Project/Area Number |
23K21992
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Project/Area Number (Other) |
22H00720 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
菱田 哲郎 京都府立大学, 文学部, 教授 (20183577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 常人 京都府立大学, 文学部, 特任教授 (00142018)
吉川 真司 京都大学, 文学研究科, 教授 (00212308)
東 昇 京都府立大学, 文学部, 教授 (00416562)
向井 佑介 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (50452298)
岸 泰子 京都府立大学, 文学部, 准教授 (60378817)
藤岡 穣 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (70314341)
上杉 和央 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70379030)
井上 直樹 京都府立大学, 文学部, 教授 (80381929)
諫早 直人 京都府立大学, 文学部, 准教授 (80599423)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
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Keywords | 古代山寺 / 分野総合的探索 / 仏教の浸透過程 / 山寺の構成要素 / 日中韓の山寺比較 / 金剛童子山 / 洞養寺 / 播磨神光寺 / 岩座神地区 / 踏査 / 分野横断的研究 / 百済山寺 / 寺領廃寺 / 上山寺 / 縁城寺 / 総合的検討 / 神光寺跡 / 古代仏教の浸透過程 |
Outline of Research at the Start |
古代に遡る可能性をもつ山寺を探索するため、分野を越えた協業をおこなう。具体的には(1a)寺誌や寺院明細帳の検討、(1b)古代中世の仏教関係史料の検討、(2a)地域に残る仏像などの伝来資料の検討、(2b)建造物や石造物などの検討、(3)地名にもとづく寺院跡の推定により、古代に遡る可能性をもつ寺院跡の候補を抽出する。地域についても研究が手薄な畿内周辺の諸国を取り上げ、遺跡として把握されていない山寺の探索や、中世以降の寺院と見られている寺院の草創についても検討する。その結果、寺院の立地の特性や構成要素についても検討をおこない、それをもとに中国や韓国の同時代の山寺と比較をおこなう。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までの調査によって成果がまとまってきている丹後地域について、金剛童子山の麓に位置する京丹後市須川の洞養寺において、山から下ろしてきた可能性のある仏像を中心に成果報告会をおこない、あわせて山中の寺院の踏査をおこなった。これは、山寺廃絶後の本尊の移動などを考える重要な事例になると考えた。そして、播磨地域においても(1a)寺誌や寺院明細帳の検討、(1b)古代中世の仏教関係史料の検討、(2a)地域に残る仏像などの伝来資料の検討(2b)建造物や石造物などの検討、(3)地名にもとづく寺院跡の推定により、古代に遡る可能性をもつ寺院跡の候補を抽出する作業をおこなった。昨年度に踏査をおこなった多可郡域においては、神光寺跡を中心に岩座神地区の総合的な調査をさらにおこない、その成果を報告書としてまとめることができた。この作業において、集落に比較的近い位置に立地する山寺と、千ヶ峰や笠形山といった名山に位置する山寺の二者に分けることができ、ともに8~9世紀に創始することを確認することができた。こうした立地による古代山寺の分別は、丹後地域においても有効と考えられ、京丹後市峰山町の縁城寺は集落に近い山寺の典型とすることが可能である。 畿内周辺からは離れた地域として香川県の小豆島を取り上げ、分野横断的な総合的な調査をおこなった。険峻な山岳を擁し、かつ多くの寺院が成立し霊場として巡礼もおこなわれていることについて、その古相についても迫れるように検討を深めた。 丹後と播磨のほかの畿内周辺域についても、調査研究の準備をとして、自治体史を中心に寺院関係の記事を収集し、現地の文化財担当者にヒアリングをおこなった。このほか、中国と韓国の山寺についても、基礎的な資料収集を進めた。韓国については、百済地域を中心に巡見をおこない、公州や扶余といった首都周辺の山寺の立地を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 まず、丹後地域については、巡見等の調査成果を総合し、金剛童子山周辺の山寺について成果をまとめ、地元向けの説明会も実施できた。また、播磨地域についても多可郡多可町の神光寺跡について集中的に検討をおこない、採集した遺物などから寺院の展開についての検討をおこなうことができた。こうした成果をまとめ、『播磨神光寺と岩座神地区の文化遺産』として報告書を作成した。丹波地域においてもおおむね情報が集まり、天田郡域については、巡見のための資料調査を終えている。 つぎに、朝鮮半島や中国との比較については、それぞれの山寺の代表例について資料を集めている。そのうち、韓国については百済地域を中心として、扶余と公州を中心に巡見をおこなうことができた。また、中国についても、巡見のための準備にとりかかっており、調査先との連絡などをおこなった結果、令和6年度に実施できる目途が立っている。 また、分野を横断した合同調査として、小豆島の寺社についての検討をおこない、畿内周辺の山寺との比較材料とした。研究者相互の連絡も密にとっており、それぞれの課題共有が図られていることも、順調と判断した根拠である。以上のように、計画にしたがって調査が進んでいるところであるが、対象となる寺院がかなりの数にのぼることから、成果がかとまったところから報告を公刊することとしている。今回は神光寺についての成果がまとまったので、最終年度を待たずに印刷、公刊しており、この手法は令和6年度以降も踏襲したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの方法をさらに地域を広げて推進していく。ただし、地域を薄く広く検討する方法では十分な成果が上がらないため、情報収集ののちに集中的に検討する寺院や地域を定め、異なる分野による検討を一斉におこなう方法をとりたい。具体的には播磨地域において神光寺跡につづけて、周辺地域の寺院を取り上げ、踏査を含め徹底した検討をおこなうこととしたい。また、丹波地域についても天田郡域と何鹿郡域をともに集中して検討をおこなうこととしたい。これまでの検討では、集落近くの山寺と奥山に位置する山寺の性格差が明らかになってきており、こうした検討が可能な地域を近江、伊賀、伊勢などでも探せるように事前調査を進めていくこととする。中国と韓国の事例についても、奥山の山寺とは別に集落近くの山寺の存在があるか否かを検討の対象に加えていきたい。
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