Project/Area Number |
23K21969
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Project/Area Number (Other) |
22H00697 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
鐘江 宏之 学習院大学, 文学部, 教授 (80272433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 喜孝 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (10331290)
石神 裕之 京都芸術大学, 芸術学部, 教授 (10458929)
長谷川 怜 皇學館大学, 文学部, 准教授 (10846538)
堀田 幸義 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (20436182)
佐藤 雄介 学習院大学, 文学部, 准教授 (20624307)
林 大樹 東京大学, 史料編纂所, 特別研究員 (30882790)
千葉 功 学習院大学, 文学部, 教授 (50327954)
佐藤 信 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (80132744)
岩淵 令治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90300681)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 江戸 / 木簡 / 汐留遺跡 / 大名屋敷 / 新橋停車場 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、東京都港区の汐留遺跡で出土した2900点を超える木簡群を対象として、すでに発掘調査報告書で報告されている釈文の再検討を行う。研究の準備段階で報告書掲載の資料写真と釈文と比較して検討したところ、釈文には誤りが多く見られたため、報告書に写真が未掲載のものも含めて、資料全点の写真をもとに木簡群の全点について現段階の研究水準でより正確な釈文となるよう、釈文の改訂を目指す。改められた釈文に基づく汐留遺跡の木簡資料を積極的に利用した研究を行うことにより、汐留遺跡木簡群の資料的価値を近世・近代史研究の上で示し、近世・近代史研究における木簡資料利用推進の起爆剤として、研究の飛躍的展開を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、汐留遺跡の発掘調査当時に調査を担当されていた東京都埋蔵文化財センター、および現在の遺物保管を行っている東京都教育庁と交渉しながら、資料そのものを借り出して、デジタルカメラで資料画像を新たに撮影する作業を開始した。 2023年度の前半には、デジタルカメラの機材の選定や、赤外線撮影のためのシステムの構築の検討を行い、購入手続きを進めて、撮影作業を進めるための環境を整えた。あわせて、報告書記載の写真画像をもとにした釈読の再検討作業を保科家屋敷跡の出土分について行った。 こうした環境を整えて撮影の準備を進める一方で、年度の前半には、平行して借り出しのための資料実物の所在確認を進めていたが、収蔵庫内で所在が確認できた資料については、年度の後半から借用を始めた。2023年の11月から2024年2月まで114点を借り出し、これらの資料について、デジタルカメラでの赤外線撮影と可視光線撮影を行い、それぞれ精細な写真画像を得ることができた。2024年2月から2025年5月まで77点を借り出し、同様に作業を進めた。また、東京都から港区に展示のため貸し出し中の資料が7点あり、これについては港区と交渉を進めて、2024年3月に港区立郷土歴史館に出張して撮影を行った。 なお、すでに公表されている発掘調査報告書のデータに基づき、都内の他の遺跡から出土した近世木簡のデータについて入力作業を進め、より多くのデータと比較するためのデータベースを目指して入力データの拡大作業を行った。 以上のような近世木簡データの蓄積を行うとともに、既存の写真画像の検討や、借り出した木簡の観察を通して近世・近代木簡の特徴について知見を深め、近世・近代木簡だけでなく古代・中世の木簡の分析に対しても、得られた知見を活かしながら総合的に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画においては、すでに撮影済のネガフィルムを用いて紙焼き写真を取得し、その写真画像によって資料ごとの釈読の再検討を行う予定であった。しかし、2022年度に、東京都埋蔵文化財センターで撮影済みの写真・フィルムなどの現状を再調査してもらったところ、目標とする再検討に利用するためには十分な精度とは言いがたいことがわかった。また、報告書刊行時のデジタルデータについても、現段階で読み出すことが困難な状況であり、新たにデジタルカメラによる撮影を行って、その写真画像を用いて検討を進める方向へ、方針を大きく転換することになった。 2023年度には、資料の現在の保管先である東京都教育庁と交渉し、資料の借り出しや撮影を実際に開始した。5年間の研究計画の上では、釈読再検討のための基礎データを得ることが遅れてはいるが、新たな方針への転換によって、現物資料を実際に見て検討する機会も得られることになり、部分的には当初計画以上の成果も期待できるようになった。 当初予定では、2022年度に全点の画像を得て、再検討を開始する計画であったが、上記のように、資料を借り出して順次撮影を進めることで新たに資料画像を蓄積している段階であり、2023年度のうちに、約200点の撮影を済ませた。新たな撮影によってかなり鮮明な画像が得られ、また釈読の再検討についても現物を見ながら検討できるという点で、より理想的な作業を行うことができている。ただし、現状ではこうした作業が2023年度の後半から実現できるようになったところであり、作業自体は今後進められる見込みは立っているが、5年間の計画の中ではやや遅れている。また、撮影対象の資料そのものについても、東京都教育庁の協力を得てはいるが、資料の所在がまだ未掌握のものが多くあり、今後の資料所在調査の結果次第で、補助事業期間内の撮影点数も左右される可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、東京都教育庁と東京都埋蔵文化財センターの協力を得ながら、収蔵庫内部における汐留遺跡出土木簡の現在の所在を調べ、所在が明らかになったものを順次借り出して、赤外線と可視光線の二通りの写真撮影を行っている。次年度以降もこの作業を進め、発掘調査報告書にすでに写真が掲載されている資料については、より精細な画像を得て、それをもとに釈読の再検討を推進していきたい。また、報告書に写真が未掲載で、遺物表には釈文しか掲載されていない資料についても、すでに100点近くの所在を確認できているので、これらを次年度以降に借り出して撮影することで、これまで公開されてこなかった資料画像を初めて得ることができる。これらの未見の画像が得られることで、資料釈読の再検討もいっそう進むことが期待できる。 現段階では、収蔵庫内での資料の所在がまだ判明していないものが過半数であり、次年度以降には、まずこれらの所在を明らかにしていくことが今後の研究推進のための重要な課題である。東京都教育庁・東京都埋蔵文化財センターの協力を得ながら、所在確認を進め、より多くの資料の撮影へとつなげていきたい。 借り出した資料の撮影と資料実物の検討については、脇坂家屋敷跡・伊達家屋敷跡・保科家屋敷跡のそれぞれの資料に関して、各大名家について詳しい専門家の力を得られる体制を整えるところまではできている。今後はそれぞれの資料群について、専門家の協力を得ながら、従来よりも精度の高い検討を行い、これらの資料を使った研究の推進を図りたい。 本研究課題での撮影によって得られた赤外線と可視光線での写真画像については、本研究課題の成果として、今後広く研究に利用できるためのデータ公開に向けて、どのような方法でデータを集成し公表していくかを、具体的に検討する必要がある。次年度にはこうした点についても検討を進めて、方向性をかためていきたい。
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