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中世やまと絵屏風の技法復元を中心とする総合的研究

Research Project

Project/Area Number 23K21900
Project/Area Number (Other) 22H00628 (2022-2023)
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Allocation TypeMulti-year Fund (2024)
Single-year Grants (2022-2023)
Section一般
Review Section Basic Section 01070:Theory of art practice-related
Research InstitutionAichi University of the Arts

Principal Investigator

阪野 智啓  愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (00713679)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 龍澤 彩  金城学院大学, 文学部, 教授 (00342676)
荒木 恵信  金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (00381690)
中神 敬子  愛知県立芸術大学, 美術学部, 非常勤講師 (10750474)
岩永 てるみ  愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (80345347)
高岸 輝  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80416263)
本田 光子  愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (80631126)
井戸 美里  京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (90704510)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2024)
Budget Amount *help
¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Keywordsやまと絵屏風 / 復元模写 / 雲母地 / 浜松図屏風 / 画中画 / 二扇縁取屏風 / みがきつけ / 金箔技法
Outline of Research at the Start

やまと絵屏風は十六世紀と十五世紀では技法表現が大きく転換しており、現存が確認できる上限年代である十五世紀では、近世の定番である金箔地ではなく雲母地であり、金よりも銀が優位的な微塵箔みがきつけによる水平な雲が漂う。また画中画資料から読み取れるそれ以前の屏風はほとんどが二扇縁取りで、雲霞も青い。また唐紙を思わせる描写も数多くあることから、近世と中世との技法的な隔たりは大きいが、現存作例がないため詳細は明らかにされていない。本研究は実技の視点から、現存作例の復元と画中画の分析、扇絵や唐紙、料紙に結びつくやまと絵技法の試作を通してやまと絵屏風の技法的変遷に迫るものである。

Outline of Annual Research Achievements

令和5年度は、令和6年1月~2月に開催が実現した本科研の研究成果を中心とした京都工芸繊維大学美術工芸資料館における展示およびシンポジウムに向けての研究進捗や準備が中心となった。具体的には、以下のような実績がある。
光輝表現技法の解明として、これまでの「浜松図屏風」や「日月山水図屏風」を中心とした技法考察に加え、サントリ―美術館における「日吉山王・祇園祭礼図屏風」の調査や名古屋市博物館での金箔地技法調査、「松図屏風」の考察などを加えて、各技法における試作手板を作成した。
上記の各技法と、画中画、料紙、唐紙などの周辺分野の技法調査も行い、研究の軸でもある旧里見家本「浜松図屏風」の技法史的な位置についての探究を継続している。料紙、唐紙の技法を通覧する限り、これまで追求してきた雲母地は比較的容易な技法の分類であろうことも判ってきた。
中世屏風絵の裏地について、画中画資料を基にして材料、色、表現、技法の考察を行い、その技法の解明に至った。具体的には中世の屏風裏地は近世以降に見られるような青色地ではなく、画中画で確認する限りほぼ全てにおいて赤色または褐色地であり、さらには鳥襷紋に代表されるような大紋が黒色で摺られている可能性が最も高いことが判明している。
金箔成型方法の調査では、箔打師の今越清次郎(1883~1974)の伝承記録に加えて村松標左衛門の『工業農事見聞録』から、寄せ集めて成型する「建箔」の具体的な方法について考察している。
京都工芸繊維大学美術工芸資料館での研究展「よみがえる中世屏風ー京洛の祝祭、白砂青松の海ー」を実施し、同時にシンポジウム「中世やまと絵屏風を技法と主題から読み解く」、解説コラムを掲載したパンフレットを作成した。シンポジウムには定員を超える133名が、展覧会は1155名の来場があった。期間中には中世やまと絵技法に関わるワークショップも開催した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

