Project/Area Number |
23K22014
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Project/Area Number (Other) |
22H00742 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Tohoku University of Art and Design |
Principal Investigator |
石崎 武志 東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 研究員 (80212877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 智康 茨城大学, 農学部, 教授 (40722111)
佐藤 嘉則 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (50466645)
佐々木 淑美 東北芸術工科大学, 芸術学部, 准教授 (60637883)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | 三内丸山遺跡 / 生物被害 / 土遺構の劣化 / 環境条件 / 保存対策 |
Outline of Research at the Start |
三内丸山遺跡では、覆屋内および屋外での遺構の展示がなされたいる。屋内展示では、土遺構の水分量が大きく、取り巻く環境の湿度も高いため、遺構表面にキノコ、カビ、藻類等の発生が見られる。これらの生物の発生と環境条件との関係を明らかにし、適切な保存対策の提案を行う 。また、屋外展示では、寒冷地の厳しい環境のため、復元土遺構等の劣化が顕著である。より環境に強い復元材料および方法について検討を行い適切な展示方法を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、三内丸山遺跡の土遺構の屋内展示環境において、遺構面に発生するキノコ、カビや藻類等の発生に関して、周囲の温湿度環境および、土遺構内の微生物叢の解析を中心に行った。「子供の墓」から、前年に主に子実体の発生が確認された2地点をK1,K2とし、コアサンプラーを用いて表層から25 cmまでの土壌試料を採取した。採取した土壌を深さごと12画分に分画した後、各画分ついて理化学性として、全炭素(TC)・全窒素(TN)、pH測定を行った。採取した子実体のITS領域の塩基配列を同定した結果、その相同検索から相同性99.5%でS. bovistaと分類同定し、メタ・アンプリコンシーケンス解析の結果と一致した。S. bovistaは樹木根と共生する外生菌根菌として報告されている。外生菌根菌は、貧栄養な環境下において植物根圏で共生することで土壌から樹木への養分や水分の輸送などを担う一方、樹木から光合成産物として栄養源を受け取っている。このような生態学的な性質から、周辺樹木が子実体の発生と関連があることが推察され、露出展示土遺構の保存対策において周辺樹木の影響についても検討すべきであることが示唆された。 この他、屋外の展示遺構の劣化原因の主な要因と考える凍結劣化現象の凍上現象のメカニズムに関して、実験結果のデータの解析を行い、既往の凍上モデルの妥当性を評価する研究を行った。また、国内の遺跡で、土遺構の屋内展示、屋外展示の例を調査し、保存環境とそれらの土遺構の劣化状況との関係の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、内丸山遺跡の土遺構の屋内展示環境において、遺構面に発生するキノコ、カビや藻類等の発生に関して、周囲の温湿度環境の測定および、土遺構内の微生物叢の解析を行うことができた。また、採取した子実体のITS領域の塩基配列を同定した結果、その相同検索から相同性99.5%でS. bovistaと分類同定することができた。また、三内丸山遺跡の屋外展示で行われている大人の墓などの土マウンドに関して、異なる強化剤で処理をした土で作成した模擬マウンド、その劣化状況、またマウンド中の水分移動の変化に関して測定を行うことができた。この他、屋外の展示遺構の劣化原因の主な要因と考える凍結劣化現象の凍上現象のメカニズムに関して、実験結果のデータの解析を行い、研究論文を地盤工学会の電子ジャーナルで公開することができた。また、国内の遺跡で、土遺構の屋内展示、屋外展示の例を調査し、保存環境とそれらの土遺構の劣化状況との関係の調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査結果から、外生菌根菌は、貧栄養な環境下において植物根圏で共生することで土壌から樹木への養分や水分の輸送などを担う一方、樹木から光合成産物として栄養源を受け取っている。このような生態学的な性質から、周辺樹木が子実体の発生と関連があることが推察され、露出展示土遺構の保存対策において周辺樹木の影響についても検討すべきであることが示唆された。今後、S. bovistaと共生関係にある樹種の特定や子実体形成の外的要因についても明らかにしていく予定である。 屋外で復元土遺構の展示を行っている他の遺跡の復元土遺構の材料、方法およびその劣化状況に関して調査を行い、三内丸山遺跡との比較研究を行う。遺構表面における塩類析出および藻類繁茂の抑制と除去に関する研究を行う。
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