Project/Area Number |
23K22072
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Project/Area Number (Other) |
22H00800 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
水野 紀子 白鴎大学, 法学部, 教授 (40114665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小浜 正子 日本大学, 文理学部, 教授 (10304560)
建石 真公子 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (20308795)
久具 宏司 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学成田病院, 教授 (30322051)
早川 眞一郎 専修大学, 法務研究科, 教授 (40114615)
三宅 秀彦 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40297932)
西 希代子 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (40407333)
石井 哲也 北海道大学, 安全衛生本部, 教授 (40722145)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 生殖補助医療 / 代理懐胎 / 親子関係 / 生殖子 / 同性婚 / 代理出産 / 精子提供 / 卵子提供 / 法律上の親子 / 生命倫理 |
Outline of Research at the Start |
継続課題のため記入しない。
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Outline of Annual Research Achievements |
生殖補助医療をどのような法的ルールに基づいて実施していくのか。これは、ドナーによる人工授精が普及し始めた1950年代から問われ続けてきた問題である。その後の生命科学技術の進展に伴い、精子・卵子提供、胚提供や代理懐胎などのように第三者が関わる場合、出生前診断などのように出産の継続を問いかける結果となる技術の場合、胚に対する研究の要請の場合など、問題は拡がりをみせている。これらは生命や親子関係に関わる重要な問題でありながら、従来の法制度では解決することが難しい。 本研究は、法律学のみならず、医学や社会学の観点から、多様な専門のメンバーがこの難問にとりくんでいる。他国の状況も急速に変化しており、その変化を追いかけるとともに、地球規模で生殖補助医療ツアーが地球規模で行われるようになっている現在、国際的な規制の試みも始まっている。それらの状況の研究を続けると同時に、日本法の立法を模索している。 本年度は、それらの研究を活かして、2023年8月26日に、日本学術会議法学委員会生殖補助医療と法分科会と共催して「生殖補助医療のこれから-社会の合意に至るために考えるべきことー」と題したシンポジウムを行った。具体的には、久具宏司「生殖補助医療技術―不妊治療を超える現状」、西希代子「生殖補助医療をめぐる法的問題」、早川眞一郎「生殖補助医療の規律に関する国際社会の動向」、石井哲也「遺伝学等の進歩と日本社会と法」、建石真公子「生殖補助医療の法制化で問われる生命倫理、尊厳、自己決定権および生命権」などの報告を行い、参加者にも好評であり、議論が深まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生殖補助医療に対する規制態度も変動し続けている.いくつかの理由があるが,ひとつは,世界が狭くなったことによる代理懐胎ツアー等の隆盛である。規制のない国で子を得て帰国した場合,規制のある国での子の地位が問題になる。また二つ目の理由として,西欧社会ではキリスト教の影響下,近年まで同性愛が刑事罰の対象として弾圧されてきたが(1994年まで存在したドイツ刑法175条など),その反動として急速に大きくなった同性愛者の人 権擁護と同性婚のムーブメントがある。同性婚者が子を望む場合,提供精子を得やすい女性と,代理懐胎を利用せざるを得ない男性とでは,挙児の難易度に大きな相違がある。規制立法を設けていた諸国でも,生まれた子の福祉のために女性同性婚者が出産してカップルで育てている状況を公認する傾向にあるが,代理懐胎容認へのハードルは高く,同性婚者内での差が問題となっている。そして三つ目の理由として,生殖補助医療によって生まれた子たちが「出自を知る権利」を強く主張するようになったことである。生殖子ドナーの匿名性を前提としていた実務は揺らぎ,慶応大学病院は2018年にAID希望の新規受け入れを停止した。自然生殖においても匿名出産や強力な嫡出推定の歴史を持つ西欧法では,DNA上の親子関係を「知らされない権利」についても配慮の伝統があるが,日本法では議論が単純化しがちである。 これらの新しい動きにも対応した研究を進めてきたが、日本法の現状は、あまりに遅れている。問題の複雑さと状況の変化の激しさに対応する研究を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1980年代に体外受精が実用化されて以来,各国で生殖補助医療への規制が行われた。アメリカ合衆国は,州ごとの相違はあるものの,基本は自由化政策と,それがもたらす商業化の道を採った。対照的に,ヨーロッパ諸国とりわけドイツとフランスは,代理懐胎の禁止をはじめとする厳しい法規制を急いで立法した。対照的とはいえ,法規制のない場合は自由であるという点では,これらの西欧諸国の規制は共通している。それに対して日本は,法規制がないにもかかわらず,日本産科婦人科学会の会告による自主規制で秩序が保たれてきた点で特殊であるが,もはや自主規制では統制できない事態となっている。 2020(令和2)年成立の「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」は、親子関係に関する判例法を立法するなど、一部に対応したが、未だ実現していないものも多い。また2022(令和4)年の民法改正に対応して嫡出否認の出訴権否定を母子にも拡大する改正が行われたが、十分な議論が行われた結果とは言えない。 社会の変化、技術の発達、国際的な動きが加速する中で、今後の生殖補助医療とそれをとりまく立法の在り方について検討し、具体的な提案をまとめることとする。生殖補助医療をめぐる法律問題は、人類の歴史と未来に深く関わり、本来的に、アカデミアのみに委ねられるべき問題ではない。このような問題について、国民に、その検討の基礎となる正確な学問的情報を伝える必要がある。そのために本研究の成果を活字にして出版する予定である。
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