地方档案史料による清代中国基層社会の構造研究―都市・農村の社会圏を中心に
Project/Area Number |
23K21976
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Project/Area Number (Other) |
22H00704 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
水越 知 関西学院大学, 文学部, 教授 (90609538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 秀光 京都大学, 法学研究科, 教授 (30361059)
谷井 陽子 天理大学, 文学部, 教授 (40243092)
伍 躍 大阪経済法科大学, 国際学部, 教授 (60351681)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥15,340,000 (Direct Cost: ¥11,800,000、Indirect Cost: ¥3,540,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
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Keywords | 档案史料 / 基層社会 / 社会圏 / 家族・ジェンダー / 都市・農村 / 档案 / 都市 / 清代 / 女性 / 法制 / 訴訟 / 家族 |
Outline of Research at the Start |
本研究では地方官庁の公文書である「地方档案史料」解読を基礎に、現地調査を含む地理情報の収集を行い、清代中国の基層社会の人間関係 や社会圏の復元を目指す。秩序が大きく変容し、近代化を目前に控えていた中国社会について、(1)地域の自治的組織や宗教結社などの基層社 会の中間団体、(2)婚姻や労働による女性の移動とその社会圏のあり方、(3)档案史料の中の訴訟関係文書の形式と、当時の行政・司法システム がどの程度統一され、機能していたかを主な課題として研究を進める。 また重慶の『巴県档案』に加えて、複数の比較対象を用いることにより、重慶および中国西南地方の都市・農村の社会関係の特徴をより明確にする。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1)地方档案史料の研究基盤整備:関西学院大学所蔵の档案史料および新規にマイクロフィルムを電子化し、3,000件程度の案件について簡易目録の作成を含めて利用環境を整備した。 (2)『南部県衙門档案』の基礎的分析:影印出版された『清代四川南部県衙門档案』を購入して利用可能にするとともに、清代档案史料研究会において影印本の史料的特徴や注意点に関する報告を行った。 (3)地方档案史料の史料上の問題に関して、2022年度明清史夏合宿において「清代地方档案の史料的可能性――「個」の歴史と「無名」の歴史」の題目で研究報告を行い、歴史研究においていかなる情報を抽出し分析すべきか議論を提示した。この報告をもとにして「清代地方档案史料の「虚構」と「事実」」(『人文論究』72-4)を公刊し、近年の争点である史料の信頼性に関する議論を整理して見解を示した。 (4)清代档案史料研究会を10回開催し、研究代表者・分担者のほか、井上徹・岡田悠希・海丹・キムハンバク・張九龍・小野達哉・穆林の各氏による研究報告を行った。また2022年10月22日にキムハンバク著『配流刑の時代』について、谷井陽子・赤城美恵子両氏による書評を含む合評会を開催し、25人の参加者があった。 (5)研究分担者の研究成果:伍躍は档案史料を利用して身分の社会移動、冒捐冒考の問題に関する行政訴訟について研究し、「流品與冒捐冒考―以清代中期以後的「行政訴訟」案例為中心」などの論考を公刊した。鈴木秀光は「私和から見る清代の刑事裁判制度」の研究報告などを通じて、現場レベルの法運用の実態を解明する方法の一つとして、当時の裁判文書が有する法的意義を検討することについて示唆を得、この方向から初歩的検討を行った。谷井陽子は広く歴史的背景を分析する立場から「東部ユーラシアにおけるモンゴル勢力の衰退とその政治的・経済的背景」(『東洋史研究』81-1)を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)地方档案史料の研究基盤整備については、当初関西学院大学所蔵の紙媒体の档案史料についての電子化と目録作成のみを計画していたが、すでに電子化された史料も整理の対象に加え、新たにマイクロフィルムの電子化を実施したために件数が大幅に増加している。このため目録の完成が2023年度にずれ込んだが、作業全体としては順調に進んでいる。『南部県衙門档案』との比較考察については、基本的な作業までは到達し、実際に内容を検討して研究の対象とするために利用環境を整えることはできた。 (2)清代档案史料研究会を通じた研究活動は順調に実施できている。年度前半はオンライン会議方式での開催だったが、年度後半からは対面形式との併用に転換し、研究者間の交流も活発に行っている。今年度は中国や台湾からもオンラインを通じて参加者があり、国際的な学術交流も進めることができている。 (3)地方档案史料のデータ抽出、分析に関する議論は一定の成果を上げることができた。人名・地名などの基礎データの重視と訴訟文書の修辞的な文章に対する議論の整理により、今後の研究方針を定めることができた。一方では具体的なデータ抽出作業は十分には進められておらず、いかなる問題点に関して必要なデータが何かについて考察を進めている段階である。 (4)研究分担者の個別研究はおおむね各自の課題について研究が進展している。とくに『巴県档案』以外の地方档案史料についての史料収集、分析を進めており、最終的な比較考察に結びくものと考えられる。 (5)海外資料調査に関しては、新型コロナウイルス感染症流行の影響により十分な見通しを立てるには至っていない。ただし『巴県档案』『南部県衙門档案』の収集により、海外での档案史料収集の緊急性がないことは明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)地方档案史料の研究基盤整備については現在の作業を継続し、さらに新規の電子化作業を進めることにより史料の利用を促進する。今後は研究会の参加者や関心を持つ研究者にも利用しやすい公開方法を検討するが、フリーで公開することはできないため、公開範囲や方法については議論を行う。 (2)清代档案史料研究会を研究活動の核として、さらに多くの研究者との学術交流を目指す。関連する分野の研究者を招聘して研究報告をしてもらうことや海外の参加者との情報交換をいっそう進める。とくに若手研究者に研究を進めてもらうために研究報告の機会を作ることも配慮する。 (3)地方档案史料のデータ抽出、分析については、これまで研究対象としてきた『巴県档案』「婦女」「家庭」分類などの家族に関する訴訟に加えて、親族内の紛争としてもっとも一般的な土地をめぐる訴訟が含まれる「地権」分類の案件を考察することで、家族に関するデータをより全般的に捉えることを目指す。史料数が多いため短期間に網羅的な成果を上げづらいため、焦点を絞った収集を検討する。 (4)海外資料調査については、中国の四川・重慶方面の調査に向けて準備を進めるが、情勢判断により海外調査ではなく、実質的に史料収集と同じ意味を持つマイクロフィルムの電子化作業に予算や時間を配分する可能性がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)