近世肥前磁器の生産・消費の地域化と世界流通の相関について-グローカル化の陶磁史-
Project/Area Number |
23K21960
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Project/Area Number (Other) |
22H00688 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
野上 建紀 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (60722030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 芳郎 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (10210965)
田中 和彦 鶴見大学, 文学部, 教授 (50407384)
佐々木 達夫 公益財団法人古代学協会, その他部局等, 理事 (60111754)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 肥前磁器 / グローカル化 / 長崎・五島・天草 / チョコレートカップ / 景徳鎮・ベトナム / 中南米 / ベトナム / 景徳鎮・福建 / 五島・天草 / 長崎 / 五島 / 天草 |
Outline of Research at the Start |
近世のグローバリゼーションによって、有田焼などに代表される肥前磁器はイマリと称され、生産地からみて地球の裏側にあたる中南米にまで流通するようになった。本研究ではまず肥前磁器の生産地調査とともに、中南米やアジアにおける肥前磁器の出土地点の調査を行い、肥前磁器の世界的流通ルートを解明する。そして、生産地と消費地の出土遺物の分析を行って、肥前磁器の需要の特質と文化史的な位置付けを明らかにする。さらに、生産地と消費地の地域的様相を比較しながら、生産と消費の地域化と流通の地球規模化の関係を考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
近世のグローバリゼーションによって、有田焼などに代表される肥前磁器はイマリと称され、生産地からみて地球の裏側にあたる中南米にまで流通するようになった。本研究ではまず肥前磁器の生産地調査とともに、中南米やアジアにおける肥前磁器の出土地点の調査を行い、肥前磁器の世界的流通ルートを解明する。そして、生産地と消費地の出土遺物の分析を行って、肥前磁器の需要の特質と文化史的な位置付けを明らかにする。さらに、生産地と消費地の地域的様相を比較しながら、生産と消費の地域化と流通の地球規模化の関係を考える。これらのことを達成するために、本研究では3つのフェーズを設定している。フェーズIは、生産地の窯や積出港を研究する「肥前磁器の生産地研究」、フェーズIIは、主に 中南米などの海外消費地の研究を行う「肥前磁器の消費地研究」、そして、フェーズIIIがフェーズIとIIの成果をもとにした「肥前磁器の生産・消費と流通にみる「グローカル化」」の研究である。 2022・2023年度は、フェーズIにあたり、生産地研究が中心となる。2023年度は長崎県五島の八本木窯を調査対象地として設定して、発掘調査を中心に行った。窯跡の位置と方向を把握するための試掘調査である。併せて原料に関する調査も行なった。そして、技術的源流を探るために波佐見焼の窯跡出土遺物を調査し、主として文様の比較から影響関係を探った。また、フェーズIIの消費地研究に向けて、調査地を選定するための資料収集も行った。肥前磁器の特質を相対化し明らかにするため、同じく清の海禁政策下に海外輸出を行なっていたベトナムを比較対象として選定し、その窯業地と消費地の調査を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のフェーズIにあたる生産地研究における窯跡の発掘調査は順調に行うことができた。2022年度に五島焼(長崎県五島市)の八本木窯の発掘調査を開始した。八本木窯については江戸時代後期の絵図が残っているものの、考古学的な調査や研究が行われたことがなく、位置や範囲など詳細が不明であった。2022年度の調査では奥壁、側壁、床境(砂床と火床の境界)の位置、焼成室の横幅や奥行を明らかにした。続く2023年度も前年度に引き続き八本木窯の発掘調査を行った。登り窯の中間部の位置、登り窯の方向が判明した。そして、五島焼の技術的な影響を与えたと考えられる波佐見焼(長崎県波佐見町)の三股本登窯、三股新登窯、皿山本登窯、永尾本登窯などの窯跡出土の製品との比較研究を行なった。よって、フェーズIの生産地研究は概ね順調に進んでいる。 また、フェーズIIは消費地研究が中心である。2022年度は中米(メキシコ、プエブラ、カルパン)およびスペイン(マドリッド、セビーリャ、カディス)などの消費地の調査を行っている。また、消費地研究だけでなく、肥前磁器の生産を相対化するために肥前以外の生産地と消費地の関係を明らかにしたいと考えている。そのため、2022・2023年度はベトナム、特に北部を調査対象とし、ハノイ近郊の生産地(トーハー焼)と消費地(ドゥオンラム)の現地調査を行なった。2024年度も継続して行なう予定である。よって、フェーズIIの消費地研究の準備も概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はフェーズIIとなるが、生産地研究は継続して行なっていく。また、フェーズIIの消費地研究と肥前以外の生産地と消費地の関係の研究を進めていく。 フェーズIの生産地研究は、2023年度に引き続き、長崎県五島の八本木窯の発掘調査を行う予定である。行政的な手続きを踏み、夏から秋にかけて着手できるようにする。2023年度の発掘調査で登り窯の中間部の位置と方向を明らかにすることができたため、2024年度は詳細な地形測量を行なうとともに登り窯の範囲を明らかにする。そして、登り窯に付帯する工房や水碓小屋、素焼き窯などの遺構の位置の推定を行いたい。さらに八本木窯や田ノ江窯など島嶼部の登り窯の特質を知るために、肥前窯業圏の中心的窯場である有田や波佐見の登り窯の資料整理、同じく肥前窯業圏の周縁に位置する窯場との比較検討を継続して行う計画である。 フェーズIIの消費地研究については、中南米や太平洋におけるガレオン貿易ルート上の遺跡の出土遺物の調査を主に行なう。中米・カリブ海(メキシコ、ジャマイカ、ドミニカ)、太平洋(サイパン)を候補に考えている。これらの遺跡からチョコレートカップを中心に肥前磁器、中国磁器の調査を行う。加えて中国とベトナムの陶磁器生産地と消費地、そして、それらをつなぐ港市の調査を行なう計画である。中国は景徳鎮を中心に、ベトナムはハノイ周辺および中部のホイアンを候補に考えている。 そして、以上の研究の途中経過や中間的な成果について、随時、公表していくつもりである。
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Report
(2 results)
Research Products
(24 results)