Project/Area Number |
23K22009
|
Project/Area Number (Other) |
22H00737 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 准教授 (20303919)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 直隆 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 客員研究員 (00109521)
五條堀 淳 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 講師 (00506800)
丸山 真史 東海大学, 人文学部, 准教授 (00566961)
佐藤 孝雄 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (20269640)
松村 秀一 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30273535)
寺井 洋平 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 准教授 (30432016)
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
菊水 健史 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90302596)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
|
Keywords | イヌ / 家畜化 / 東アジア / 古代DNA / ゲノム解析 / 縄文時代 / 弥生時代 |
Outline of Research at the Start |
核ゲノムを対象とする古代DNA分析は技術的に困難で、東アジアの新石器時代犬の遺伝的系統はまだ解明されていない。本研究は、縄文時代のイヌが東アジアの最古の家畜犬の系統に連なると考え、縄文犬の全ゲノム塩基配列決定を行い、日本列島と東アジアの初期のイヌの特徴を、形態、食性、遺伝的系統などから多角的に明らかにする。さらに、イヌの祖先が伴侶動物としてヒトとの関係を深めることをを可能にした行動遺伝子についても探る。日本の遺跡出土犬の、核の全ゲノム塩基配列決定による系統解析をすすめ、比較対象として中国の遺跡出土犬の核ゲノム分析を行い、最初期の東アジアの家畜犬の系統と日本列島に導入された犬の系統を解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
イヌの家畜化過程の詳細は未解明だが、本研究グループは9300年前頃に日本列島へ導入されアジア大陸部のイヌと地理的に隔離された縄文時代のイヌが、東アジアの最も古い家畜犬の遺伝的系統と形態を保持していたとみている。本研究の目的はユーラシア大陸のオオカミおよび東アジアの初期のイヌの中での縄文犬の系統的位置づけを探り、家畜犬の起源に迫ることである。本研究は日本列島の縄文時代、弥生時代、奈良時代、中世の遺跡から出土した犬骨を、骨形態、次世代シーケンサーを用いた古代DNAの核ゲノム分析、同位体による食性分析などから多角的に検討し、東アジアにおけるイヌの家畜化と、日本犬の成立に至った変化の過程を明らかにしようとするものである。 2023年度までに小竹貝塚(縄文時代前期, 約6000 年前)、上黒岩岩陰遺跡(縄文時代)、須和田遺跡 (8世紀後半)出土の犬骨から抽出した古代DNAからミトコンドリアおよび核ゲノム塩基配列決定を行い、ニホンオオカミのゲノムとの比較をおこなった。成果は日本動物考古学会、国際考古動物学会、進化学会などで発表した。これらの結果の英文論文preprintをBioRxiv に発表した。 (https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.09.29.560089v1) これまでの研究で、イヌの家畜化の初期過程が東ユーラシアで進行したことを示唆する結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、9300年前頃に日本列島へ導入されアジア大陸部のイヌと地理的に隔離された縄文時代のイヌが、東アジアの最も古い家畜犬の遺伝的系統と形態を保持していたことが確かめられつつある。また、ユーラシア大陸のオオカミおよび東アジアの初期のイヌの中での縄文犬の系統的位置づけに関して、ニホンオオカミと縄文時代の遺跡出土犬のゲノム解析結果を検討し、両者の共通祖先がが東ユーラシアにかつて生息したこと、イヌの家畜化の初期過程が東ユーラシアで進行したことを示唆する非常に重要な結果が得られた。 イヌの家畜化過程の詳細は未解明だが、本研究グループは9300年前頃に日本列島へ導入されアジア大陸部のイヌと地理的に隔離された縄文時代のイヌが、東アジアの最も古い家畜犬の遺伝的系統と形態を保持していたとみており、これまでに縄文時代の2遺跡から出土したイヌのゲノム解析に成功した。成果は国内外の学会で発表し、メディアでも取り上げられた。英文論文の投稿準備中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、弥生時代以降に新たに大陸からイヌが導入されたことによって日本列島のイヌがどのように変化したかを調べる。これまでの研究で縄文時代のイヌはデンプンを消化する能力がなくオオカミと同様の肉食だったが、弥生時代に農耕民に伴って導入されたイヌはデンプン質食料を摂取することができたことがわかってきた。 2024年度は現在分析を進めている青谷上寺地遺跡に加え、弥生時代の唐子・鍵遺跡からの出土犬の古代DNA分析サンプルを選定し資料所蔵機関に分析許可申請する。また、縄文時代のイヌの特徴をさらに詳しく明らかにするため、日本列島で現在最古級の出土犬である東名遺跡のイヌの古DNA分析を行う。 イヌが伴侶動物として他の家畜とは異なる関係をヒトとの間に成立させた経緯を明らかにするため、縄文犬の認知、コミュニケーションに関わる行動遺伝子のタイピングを進める。
|