Project/Area Number |
23K21998
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Project/Area Number (Other) |
22H00726 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Okayama University (2024) Kyoto University of Foreign Studies (2022-2023) |
Principal Investigator |
塚本 憲一郎 岡山大学, 文明動態学研究所, 客員研究員 (20755368)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 古代マヤ文明 / 宮殿 / 古典期 / エル・パルマール遺跡 / 発掘修復 / 王権 / 古代マヤ王朝 / マックス・ウェバー / エル・パルマール王朝 / 日常生活 / 宮廷生活 / 王政 / 中庭 / 発掘 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、メキシコ カンペチェ州南東部に位置するエル・パルマール遺跡の宮殿を平面的・層位的に発掘して、貴族の日々の諸活動と王政との相互作用を明らかにすることである。これまでのマヤ考古学研究では、王政の変化・崩壊を環境変化や外部からの侵入と結びつける傾 向があった。そのため、王政の変化は外的要因と関係づけられ、日々の諸活動との相互作用についてはあまり議論されてこなかった。本研究は、環境史や戦争などの外的要因を考慮しつつも、貴族の日常生活によってそれまでの制度が変化し、新たに制度化された行動規範や、経済、文化などによって日々の生活が変化するという双方向的な社会のプロセスを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、古代マヤ王朝の栄えたメキシコ エル・パルマール遺跡における宮殿の発掘と修復調査により、考古学研究において現在も根強く残っている、為政者の諸活動を直ちに王権の正当化に結びつけるマックス・ウェバーの合理的選択理論と方法論的個人主義の限界を克服することを目的とする。その際に、「宮殿内の貴族による日々の活動と王政は互いに影響を与えながら変化した。」という仮説を検証する。令和5年度は、昨年度の発掘で大量に出土した遺物の分析に加えて、王権の推移を調べるために、広場に設けられた石碑群の調査を実施した。これまでとは異なる高解像度カメラを使った三次元実測を実施することによって、王朝の黎明期に建てられたと考えられる古い暦を有した三体の石碑を解読できた。石碑20には514年のエル・パルマール王が17代目の王であることが判明し、それを裏付ける石碑46の確認もできた。これらの成果をアメリカ考古学年次学会にて発表し、一定の評価を得た。この成果は、国際雑誌にて発表する予定である。遺物分析では、貴族の饗宴跡からこれまでの調査では報告されていない大型かつ洗練された土器を確認すると同時に大量の動物骨を判別した。現地作業員の協力によって、土器分析ではタイプ分類だけではなく、日本考古学の接合作業を取り入れて、生活用品の復元を行った。これらの遺物は、これまで明らかにされていなかった古代マヤ王朝における門閥貴族の闘争を知る上で貴重な資料である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低地マヤ地域で建てられた最古の長期暦を有する石碑を見つけただけでなく、国際共同研究により門閥貴族の諸生活を復元できつつあるのは計画以上に進展していると言える。しかし、メキシコの国家プロジェクトであるユカタン半島を周遊するマヤ列車工事は、現地作業員の不足を促し、主要道路の慢性的な渋滞を発生させているために、現地調査に大きな影響を与えている。そのため、総合的にはおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでの発掘調査と遺物分析をまとめた成果を国際会議や雑誌論文で発表することを目的とする。まず、海外の研究協力者との連携により動物骨分析を実施して、古典期マヤの貴族社会の饗宴の精査して、先行研究で明らかにした都市周縁での饗宴と比較する。次に、前年度に植物種を特定した炭化物を選別し、山形大学高度加速器質量分析センターの門叶冬樹教授によって放射性炭素年代を測定する。その結果に層位と土器分析を組み合わせてベイズモデルを作成して、高精度の編年を確立する。土器分析では、前年度の接合作業によって復元した土器製品の実測と属性分析を実施して、門閥貴族の日用品を復元する。石器分析は宮殿内における技法を解明するために、素材・仕上げ・刃部の形と整形・型式分類に加えて剥片も分類する。床面から特定した有機物と無機物の残滓は、GISを使って床面直上の遺物の空間分布と比較しながら諸活動を復元する。 これらの成果によって、申請の際に提示した「宮殿内の貴族による日々の活動と王政は互いに影響を与えながら変化した。」という仮説を検証する。
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