京都工芸繊維大学における展示は、当初予定では令和6年度中での開催を目指していたが、前倒して令和5年度に実施することになり、それに合わせて実施する研究計画をやや早めたこともある。それにより、課題としている中世やまと絵に関わる光輝表現技法の試作が進展し、同時に雲母地、金箔技法と料紙、唐紙分野との技法比較が可能となって研究が進展した。
展示に合わせたシンポジウムでは多くの研究者の来場もあり、プロジェクトとしては前の科研の宿題でもあった石山寺縁起絵巻の画中画から再現を試みた「浜松図屏風」の展示と発表が適い、それに対しての忌憚ない意見も頂戴することができ、本研究でも画中画を利用した研究が今後も続くことから、研究の方向性を考える上でも大変貴重な機会となった。
また金箔成型方法については、文化財保存修復学会で名古屋市博物館における近世初期屏風絵群の金箔地調査の発表を行ったことをきっかけとして、金沢伝統箔協会の松村謙一氏より文献資料のご示唆を受けることができ、それを精査したところ、19世紀に下るものではあるが箔片を寄せて集める成型方法である「建箔」(あるいは「寄箔」)の具体的な作業方法を推測できる記述を見つけることができ、ほぼどのような方法だったのか同定することができた。近世初期の金箔の様子から、この技法は同時代まで遡ることが確実で、大きく研究が進展している。
屏風裏地は画中画からの状況証拠と、いくつかの文献的な記述も見いだせており、中世においては裏地は赤色が定番で、文様は黒色、しかも鳥襷大紋がもっとも多いことも導き出せた。

Strategy for Future Research Activity

・石山寺本「浜松図屏風」の課題整理と技法試作:画中画の役割をどのように考えるか(松のうねりは演出?)、六扇一括と二扇縁取り、青い雲霞の表現方法、下品の屏風と「雲母地」の保存修復分野からの見方など。技法試作では東博本「日月山水図屏風」日隻の団雲(微塵箔みがきつけの別パターン/料紙技法により近接か)、金地扇面の金箔地技法(雲母地、金箔削り、金泥の活用)、和製唐紙の具引き地などを予定する。
・様式の復元(画中画「桜花流水図屏風」を中心に):唐紙下地彩色障屏画の可能性、とくに波濤文唐紙について研究を進める。「當麻曼荼羅縁起絵巻」画中画のような料紙装飾的なものだけでなく、徳川美術館蔵『法華経』普門品のように波濤文唐紙下地に彩色やまと絵を大画面にも描いていた可能性があり、以下の作例の分析する。「法然上人行上絵」画中画桜花流水図屏風(波濤文にさらに青い水表現が重なる。「法然上人行状絵」にはそれらしき波濤文障子絵が複数ある)、永和本「四聖御影」 画中画衝立・障子絵(青い水表現と白地の波濤文が接合して共存)、「十界図屏風」画中画屏風(二扇単位で画題が異なるが、ほぼ同じストロークの版木のような波濤文が全体にある)、「松崎天神縁起絵巻」画中画障子絵(白地に定型の波濤文が全面にあり、彩色唐絵が描かれる)。それらの分析を踏まえ、画中画「桜花流水図屏風」の復元検討として彩色の部分再現を行い、表現の妥当性の検討する(唐紙下地、二扇単位での画題など)。
・旧里見家本「浜松図屏風」の復元作業を進める。
・令和7年度に東京大学駒場博物館で、本研究に関わる研究発表展の実施がほぼ決まっている。それの開催に向けて、駒場博物館と協働する形で展覧会の概要やパネル展示資料、パンフレット用コラムなどの原稿作成を進める。

Report

(2 results)
  • 2023 Annual Research Report
  • 2022 Annual Research Report
  • Research Products

    (6 results)

All 2024 2023 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] 中世大画面やまと絵における金箔地の研究2023

    • Author(s)
      阪野智啓
    • Journal Title

      日比科学財団研究報告書

      Volume: 令和4年度 Pages: 207-218

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  • [Presentation] 絵巻に描かれた雲母地屏風と裂地の再現2024

    • Author(s)
      阪野智啓,中神敬子
    • Organizer
      シンポジウム「中世やまと絵屏風を技法と主題から読み解く」
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  • [Presentation] 絵巻の画中画からひろがる中世屏風の世界2024

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      髙岸輝
    • Organizer
      シンポジウム「中世やまと絵屏風を技法と主題から読み解く」
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  • [Presentation] 屏風絵における金箔地の研究 -名古屋市博物館所蔵近世初期屏風群を中心に-2023

    • Author(s)
      阪野智啓,本田光子,安井彩子
    • Organizer
      第45回文化財保存修復学会
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      阪野智啓,本田光子,安井彩子
    • Organizer
      45回文化財保存修復学会
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  • [Presentation] 中世の雲母地屏風の再現 ―糊地による大画面制作技法の研究―2022

    • Author(s)
      阪野智啓, 岩永てるみ, 中神敬子, 安井彩子
    • Organizer
      44回文化財保存修復学会
    • Related Report
      2022 Annual Research Report

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Published: 2022-04-19   Modified: 2024-12-25  

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