Project/Area Number |
23K22090
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Project/Area Number (Other) |
22H00818 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
田所 昌幸 国際大学, 国際関係学研究科, 教授(移行) (10197395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 将規 湘南工科大学, 工学部, 教授 (00339798)
川波 竜三 大阪国際大学, 経営経済学部, 講師 (00911661)
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 副学長 (80292077)
橋本 敬 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90313709)
鈴木 一敏 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (90550963)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,780,000 (Direct Cost: ¥10,600,000、Indirect Cost: ¥3,180,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | デジタル通貨 / パワー分布 / 国際通貨 / ブロックチェーン / エコノミックステイトクラフト / 国際通貨制度 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、デジタル通貨の普及が国際金融市場を通じた国家の関係をどのように変化させるのかを明らかにすることを目指す。具体的には、将来発生しうる通貨制度の変容に関するシナリオを絞り込み、米中だけでなく日本をはじめとした第三国の権力関係に与える影響を考察する。その際には、経済学、国際政治経済学、デジタル通貨の技術論といった複数の専門的視点から協働して分析する。多分野の専門家の対話を促進することで相乗効果を得て、理論的・実践的に有意義な知見を得ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、デジタル通貨の出現がグローバルなパワー分布に与える影響を覇権国や挑戦国だけではなく、特に日本を含めた第三国のパワーへの影響に着目しつつ学術的に検証することである。その際には、三つの研究段階を踏むことを予定している。 当該年度は研究会を三度実施し、日本国際政治学会において「決済制度の政治経済学――デジタル通貨の意義の現状と展望」と題する部会報告を行った。その際にまずは、研究初年度後の課題として浮上していたデジタル通貨の出現によって将来発生しうる通貨制度の変容シナリオの妥当性について、経済学、政治学両面からさらなる分析の精緻化を進めた。その上で研究の第二段階として、前段階で示したシナリオにおける国家の行動やデジタル通貨を発行する主体の妥当と考えられる行動及びデジタル通貨の国際金融市場における普及が、安全保障を含めた国際関係にどのような影響をもたらすと考えられるのか、特に日本を含む第三国のパワーへの影響を国際政治経済学的視点から検討した。 シナリオの妥当性については、国際金融秩序における中央銀行デジタル通貨、特にデジタルドルやデジタル人民元の出現によるインパクトをシミュレーションモデルによって解析するとともに、暗号資産市場に対する主権国家間の行動選好の違いを実証的に明らかにし、加えて貨幣論の視点からも検証を進めた。その結果、将来おこりうる通貨制度や国際秩序の変容に関するシナリオの精緻化を進めることができた。 そしてそのシナリオを基にした次段階として、デジタル通貨の出現による国家のネットワークパワーの変化に関する研究やデジタル人民元の出現による国家のパワーバランスの変化に関する研究を進めていった。これにより次年度以降の第三段階の研究に進む基盤の形成はある程度できたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、最終的にデジタル通貨の出現が日本を含めた第三国のパワーにどのように影響するのか学術的に検証するために、三つの段階を踏むこととしている。 本年度は研究初年度後の課題として存在していたデジタル通貨の出現によって将来発生しうる通貨制度の変容シナリオの妥当性について、経済学、政治学両面からさらなる分析の精緻化を進めた。具体的には、国際金融秩序における中央銀行デジタル通貨、特にデジタルドルやデジタル人民元の出現によるインパクトをシミュレーションモデルによって解析するとともに、暗号資産市場に対する主権国家間の行動選好の違いを実証的に明らかにし、加えて貨幣論の視点からも検証を進めることができた。 その上で研究の第二段階として、前段階で示したシナリオにおける国家の行動やデジタル通貨を発行する主体の妥当と考えられる行動及びデジタル通貨の国際金融市場における普及が、安全保障を含めた国際関係にどのような影響をもたらすと考えられるのか、特に日本を含む第三国のパワーへの影響を国際政治経済学的視点から検討した。その際には、デジタル通貨の出現による国家のネットワークパワーの変化やデジタル人民元の出現による国家のパワーバランスの変化に着目した上で研究を進めていった。 今後さらに第二段階の研究を精緻化する必要はあると言えるが、現段階で研究の最終段階に進む基盤はできつつあるため、本研究課題はおおむね順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、最終的にデジタル通貨の出現がグローバルなパワーの分布に与える影響を学術的に検証するために三つの段階を踏む。本年度はその第ニ段階の研究の深化及び第三段階の研究を推進する予定である。 昨年度推進してきた研究の第ニ段階については、前述したとおりデジタル通貨の出現による国家のネットワークパワーの変化やデジタル人民元の出現による国家のパワーバランスの変化に関して明らかにしてきた。しかし、本研究においては挑戦国や覇権国以外の周辺国、すなわち日本や第三国のパワーはどうなるのかという点に着目することが肝要であり、その点についてはいまだ研究の進捗が不十分である。そのため、今年度の研究についてはこの視点を重視しつつ研究を深化させていく予定である。 この第二段階の研究が進捗したのちに最終段階としてにこれまで検討してきた複数のシナリオとグローバルなパワーの分布に与える影響について再度検証を行う。そのうえで、今後日本を含めた第三国がとり得る具体的な施策について検討し最終的な結論を導き出していきたい。 、 本年度は三回の研究会の開催を予定しており、今後関連書籍の執筆に関しても検討している。それらを通して研究がさらに進展することを期待している。
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