Project/Area Number |
23K22054
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Project/Area Number (Other) |
22H00782 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山元 一 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (10222382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一頼 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00405143)
近藤 圭介 京都大学, 法学研究科, 准教授 (00612392)
寺田 麻佑 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 教授 (00634049)
大野 悠介 東洋大学, 法学部, 准教授 (00836926)
齋藤 民徒 関西学院大学, 法学部, 教授 (10401019)
興津 征雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10403213)
高山 佳奈子 京都大学, 法学研究科, 教授 (30251432)
西谷 祐子 京都大学, 法学研究科, 教授 (30301047)
小畑 郁 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (40194617)
江島 晶子 明治大学, 法学部, 専任教授 (40248985)
根岸 陽太 西南学院大学, 法学部, 准教授 (50815983)
横山 美夏 京都大学, 法学研究科, 教授 (80200921)
石山 文彦 中央大学, 法学部, 教授 (80221761)
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80262418)
渕 圭吾 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90302645)
栗島 智明 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90846453)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,120,000 (Direct Cost: ¥12,400,000、Indirect Cost: ¥3,720,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
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Keywords | 憲法秩序 / 主権国家 / 国際法と国内法 / 立憲主義 / グローバル化 |
Outline of Research at the Start |
近代主権国家モデルを前提とするこれまで支配的であった立憲主義観によれば,主権国家は国際的側面と国内的側面にクリアに二分され,前者は国際法の規律を受け,後者のみが国内憲法によって打ち立てられた憲法の規律を受けるものとされた。しかし,このような規範的枠組では,現在の問題状況に適切に対応することが難しくなってきている。国際法学に目を向けると,次第に国内憲法との有機的連関・協働が問われるようになってきた。そこで本研究は,憲法研究者と他分野で先端的研究を担うトップクラスの研究者との共同研究によって,憲法秩序の規律空間の現代的変容及び 拡大の可能性とそれに伴って生じる諸課題を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度開催した計4回の研究会を通じて,共通認識となったのは,以下の事柄である。 人の移動に関しては,19世紀には欧米諸国の国民の移動を促進するために自由主義的な潮流が存在していが,20世紀にかけて外国人を排斥する国内法制が浸透していく中で、次第に主権国家の出入国在留管理権限が強化されてきた。日本のマクリーン事件判決もそのような古典的モデルを前提としている。しかし、経済的な新自由主義の浸透とともにボーダレスが進展し、人・モノ・情報のグローバル化も加速していき、それに伴って難民条約や人権条約などグローバルレベルでの人の移動に即した国際法の形成・機能も発達してきた。その象徴として、伝統的な法源(条約・慣習法)には分類されない移民・難民グローバルコンパクトといった新しい国際法形成が展開している。ところが、とくにグローバルサウスからの膨大な外国人の流入に直面したグローバルノースの諸国家のなかには、排外主義・反グローバル志向の反右派ポピュリズムが伸張し、対移民戦争・ハイブリッド戦争など外国人を敵と見做す傾向も生じている。それに合わせて、移民を排除するための壁の建設(アメリカ)、移民・難民・庇護希望者を陸上および海上で押し返すまたは引き戻す政策(EU),第三国での収容(オーストラリア)や難民・庇護認定(イギリス)など、グローバル化モデルに対抗する動きも生じている。 また,経済取引との関連では,国際取引における企業の社会的責任について論じ,いかにして企業による人権保障を担保し,公正にかなう事業活動を確保するか検討する必要が生まれている。従来は主権国家にゆだねられていた人権保障の義務を,私人としての企業に拡大するもので,新しい人権保障の枠組みを模索することが行われている。 本年度の本研究プロジェクトは,以上の現状認識を参加者が共有しつつ,各自の研究テーマに取り組むことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,統合的観念としての憲法秩序の検討に関しては,(a)その創設プロセスの理論的検討,(b)規律空間の国内民主主義における正統化の論理を超える「開かれた正統性」による 基礎づけ,(c)「開かれた国家性」の三つの論点について重点的に検討することができた。 次に,研究は,各法領域に生じている規律空間の具体的な検討については,以下の検討を行うことができた。ボーダーレスな人の移動と結びつきによる憲法秩序の規律空間の変容により,多様な文化的背景を持った家族に対する法的介入に関して,多角的に分析することができた。憲法秩序の規律空間における人々の多様性を背景とした市民社会における人権問題については,<生身の個人=市民への抑圧>という観点から問い直すことの重要性が共通認識となり,それを起点として,各法領域の法現象を一定程度分析することができた。国籍と国際移住の問題については,国籍概念の歴史的研究と,国際移住についての社会的実態研究を踏まえて分析を進めることができた。さらに,規律空間に直接関係する域外適用のグローバル・モデルとしては、 域外適用に関する国際法上の一義的な基準がないことを承認した上で、各国がどのような要素を考慮して域外適用の可否を決定しているかを抽出し、平準化を図っていくべきだという考察が示された。その際の考慮要素は,自国利益,他国・国際利益、対象者利益の三つに類型化できるという結論が得られた。また,刑事実体法と刑事手続法の両面において規律空間の拡大がもたらす課題を明確化し,このような視点が,刑事法解釈にどのような影響を与えるうるかについて分析を進めることができた。グローバル化取引社会の特質について,それぞれの専門分野からの知見を提示し充実した意見交換することによって,今後の研究の方向を具体化することを目指したが,そのための手掛かりを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては,2022年度と同様に年4回程度定期的に研究会を開催し,研究プロジェクト参加者間の共通認識を深め,各法領域における法現象の分析の際に基盤を共有することに留意していくこととしたい。また,それぞれ各自が主要に分担するテーマ分析について,なるべく他の研究分担者がが積極的に関与する形を整えていくこととしたい。
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