Project/Area Number |
23K21890
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Project/Area Number (Other) |
22H00618 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桝屋 友子 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (40300735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 百里子 (阿部百里子) 東京大学, 東洋文化研究所, 助教 (50445615)
神田 惟 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (20823462)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 陶器 / エジプト / イスラーム / 大原美術館 / 陶器史 / フスタート / 児島虎次郎 / フーケ |
Outline of Research at the Start |
エジプトはイスラーム時代の陶器生産の重要な中心地であったが、完形遺品が少ないため、その実態はいまだ明らかにされていない。そこで、19世紀末にエジプトで採集された保存状態のよい大型陶片約400点から成る岡山県倉敷市の大原美術館所蔵の陶片群(フーケ・コレクション)を研究対象とし、それらを地域、時代、技法、モチーフに基づいて詳しく分類・分析・考察することによって、エジプトにおけるイスラーム陶器通史の構築を美術史の立場から提示し、国際的な学術貢献を果たす。
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Outline of Annual Research Achievements |
19世紀末、フランス人医師フーケはエジプト、カイロの旧市街であるフスタートにてイスラーム時代の古い陶片が無数に散らばっているのを発見し、それを採集した。これらの陶片は、イスラーム時代の陶器生産の重要な中心地であったはずのカイロにおいてどのような陶器が生産され使用されてきたかを如実に物語る貴重な資料と言える。このフーケの発見に基づき、その後組織的な発掘がフスタートで行われることとなった。フーケが採集した陶片は収集時期が他に先駆けるために、状態が良く、陶片が大きいことで知られるが、1914年のフーケの死後、渡欧した日本人洋画家児島虎次郎がそのうち400点を岡山県倉敷市の実業家大原孫三郎のために購入し、その後同市の大原美術館の所蔵となった。児島購入の陶片資料は、欧米においては長らく所在不明と考えられたものであり、大原美術館でも学術的な調査が行われないまま、今日に至っていた。この度、これら貴重なイスラーム陶器資料をイスラーム美術研究者が詳細に記録、調査することによって、エジプトにおけるイスラーム陶器通史の構築を美術史の立場から提示し、国際的な学術貢献を果たすことが本研究の目的である。 初年度に引き続き、大原美術館学芸課のご協力をいただき、陶片の写真撮影、実測図作成といった記録作業と美術史的・考古学的調査を進め、当該年度は大原美術館所蔵の全ての陶片について俯瞰・側面観から成る全陶片の本格的な写真撮影、実測図作成が完了し、陶片の美術史学的調査も一通り終了した。また、エジプトにおけるフスタートの現況、採集地点の確認、およびカイロにおけるフスタート出土陶片の調査をカイロで、ヨーロッパにおける児島のイスラーム美術品購入の状況を探るための調査を岡山県高梁市成羽美術館で、児島購入以外のフーケ採集陶片の所蔵状況を追跡するための調査をニューヨーク、メトロポリタン美術館で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大原美術館所蔵の400点の陶片の記録作業、調査については完了した。記録・調査結果は研究分担者・協力者の間でデータベースを共有することで順調に進んでいる。岡山、エジプト、アメリカにての、陶片そのものの調査、採集・購入にまつわる経緯の調査も予定通りの遂行状況である。これらの記録および調査を優先したために、研究協力者による科学調査については次年度に持ち越した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大原美術館において、ラスター彩陶器を中心とした科学調査と、児島虎次郎が残した未見の文字資料の調査を行う。さらにフーケの集めた資料や美術品、彼のカイロでの活動状況をより具体的に把握するために、フーケ関連資料が保存されているパリで調査を行う予定である。 英文による調査報告書作成のため、全陶片カタログ、エジプト陶器を中心としたイスラーム陶器史各論、フーケ、児島虎次郎、大原美術館に関連する19世紀から20世紀前半にかけてのフスタート出土陶片の収集経緯の説明の執筆、編集に取り掛かり、これに掲載するための写真・実測図の版組作業を行う。
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