Formation processes of Japanese traditional food culture
Project/Area Number |
23K21997
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Project/Area Number (Other) |
22H00725 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 正史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (50225538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 慎二 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部附属国際人文社会科学研究センター, 准教授 (00609901)
妹尾 裕介 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (20744270)
白石 哲也 山形大学, 学士課程基盤教育院, 准教授 (60825321)
小田 裕樹 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (70416410)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
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Keywords | 和食 / 成立過程 / コメ品種 / 民族考古学 / 土器使用痕 / 湯取り法炊飯 / ウルチ米蒸し / カマド / ススコゲ / 主食調理法 / 民族誌 / コメ品種交代 / 土器 / 土器使用痕研究 / 弥生時代 / 古代 / 米品種交代 / 米蒸し / 土器使用痕分析 |
Outline of Research at the Start |
出土炭化米のDNA分析やプラントオパール分析により「弥生時代では熱帯ジャポニカが多く含まれていたが、中世後半になると温帯ジャポニカが主体になる」という変化が明らかになった。さらに、民族誌比較から、上述の変化に伴ってコメ品種の粘り気度、脱粒性、藁細工適性も変化することが示された。先行研究では、このようなコメ品種の転換について、その伝播経路に重点をおいた研究がなされたきたが、その機能的意味についてはブラックボックスのままであった。そこで、本研究では、このようなコメ品種の転換(粘り気度の増加)に伴い、米の脱穀・脱っぷ法、藁細工利用、主食調理法にみられる弥生から中近世への変化を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、国内ススコゲ観察ワークショップ2回(千葉県草刈遺跡の古墳前期深鍋と石川県額見町遺跡の古代鍋釜)、海外ススコゲ観察会1回(中国浙江省)、食文化民族誌調査3回(北タイ山地民と西ジャワ)などの調査事業を行った。また、南九州(熊本、鹿児島、宮崎の3県)での博物館での資料観察も実施した。これらの調査の結果、以下の点が秋粗化となった。 第一に、北タイ山地民と西ジャワの調査の結果、①ウルチ米蒸しを(炊くのではなく)あえて蒸す理由として、1回の米調理量が多いことと粘り気度の異なるコメ品種の混合の2つがある、②ウルチ米蒸し調理における茹で蒸し法と三度蒸し法の選択理由も上述2要因による、などの点が明らかになった。これらの民族誌モデルを参照して、日本の古墳時代・古代における「西日本の1個掛けカマドと東日本の2個掛けカマドの違い」はウルチ米蒸調理における「茹で蒸し法と二度蒸し法の違い」に起因するという見通しがえられた。この仮説を検証するために、西日本の1個掛けカマドにおける蒸し工程用の長胴釜と茹で工程用の把手付き大型球胴釜の判別を継続している。 第二に、弥生時代~古墳時代前期の湯取り法炊飯の加熱方法にみられる東日本(南関東)と西日本の間の違いについて、①西日本では古墳前期に丸底鍋による浮き置き加熱に変化したが、浮き置き用の3個1組支脚には自然礫も多用された(土製の3個1組支脚の検出例が非常に少ないことがこれまでの課題であった)、②東日本においても部分的に浮き置き加熱を行っていた(ただし、平底鍋を継続した)、などの事実が明らかになった。 上述の成果は、2024年春の学会発表や論文の形で成果を公開しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は北タイとジャワにおいて民族考古学的調査を重点的に行うことができた結果、ウルチ米を蒸す理由とその具体的加熱方法についての民族誌モデルを提示することができた。さらにコメ品種の粘り気度の増加傾向にみられる東西日本間の違いを生み出した理由についても、西ジャワ調査の成果に基づいて民族誌モデルを構築できた。 これらの民族誌モデルを参照して、主食調理方法の変化過程を復元する作業については、2023年度は草刈遺跡と額見町遺跡の2遺跡において実施した。当初に観察を予定したが、実施できなかった遺跡も数か所あることから、次年度に実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、本科研の最終年度になるため、東南アジアにおける食文化の民族考古学的調査(ウルチ米蒸し調理と湯取り法炊飯)、ススコゲ観察ワークショップ(国内と中国・台湾)、理化学的分析(米のアミロース分析)を継続すると共に、より大きな理論的枠組の提示を行う。すなわち、「弥生時代から中世へとコメ品種の粘り気度が徐々に強まる」というコメ品種交代仮説に基づいて、主食調理法、米の調製(脱穀・脱っぷ・精米・貯蔵)方法、米作り方法(特に収穫法)の変化を具体的に復元する枠組みを提示したい。稲作農耕民の民族考古学的調査に基づいて、各項目がコメ品種の粘り気度に応じてどのように変化するかの民族誌モデルを構築することに力をいれたい。 さらに、学会発表、論文、講演会などによる研究成果の公開を活発に行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(24 results)