Project/Area Number |
23K22013
|
Project/Area Number (Other) |
22H00741 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
|
Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
青野 友哉 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (60620896)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 豊弘 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 専門委員 (70145580)
永谷 幸人 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 学芸員 (10844269)
添田 雄二 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 専門委員 (40300842)
新美 倫子 名古屋大学, 博物館, 准教授 (10262065)
近藤 修 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (40244347)
澤田 純明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (10374943)
篠田 謙一 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, 名誉研究員 (30131923)
神澤 秀明 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (80734912)
安達 登 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60282125)
渋谷 綾子 東京大学, 史料編纂所, 特任研究員 (80593657)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
|
Keywords | 受傷人骨 / 縄文晩期 / 有珠モシリ遺跡 / 多数合葬・複葬例 / 埋葬原理 / 続縄文前半期 / 社会変容 / 多数合葬複葬例 |
Outline of Research at the Start |
「縄文時代には争いや格差はなかった」というイメージは、受傷人骨や子供への厚葬の存在により、どの地域・時期でも当てはまるとは言い難い。特に北海道有珠モシリ遺跡18号墓は、頭部に受傷痕跡を持つ8体を含む11体の人骨が1つの墓に再埋葬されており、集団間の争いを想起させる。墓が作られた北海道の縄文晩期後葉は西日本の弥生前期にあたることから、農耕文化の受容に伴う広域的な社会変容の可能性もあり、解明には受傷痕跡の成因や人の移動、血縁関係など多角的な検討が必要となる。本研究では、骨考古学・形質人類学・法医学の知見と骨科学分析により、縄文終末期の日本列島で起きた社会変容の実態と合葬墓の埋葬原理を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
縄文時代の受傷人骨の把握について、青野は札医大所蔵の北海道縄文人骨の悉皆調査を行った。洞爺湖町高砂貝塚の縄文晩期人骨では比較的深く、楕円形の治癒痕跡が見られ、有珠モシリ例に見られる浅く、円形の陥没骨折治癒痕跡とは異なる要因が考えられた。また、有珠モシリ遺跡18号墓11体の炭素14年代を補正する海域差(ΔR)の算出については、同遺跡の縄文晩期の貝塚から動物遺存体と炭化材を複数採取して年代測定したため、新たな海域差の提示が可能になった。 形質人類学的分析では近藤が有珠モシリ18号墓人骨のうち四肢骨の写真撮影と計測を行い、足根骨と中足骨の部位同定と最小個体数を算出した。18号合葬墓の最小個体数は、頭蓋より算出した11個体が、最大であり、距骨7点、踵骨6点、中足骨3から8点と足の骨も良く保存されていた。足根骨は関節の組み合わせから個体の同定を行い、6個体の組み合わせを同定した。 古病理分析では澤田が縄文時代の埋葬に関する参考調査として、青森県山野峠遺跡の土器棺から出土した縄文人骨について人類学的・骨考古学的調査を実施した。また、縄文の社会変容の解明に関し、ストレスマーカー分析に基づく健康状態について発表した。古人骨のDNA分析では安達が2022年度出土のUM22-No.1人骨からDNA抽出を試みた。DNAの残量は極めて少なかったが分析を継続する。また、有珠モシリ7号墓出土の男性および女性人骨から良好なDNAを抽出したため、核ゲノムの分析を進める。食性分析では渋谷が人骨に付着した歯石の残存デンプン粒分析について,分析手法の改良のため、東アジアの2000年代以降の動向調査を実施し、研究の現状と課題、展望を発表した。 動物遺存体分析では新美が北海道から本州・九州の日本海沿岸地域から沖縄において、弥生時代のブタ飼育文化が共有されていた可能性を想定し、同地域出土のブタ・イノシシの分析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有珠モシリ遺跡出土人骨の形質人類学調査及びDNA分析が順調に進むとともに、北海道内の受傷人骨の悉皆調査も予定どおり行うことができた。また、年代測定値の補正に用いる試料の採取にあたり、全国的に例数の少ない縄文晩期の貝塚を検出できた点と保存状態良好な動物遺存体を得ることができた点が大きい。
|
Strategy for Future Research Activity |
受傷人骨に関しては北海道に続き、本州地域の事例を調査し、受傷痕跡の形態的な分類と形態差の要因について明らかにする。また、有珠モシリ遺跡18号墓の受傷人骨7体については3D化を行い、道具の形態を立体的に捉えるとともに、人骨の損傷位置・角度の把握を行う。 有珠モシリ遺跡人骨の核DNA分析は父系の血縁関係を把握することに努め、多数合葬・複葬例の埋葬原理及び受傷の原因を解明するための基礎的情報を得ることを目指す。
|