Project/Area Number |
23K21984
|
Project/Area Number (Other) |
22H00712 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶原 義実 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80335182)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 正幸 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 研究員 (10979149)
三舟 隆之 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (20418586)
稲田 宇大 (金宇大) 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20748058)
古尾谷 知浩 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70280609)
馬場 基 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (70332195)
浦田 真由 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (70634947)
上野 祥史 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90332121)
遠藤 守 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (90367657)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
|
Keywords | 考古学 / 古代史 / 地域史 / 景観研究 / 社会発信 |
Outline of Research at the Start |
古墳時代から古代への移行期において、終末期古墳や寺院・官衙など、種々の技術・文化・社会体制等が地域社会へともたらされる。西濃地域は美濃の中でも終末期古墳が集中し、また古代寺院の造営も早い地域であるが、古墳や古代寺院の分布からみる地域中心の移動、地域社会の変動が、王権の差配や地域権力構造の変化などによるものなのか、それとも環境変化や生産構造のあり方、手工業生産の動向などによるものなのか。それらを実際の広域的な遺跡分布や景観構成を通して、古墳時代終末期~平安時代まで通時的に読み解くことを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
1.不破関跡の発掘調査等の実施: 1)不破関築地塀南西部の発掘調査:2023年度8月に、不破関築地南西隅の発掘調査を実施した。その成果としては次のとおりである。(1)築地塀の構造をあきらかにするとともに、出土遺物等の分析から、造営年代を奈良時代半ば以降と判断した。(2)築地塀造営以前の掘立柱建物を検出した。奈良時代前半以前の不破関の建物について、遺構の重なりからはじめて客観的に検出できたことは貴重な調査所見である。 2)不破関周辺部の踏査および測量調査:2023年度は不破関大関付近のみならず、その北側の天満山丘陵裾部や、また小関地区周辺にも土塁が造営されていた可能性を、詳細等高線図の作成および現地踏査の結果により確認した。これにより、不破関の施設が大関周辺にとどまらず、複数の交通路を遮断する形で有機的に機能していたことがあきらかとなってきた。 2.後期・終末期古墳の検討:2023年度には5月に各務原市二ノ宮神社古墳横穴式石室の測量調査、10月に御嵩町愚渓寺稲荷古墳の墳丘および横穴式石室の測量調査を実施した。さらに古墳検討会を可児市・御嵩町および土岐市・瑞浪市で実施することで、中濃から東濃にかけての後期・終末期古墳の実態をあきらかにした。 3.調査成果の公開:11月に、名古屋大学人文学研究科・関ケ原町・大垣ケーブルテレビ・株式会社イビソクで「不破関の普及及び啓発に向けた連携協力に関する協定」を手結し、今後の成果公開を4者協力のもとで積極的・効果的に実施していくことを確認した。また発掘調査現地説明会や、垂井町・大垣市で不破関の2023年度調査に関する一般向け報告会を実施した。また2023年度に調査した各古墳についても古墳解説シートを作成し、各自治体で配布をおこなうようにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
不破跡の発掘調査において、奈良時代前半以前の不破関の建物について、遺構の重なりからはじめて客観的に検出できたことおよび、測量調査および現地踏査で、広域にわたる関所構造が確認できたことは、古代交通史の解明においてきわめて貴重な調査所見である。 また、「不破関の普及及び啓発に向けた連携協力に関する協定」の締結は、今後の大学での調査研究事業を社会の中に位置づけ還元していく新しい方法論として、今後注目に値する成果であるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.不破関の調査:不破関は1974年から岐阜県教育委員会による発掘調査がおこなわれ、関を囲繞する土塁および中枢施設とされる掘立柱建物数棟が検出され、川原寺式軒丸瓦などの軒瓦が出土した。しかしながら、中枢部は限定的な面積の調査に留まり、建物構造やその時期的変遷について、充分な知見が得られていない。関がどのように機能し、関内部の施設でなにがおこなわれたのかという、古代交通史における課題を解決するには、内部構造の確定が必須である。これらの課題を解決するために、2024年度は以下のプロジェクトを実施する。 1)不破関中枢域の発掘調査:2024年度は政庁中枢域の発掘調査を実施し、関内部の建物配置について考古学的にあきらかにしていく。 2)不破関周辺部の踏査および測量調査:2024年度はとくに小関付近を中心に微地形の測量を実施することで、不破関の全体像に迫る。 3)他の三関および古代軍事に関する諸遺跡との比較:不破関での踏査および測量調査結果は、これまで不分明な部分が多かった鈴鹿関・愛発関の構造解明にも資するところが大きい。2024年度はとくに鈴鹿関の詳細等高線図をもとに現地踏査を実施し、不破関の調査成果を三関全体に敷衍していく。また不破関の構造解明には、朝鮮式山城など古代軍事施設の2あり方との比較も重要であり、こちらもあわせて現地踏査を実施していく。 2.後期・終末期古墳の検討:2024年度は関ケ原町・垂井町で保管する馬具等の鉄器類を中心に実測をおこない資料化する。また、2023年度調査の成果を総合化し、美濃地域の古墳時代から古代移行期の地域実態について考究する。 3.調査成果の公開:「不破関の普及及び啓発に向けた連携協力に関する協定」に基づき、2024年度以降も引き続き継続する。また調査成果公開のWebページの充実等もはかっていく。
|