Project/Area Number |
23K21914
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Project/Area Number (Other) |
22H00642 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
坪井 秀人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90197757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 昭菜 多摩大学, 経営情報学部, 准教授 (20784169)
川口 隆行 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30512579)
シュラトフ ヤロスラブ 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30726807)
溝渕 園子 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (40332861)
黒川 伊織 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (50611638)
石川 巧 立教大学, 文学部, 教授 (60253176)
宋 恵媛 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (60791267)
渡辺 直紀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80409367)
天野 尚樹 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (90647744)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
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Keywords | 戦争捕虜 / シベリア / 強制収容所 / ホロコースト / 戦後責任 / 難民 / シベリア抑留 / 記憶 / 中央アジア / 炭鉱労働 / 原爆 / 核汚染 / カザフスタン / 高麗人 / セミパラチンスク / 抑留 / 東北・中央アジア / ロシア |
Outline of Research at the Start |
第二次世界大戦は北東・中央アジアの地域においてもおびただしい数の難民と戦争捕虜を生みだした。この地域において難民として移動を強いられ、ソ連の収容所に抑留された日本人や朝鮮人たちは国民国家の狭間に落とし込まれた存在として、その経験をどのように表象したのか。従来の日本文学史から周縁化され〈戦後〉に乗り遅れた彼らの表現にはどのような現代的な意義があるのか。本研究は彼らが記した記録や詩歌・小説などの文学作品を調査し考察を行う。さらにドイツやソ連の事例との比較歴史的な視点を導入することで、強制収容所のシステムと思想教育を規定したスターリニズムがもたらした傷跡がどのようなものであったかにも焦点をあてる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は2022年度に引き続きウクライナ情勢のため予定を変更しサハリンでの調査を断念し、まず2022年度に行ったカザフスタン調査の成果を継続させるために2023年3月に訪問し共同でシンポジウムを開催したアバイ国立教育大学のオーラル・ヒストリーセンターと2023年7月12日にzoomで共同研究会を開催した。同センターからは研究会に先立って私たちのグループに議論を深めるために研究状況や資料に関する質問が事前に寄せられるなど有意義な会となり、今後も共同で意見交換を行っていくことが確認出来た。 海外調査については当初予定していたロシアおよびサハリンでの調査は困難という見通しとなったのを受け、戦争捕虜の問題について比較歴史的な考察を進めるために、ドイツのミュンヘン大学歴史学研究室のAndreas Renner教授と連絡を取りあって準備を進め、2024年3月9日に同大学歴史学研究室と共催でベルリンからも2名の研究者を招聘して共同でワークショップを開催した。日本とドイツでは同じシベリアでも戦争捕虜の状況やその歴史記述には共通するところと相違するところがある。そのことを確認することが出来たのみならず研究の蓄積やそのあり方においても相互にそこで交流を深めることが出来た。3月10日にはミュンヘン市内のNSドキュメントセンターでナチズム関係の資料展示を見学し、11日には近郊のダッハウ強制収容所記念館を訪ねてホロコーストの視点から戦争捕虜の問題をとらえ直すことを学んだ。また研究分担者2名は台湾において当該課題の調査を行い、戦争捕虜に関わる聞き取り調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研プロジェクトが始まった初年度からロシアによるウクライナ侵攻という状況が起こり、初年度に予定していたサンクト・ペテルブルクのアーカイブでの調査を見送り、その代わりに3年目に計画していた中央アジア(カザフスタン)での調査を前倒しで行った。その後もロシアをめぐる国際情勢は改善せず、2年目の昨年度(2023年度)に当初計画していてサハリンでの調査も不可能となった。ロシアに保管されるシベリア抑留関係の資料を直接調査することが出来なくなり、本プロジェクトの計画を大幅に変更することを余儀なくされた。 カザフスタンでの調査は複数の研究機関と交流継続が決まるなど期待以上の成果があり、昨年度にもオンライン会議でアバイ国立教育大学とワークショップを行った。また昨年度は種々の点から歴史的状況が共通し本プロジェクトの課題において比較研究の必要性のある日本とドイツの戦争捕虜と強制収容所に関するワークショップをミュンヘン大学と共同で行ったが、そこではドイツとの比較のみならずソ連に帰還した捕虜たちに関わる報告もあり、日本・朝鮮(人)に限定して研究を進めてきた本プロジェクトにマイナーチェンジを加えてドイツ・ロシア(ソ連)との比較という視点を取り込んだ軌道修正を図ることで成果をあげることが期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の後半2年で実現可能でありかつ研究成果をあげることの期待できる調査研究を行うことを最優先にロシア(サハリン含む)での調査は断念し、カザフスタンや韓国・台湾での調査はオンラインも活用して継続する一方、昨年度にミュンヘン大学で同大学の歴史学研究室と共同で行ったワークショップで得られた成果を発展させるべく、ドイツ人捕虜の研究と日本人・朝鮮人捕虜の研究の動向を情報交換して共有し、共同の議論の場を作る。そのために2024年度にミュンヘンの会議で招聘し研究課題を共同で継続することで合意したJoerg Morre氏が館長をつとめるカールスホルスト博物館(Museum Berlin-Karlshorst)と共同してベルリンで国際ワークショップを開催する。日本もドイツも戦後80年という節目の年であり、そのことを意識した議論の場を用意し、さらに拡がりのある共同研究の体制を構築することに努めたい。但し、円安状況その他が原因で予算運用が難しい面があるため、最終年度の2025年度の予算の一部を前倒し使用するなどの工夫を行う必要がある(最終年度には海外での調査は行わず本プロジェクトを総括する国内会議を計画している)。
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