Project/Area Number |
23K22006
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Project/Area Number (Other) |
22H00734 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
板橋 悠 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80782672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 真史 東海大学, 人文学部, 准教授 (00566961)
菊地 大樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (00612433)
大稔 哲也 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10261687)
新井 才二 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (40815099)
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
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Keywords | ブタ飼育 / 同位体分析 / 動物考古学 / 西アジア型農耕 / 中国文明 / 豚便所 / 先史時代 / 都市 |
Outline of Research at the Start |
従来、先史時代の家畜ブタはヒトの残飯や人糞をエサに飼われていたと考えられてきた。 東アジアでは、モデル通りに骨の同位体分析により残飯や人糞をエサとしたブタ飼育が示唆されている。 一方で、西アジアでは東アジアとは異なる植物性のエサを与えられていた証拠が見つかって いる。しかし、西アジアの同位体分析の結果を検証するブタ飼育の考古学的な証拠が不足しており、この飼育方法は明らかとなっていない。 本研究では、①骨の理化学分析、②動物考古学的手法、③文献・民族資料調査の3つの方法により先史時代のブタ飼育を復元し、農耕文化や環境 を背景としたアジア東西のブタ飼育の差異を検証すると共にブタ家畜化モデルの再考を図る。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の板橋は、2023年8月に中国の広東省での資料調査、2023年9月にはイラクの発掘調査を行い、動物骨の調査と分析用の骨の採取を行った。また11月には丸山と共に兵庫県の遺跡で日本の中世におけるブタ利用を調査した。2023年度の後半は新たに入手した動物骨資料の同位体分析を行い、ブタへの給餌を復元を進めている。代表者および分担者は2023年8月にオーストラリアで開催される国際動物考古学会(ICAZ)に参加し、本研究課題による成果の公表と伝統的なブタ飼育方法に関する発表と情報収集を行った。 分担者の覚張は9月にモンゴル調査に参加し、同位体分析用の動物骨の採取を行った。また分担者の丸山、菊地から提供された資料の同位体分析を行った。 分担者の大稔は、歴史時代のイスラム圏の養豚に関する文献史料の集成を行い、昨年度にエジプトで現代の養豚に関する民族調査の整理を進めている。 分担者の新井は、トルコ南東部で発掘調査に従事し、出土した動物遺存体の分析を進めた。また、古代オリエント博物館所蔵動物骨の調査を行った。古代オリエント博物館主催のシンポジウム「西アジアのいきものを巡る歴史と文化」において「ブタと西アジア」という題目で講演を行った。 分担者の菊地は中国国内に滞在しているため、中国の遺跡調査に参加して動物骨の整理作業と動物供犠に供された動物骨の調査を行った。またブタの飼育施設遺構やその陶器製模型、文献資料を調査し、中国の過去のブタ管理方法についての情報を収集した。 分担者の丸山は、近畿地方を中心に動物遺存体の出土状況を通史的にまとめ、ブタを含む家畜の出現等について検討し、論文化した。また、古代の郡衙関連遺跡におけるイノシシの飼育、ブタ飼育の可能性について代表の板橋悠と論文化を進めている。また、古代の文献に記載される「猪」を収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はトルコやイラク、キルギスタン、エジプトなどでの海外調査が可能となり、現地での発掘や動物骨の整理作業、民族調査を行うことができた。発掘調査により新たな資料を得ると共に、国内外の博物館・大学に所蔵されている動物骨の調査も進んでいる。 また昨年度は資料を得ることができなかった中国へも渡航が可能となり、現地調査と日本へ持ち帰った資料の同位体分析が進んでいる。 日本の遺跡についてはおおむね予定通りに調査と分析が進展し、結果を報告する段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2024年度は、これまでに集成した動物骨の観察結果や民族調査の成果をとりまとめ、各地域の伝統的なブタ飼育についてまとめる段階にある。 動物考古学班、文献学・民族学班はこれまでの調査結果を整理し、報告書や論文としての成果報告を行う。トルコではチャヨヌ遺跡とハルベトスワン・テペシ遺跡で調査を行い、イノシシ類骨の多い遺跡と少ない遺跡の比較から、ブタ/イノシシ利用の評価を行う。また日本では、古代の文献に登場する「猪」が野生であるか、飼育されたものであるかを検証し、仏教思想や穢れの観念による肉食忌避の規制の実態について再考する。 考古科学班は2024年度の前半にこれまでに化学分析用に採取した動物骨の分析を進めて、同位体分析による食性復元を完了させる。年度後半には、分析結果を分担者のまとめた動物考古学や民族学調査の結果と統合し、各地域・各時代のブタへの給餌や管理方法の復元にとりかかる。 2024年1~2月に本課題メンバーを演者としたシンポジウムを開催すると共に、年度末には本課題の成果をとりまとめた報告書を作製し、出版する。
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