Project/Area Number |
23K21884
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Project/Area Number (Other) |
22H00612 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
磯前 順一 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60232378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 静 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (00447319)
関口 寛 同志社大学, 人文科学研究所, 准教授 (20323909)
小倉 慈司 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (20581101)
苅田 真司 國學院大學, 法学部, 教授 (30251458)
大村 一真 国際日本文化研究センター, 研究部, 機関研究員 (30983697)
吉田 一彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 名誉教授 (40230726)
村島 健司 尚絅大学, 現代文化学部, 准教授 (60707511)
熊本 史雄 駒澤大学, 文学部, 教授 (70384021)
小田 龍哉 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (90821744)
鈴木 規夫 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (70271468)
片岡 耕平 北海学園大学, 人文学部, 教授 (00466517)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 井上哲次郎 / 国民国家 / ネットワークとしての思想史 / 東アジア / ナショナリズム |
Outline of Research at the Start |
国民国家の特徴をなす「凡庸な思想家」(ベネディクト・アンダーソン)の日本的特徴としての井上哲次郎の思想およびその人的ネットワーク形成を、井上関係書簡の分析を通して把握する。そこにおいて、国民国家が儒教とドイツ哲学を組み合わせた日本的な特徴を土台として、いかなる形で形成され、展開していったのかを明らかにする。それは、国民国家の日本近代における特質を明らかにするとともに、その現代的な克服の仕方を示唆するものとなりうるものである。そのためにこそ、一流の突出した思想家に焦点を当てるだけでなく、「凡庸」と呼ばれつつも、政治的手腕に長けた思想家たちや教育者に着目する必要がある。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、国際日本文化研究センターの所蔵する井上哲次郎宛書簡140点について、小倉慈司(国立歴史民俗博物館)と熊本史雄(駒澤大学)を中心に史料整理および翻刻作業をほぼ完成させた。 次に、井上書簡の具体的な分析の検討のために、年間4回の研究会を日文研で開催した。第一回の研究会では、上記小倉および熊本が、書簡分析の方法論に関する議論を行った。第二回の研究会では、関野樹(日文研)が研究報告を行い、井上書簡のデジタル化に関する議論を行った。第三回の研究会では、吉村智博 (大阪公立大学) が井上の主著である『国民道徳概論』と被差別民の関係性について報告し、李慶美 (東北亜歴史財団) が井上哲次郎と新カント主義、荻原稔 (國學院大学) が井上哲次郎と神崎一作を中心とする神道思想の関連性をそれぞれ発表した。最後に、第四回の研究会では、澤井真代 (法政大学沖縄文化研究所)と小田龍哉 (同志社大学人文科学研究所) が、井上哲次郎関連書簡の分析を通して、井上哲次郎と当時の明治政府・官僚との関係性、および、新体詩を中心とした国文学との関係性を協議した。 また研究会の国際的展開として、ソウル大学日本研究所との研究交流を行った。まず、磯前順一(日文研)の報告は、国民国家の展開を今一度、明治近代の文脈に位置づけ、「凡庸な思想」こそが国民統合を容易に具現化する視点が提示された。また苅田真司 (國學院大学) と小倉慈司の2つの報告は、この思想史的文脈の手がかりとして井上の国民国家論を取り上げ、その検討のために書簡分析が主題となることを論じた。最後に、伊東貴之(日文研)の報告および南基正(ソウル大)と趙寛子(ソウル大)のそれぞれのコメントでは、近代日本における儒教の役割を、東アジアにおける儒教の展開を踏まえながら考察しつつ、「国民国家の終焉をいかに論じるのか」という問いを諸報告と関連させながら協議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な分析対象史料である、日文研所蔵の井上宛書簡140点の翻刻作業がほぼ完成し、この書簡を通した井上哲次郎の思想分析を年間4回の研究会のなかで実施することができた。また、書簡データのデータ化・共有化に関する議論を密に行うこともでき、その今日的意義についての議論を進めることができた。 また、日文研とソウル大学との共催であった国際ワークショップを通して、本研究の意義や成果を国際的に発信するとともに、関連研究に従事する東アジアの研究者とのネットワークを形成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の当初の目的である、日文研所蔵の井上宛書簡の翻刻の完成と公開、及び、井上宛書簡から見ることのできる新たな井上像の探求を実現化するため、井上書簡の翻刻内容に関するデータをオンライン上で公刊するための具体的な手続きを行うと同時に、共同研究会の成果を踏まえた、本書簡に関する解題の執筆・公開を目指す。そのため、来年度も、共同研究会の中で井上哲次郎の関連書簡に関する分析を継続するとともに、本研究の意義や成果を国際的に発信する研究活動・発表に対して意欲的に取り組む。
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