Project/Area Number |
23K22125
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Project/Area Number (Other) |
22H00854 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 光 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (10313967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 寿樹 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (00456584)
津布久 将史 専修大学, 経済学部, 准教授 (20802333)
古村 聖 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (30735783)
須佐 大樹 立命館大学, 経済学部, 准教授 (30759410)
家森 信善 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (80220515)
内藤 徹 同志社大学, 商学部, 教授 (90309732)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 税競争 / 電子商取引 / 越境消費 / 課税 / 越境取引 |
Outline of Research at the Start |
多国籍企業の影響力と越境電子商取引の拡大という環境変化に対して、各国政府による課税対応が追いつかない場面が見られる。国際課税の理論研究も同様であり、消費者による越境購入についても、また企業による越境調達についても、実店舗での購入を前提にしたモデルのもとで分析がなされ、オンライン上での財やサービスの取引が可能になった新しい状況を十分に取り込めていない。本研究では、電子商取引や越境取引という新たな要素を含んだ税競争モデルを構築し、現代的な政策課題に対応する税を中心にした政策分析を行うための基盤理論モデルを構築する。そのうえで、従来得られていた標準的な最適課税ルールの拡張と修正を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
事業の中核をなす理論研究班は、本事業の核となる理論モデルの構築を果たし、国際学術雑誌に掲載される実績をあげた。この研究では、越境電子商取引に対する課税方法として、仕向け地原則よりも原産地原則を適用する方が望ましいことを明らかにすると同時に、結果を導くメカニズムとして、前者はどうやって財を購入するかという消費者の選択を歪める一方で、後者はその選択に対して中立的であることを発見した。この理論研究をもとに日本の地方消費税の清算基準改革の評価を前年度に行った研究を改訂し、他自治体に消費が流出する地域では地方消費税の配分が改革後も依然として少ない一方で、オンライン消費の多寡は地方消費税収の配分に対して中立的であることが示された。 個別テーマ研究班の研究実績を2つ挙げると以下のとおりである。第一に、不完全競争研究班では、電子的な商品取引が可能になるということを輸送コストの低下と捉えた場合、混合寡占市場において電子商取引の拡大が起きたとしても、理論的には必ずしも社会厚生が高まらないことを明らかにした。第二に、金融班では、空間的により広がりを持った取引を可能にする電子商取引の進展が活動が空間的に制限される地方金融機関の統合を促す方向で影響しうるが、そのような統合が起きた場合の地域金融機関、特に信用金庫を対象にした分析では、統合が必ずしも効率性を改善しない可能性が示された。 さらに、各研究班の交流の中から生まれた成果として、インターネット上にあるポータルサイトを使って地方自治体を応援するための寄付を行えるふるさと納税制度を対象にした研究により、それを利用する人々の属性を明らかにし、制度(とりわけワンストップ特例制度)が寄付先の多様性を阻害している可能性、および寄付先自治体数の集群と一部の寄付者の満足度低下を引き起こしていることを明らかにする実績をあげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事業の中核をなす理論研究班において、本事業の核となる理論モデルの構築を果たし、国際学術雑誌で認められる成果を得たため。事業計画4年のうちの後半2年が2024年度から始まるが、ここで構築された理論モデルをベースにした種々の応用を、本事業の後半2年の間に可能とする土台を構築できたことで、電子商取引を分析に組み込んだ課税政策の理論研究を進展できる見込みがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
本事業の中核をなすモデル構築を担当する班は、本年度International Tax and Public Finance誌に認められた基盤的モデルをベースにして、以下の2点について拡張した研究を行う。第1に、電子商取引に際して重要な役割を担うプラットフォームの行動を明示的に取り組む。第一の方向性に沿うパイロットモデルは、2023年度後半より、研究代表者が中国の大学の研究者と共同して構築を始めている。これをもとに、標準的なプラットフォームモデルを参考にしながら、2024年度内にプラットフォームの行動を明示的に考慮した上で、サプライヤーの参入と退出が内生的に決まる枠組みを構築する。第2に、プラットフォームを自国に抱える国とそうでない国を想定したモデルを構築し、PE(恒久的施設)課税原則を緩める方向に進む国際課税原則の変更を取り込んだ政策評価モデルを構築する。第二の方向での研究は東京大学の若手研究者の知識とシミュレーションスキルを借りながら実施する予定である。これらの研究について海外研究者からの意見聴取と評価を受け、新たな共同研究を実施するために、研究代表者は2024年度前半に分野の専門家がいるオークランド大学を訪問して一層の研究推進を図る。本事業で実施した過去2年間で構築した基本モデルはプラットフォームの行動を明示的に考慮していないことから、2024年度と2025年度で実施する予定の研究は、分析枠組みをより一般化する研究となる。 研究に参画するメンバーと個別に意見交換を行うだけでなく、年に一度は全員が参加したワークショップを開催して研究進捗を確認し、各研究班の横のつながりを担保するともに、各研究班の研究の進み具合と方向性を研究代表者がモニタリングして研究推進を図る。
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