスクリット語写本とその校訂研究とも緊密に連携をとりながら進めていく。同時にまた,稲見の担当箇所(「他者のための推理」章末尾の非認識をめぐる議論),小林の担当箇所(「知覚」章の自己認識をめぐる議論)の解読研究も進める。 2024年度に関しては,パリの高等研究実習院にて第3回国際ワークショップを開催することが決定している。PVAの苦諦セクションの解読研究を中心にしながら,海外の研究者も交えた形で,研究発表を充実させていく予定である。また,国内での研究会もこれまでと同様のペースで開催し,研究課題である仏教教義の解釈に見られる哲学的思索と宗教的信条との関係性の理解を深めていきたい。そのため,アビダルマ仏教の研究者を招待して意見交換を行うことも必要になろう。なお,2025年にライプチヒ大学で開催される国際仏教学会(IABS)の学術大会においては,本研究課題と密接に関連するパネル「Prajnakaragupta’s Philosophy and Its Influence: Perception, Causation, and Non-duality」が採択された。 また,仏教認識論の東アジア的展開に関して,高野山大学所蔵の因明文献の予備的調査にも着手することを予定している。 研究成果は『プラジュニャーカラグプタ研究』等で公刊する。
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