背後世界との関係を媒介する仏像の研究―納入品と立地に着目して
Project/Area Number |
23K21894
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Project/Area Number (Other) |
22H00622 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川瀬 由照 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00541228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 龍作 東北大学, 文学研究科, 教授 (70189108)
奥 健夫 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (70983162)
神田 雅章 龍谷大学, 文学部, 教授 (80241503)
近藤 暁子 山梨県立博物館, 山梨県立博物館, 学芸員 (80574152)
瀬谷 貴之 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 主任学芸員 (50443411)
久慈 麻亜沙 (深沢麻亜沙) 栃木県立博物館, 学芸部人文課, 研究員 (70827782)
皿井 舞 学習院大学, 文学部, 教授 (80392546)
田中 健一 京都大学, 文学研究科, 准教授 (00611188)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 背後世界 / 像内納入品 / 仏像の立地 / 生身仏 / 霊験仏 / 仏像 / 立地 / 納入品 |
Outline of Research at the Start |
仏像を、背後世界(仏の世界)と人とを媒介する役割を担う造形ととらえ、目に見えない仏とその世界がどのように表象されているかを明らかにすることを目的とする。そのために、仏像の「納入品」と仏像の置かれる「場所・立地」に着目し、詳細な調査分析を通して仏像と人とが結ぶ関係について考究する。膨大な情報量のある納入品の分析は未だ充分でないものも多く、個人の研究では限界があり、安置場所の分析も有為の研究者の視点に基づく現地調査が必須である。本研究は、各地域の情報に卓越した研究者を組織し、①納入品と②場所・立地の二つの観点から共同で現地調査を行い、仏像において背後世界はどのように表象されているかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、仏像を、背後世界(仏の世界)と人とを媒介する役割を担う造形ととらえ、目に見えない仏とその世界がどのように表象されているかを明らかにすることを目的とする。本研究の目的を遂行するため、昨年度は仏像の置かれる「場所・立地」にかかわる作品の調査研究を主に行った。場所に係る像として(1)島根県隠岐の島町高田神社の神像群、天健金草神社神像群(2)栃木県宇都宮市大関観音堂観音像(2)富山県立山帝釈天像(4)東大寺開山堂良弁僧正像(5)千葉県栄町龍角寺薬師如来像(6)神奈川県横須賀市満願寺観音菩薩・地蔵菩薩像(7)同市満昌寺三浦義明像ほかの調査を行った。 (1)の天健金草神社の神像は10世紀にさかのぼる僧形八幡神像と本地仏で天慶三年(940)に従三位になった頃の制作とみられる。(2)は当社の『高田大明神縁起』記す本地仏、金剛界胎蔵界のそれぞれの大日如来像が祀られていることがわかり、さらにこれに関連する毘沙門天像も安置されていた。縁起の記された嘉慶三年(1388)にあう時代の制作年代であることも判明した。(2)は奈良時代後半に制作されたと今回判定した観音像で、下野薬師寺と山林修行の場であった大谷寺の中間に位置する場所にある像で、しかも2メートルをこえる巨像の観音像で当地における信仰・造像にとって意義ある像であることが判明した。(3)はこれまで不明な像であったが13世紀前半の帝釈天の神仏習合像で立山信仰の様相をうかがうことのできる貴重な作品であることが明らかとなった。(4)は東大寺初代別当の肖像で、当地における伝承や平安前期における良弁の位置づけを知る上に重要な位置づけがあることは判明した。(5)は当地における造像の進取性が明らかとなり、(6)(7)は当地における霊験像に対する検証をすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に示した作品の中には新たに追加等で調査を行うことになったものもあり、しかも未調査の物件で、初年度の調査としてはかなりの数をこなすことができた。とくに島根県隠岐の島町天健金草神社および高田神社の神像群は新発見の作品で、古代から中世にかけての当地の信仰・造像・文化をうかがうことのできる資料であることが判明した。縁起に記された内容に当たるものがそのまま伝来・保存されていることもわかり、当初想定した内容よりはるかに大きな成果を得ることができた。他の作品の調査の成果も大きなものがあった。調書や写真資料も今回の科研での成果であり、他にはない情報、資料を作成、入手することができている。 また、日本彫刻史の大家である田邉三郎助氏の所蔵する写真・資料の一括が寄贈になり、本研究の基礎資料としてデータ入力を行い、調査時の資料として活用することができつつある。入力はまだ途中であるが来年度までに研究者に公開できるよう準備を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、仏像を、背後世界(仏の世界)と人とを媒介する役割を担う造形ととらえ、目に見えない仏とその世界がどのように表象されているかを明らかにするために①立地、場所②納入品の2点を大きな柱として関係作品の調査・分析を行う。 ①については引き続き日本の境界を守護する隠岐の島に関係する資料の分析を行い、さらに聖地における造形、例えば霊山等における仏像・神像の調査をあらたに進める。今年度追加したいと考えている修験関係の造像を分析することは日本の彫刻の底流にある聖なる造像を解明する大きな視点となると想定している。 ②に関しては納入品の品目、つまりどのような種類の納入品を納めるかによって仏像に期待される意図が異なるのではないか想定しており、種類に関する調査分析を進める予定である。あわせて結縁交名に記される人名の分析を行い、造像の意図について検証を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)
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[Book] 下野薬師寺2022
Author(s)
川瀬由照
Total Pages
79
Publisher
早稲田大学會津八一記念博物館
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