Project/Area Number |
23K22008
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Project/Area Number (Other) |
22H00736 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
新免 歳靖 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (40759156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 由理子 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (20804529)
樋口 智寛 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 技術支援本部技術支援部計測分析技術グループ, 主任研究員 (50463063)
水本 和美 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (80610295)
三浦 麻衣子 帝京大学, 付置研究所, 研究員 (80771261)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥15,340,000 (Direct Cost: ¥11,800,000、Indirect Cost: ¥3,540,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 肥前磁器 / 窯焼き・赤絵屋 / 原料製作技術 / 登り窯 / 文化財科学 / 色絵磁器 / 尾張七宝 / 工芸技術 / 3次元計測 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、有田町の窯焼きと赤絵屋という磁器製作工房跡から出土した製作関連資料を対象に考古学的手法や自然科学的手法を用い、肥前磁器における土作りや色絵具作りという原料製造技術の解明を目指す。磁器土や色絵具の製作では、原料となる粉体の粉砕・分粒・研磨・加熱という4種類の加工技術が用いられるものの、近世期における各作業については不明な部分が多い。これらの加工技術は磁器製作以外の粉体を製造する業種において一般的に用いられる技術であるため、近世の鉱業や絵具作りといった異業種における加工技術についても資料調査を行い、近世モノづくりにおける基盤技術の共通性や特異性などを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度からの継続として東京大学構内遺跡から出土した肥前色絵磁器などの胎土・釉薬分析を行った。分析データの検討から昨年度の分析結果に誤差が生じている資料があることが判明し、再測定を実施した。さらに肥前磁器の色絵具は主原料として鉛が用いられていることから、原料産出地の推定を目的として鉛同位体分析を行った。あわせて、肥前磁器に用いられた色絵具の材質調査の一環として、大阪市立美術館所蔵の古九谷青手大皿の調査を行った。これまでの調査・研究では遺跡から出土した考古遺物が主体であったが、火災や埋蔵中の劣化の影響などを資料が受けており、必ずしも正確な材質情報を得られていないことが課題であった。そこで、伝世品の自然科学的調査を行い、材質や構造に関する情報を得ることができた。 色絵磁器に用いられた色絵具の製作技術の比較研究として、尾張七宝の塚本家釉薬見本資料(あま市七宝焼アートビレッジ所蔵)について、釉薬の材質分析を行った。あわせて、現在の尾張七宝業における七宝釉薬の製造技術に関する調査を行った。 本研究では、多様な窯業技術研究の一環としてやきものの焼成技術調査を行っており、特に佐賀県伊万里市椎ノ峯に残存する近世・近代の登り窯(古椎新窯)の調査・保存に関する活動を行っている。今年度は、登り窯の近隣で窯業を営む椎ノ峯窯に現存する窯印の記録調査を行った。また、古椎新窯の比較研究として備前焼、益子焼、丹波焼などの現存する近代窯、三田焼や美濃焼の遺跡として整備された登り窯の調査を行った。また、昨年度に登り窯、窯業生産道具の効率的な調査と記録を行うために3次元計測を導入したが、今年度は試験的に石碑や板碑などの計測を行った。窯業技術との比較としての近世・近代の工芸品の調査研究については、明石玉の科学的調査を行い、製作技術についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、色絵磁器に用いられた色絵具や有田町の工房跡から出土した原料資料について、蛍光X線分析による定量分析を行い、成分元素の数値化を目指していた。しかし、本研究に用いる予定であった蛍光X線分析装置が老朽化によって故障し、修理不可能となったため、研究分担者の機関が所有する機器などを用いたり、別機関の装置を借用して調査を行った。ただし、装置の性能的な制約から定量分析については実施できていない。そこで、必要とする分析が可能な装置を保持する機関を探して、装置を借用する計画である。その点以外としては、有田町における現地調査ができていないため、来年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
肥前色絵磁器に用いられた粘土や釉薬、色絵具などの原料の生産技術・加工技術を明らかにするために、これまでの調査結果の整理を行うとともに、継続中である色絵具の自然科学的調査と未実施であった現地調査を実施する。色絵具の鉛同位体比分析については、分析資料数を増やし、窯業における鉛原料の生産地を明らかにする。古椎新窯の3次元計測データについては、モデル構築したデータの解析と利用しやすいデータ化を行う。窯業関連製作道具の3次元計測については、複雑な形状の木製民俗資料の計測方法の確立を目指し、計測方法の検討を行う。その他、比較関連調査に関するデータ整理と報告書の作成を実施する。
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