Project/Area Number |
23K22127
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Project/Area Number (Other) |
22H00856 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
湯之上 英雄 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10509590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 啓朗 武蔵大学, 経済学部, 教授 (10553141)
小川 禎友 関西学院大学, 経済学部, 教授 (30330228)
齊藤 仁 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (50707255)
竹本 亨 日本大学, 法学部, 教授 (60551512)
倉本 宜史 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (70550309)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 地方分権 / 政策競争 / 租税競争 / 空間計量分析 / 空間計量モデル |
Outline of Research at the Start |
地方分権の進展によって、発生することが予想される政策競争の影響の大きさを推定する。地方税の超過課税や不均一課税、公共施設の管理計画の作成状況などを分析対象として空間計量分析や差の差分析などを用いて実証分析を進展させる。これと並行して資本課税による地域経済への影響について理論分析を行う。また、地理的な距離が政策競争の影響の大きさを変化させるのかについて、行動経済学的な視点から分析を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的に記したように,分権的な体制へと移行途中である日本の都道府県・市町村を題材として,疑似実験手法を用いて,政策競争に関する因果関係の識別及び,地方分権の有効性を左右する経済的・社会的な要因の分析を行った。 まず,法人税の均等割りにおける政策競争モデルの実証分析を行い,日本の地方政府間にも法人住民税均等割において租税競争(財政的相互依存関係)が認められる可能性が確認された。その一方で因果関係に注意を払いながら推定を行ったところ,相互依存関係の大きさは限定的であった。また,地方財政再建特別措置法(旧再建法)の検証として,財政破綻状態となった後に,自主再建を選択した団体と国の管理下での再建を選択した団体の再建行動を比較するため,合成コントロール法(Synthetic Control Method)を用いた検証を行った。また,市町村間の社会的つながりがコモンプール問題を緩和させるかどうか調べるため,都道府県境界線について識別したSynthetic Control Methodによる実証分析を行った。 さらに,国から地方公共団体に対して策定要請がなされた「公共施設等総合管理計画」の影響について分析を行った。都道府県を対象に総合管理計画策定のタイミングや記載項目に注目して,近隣での相互参照行動の有無について分析を行ったところ,相互参照行動が無いという結果が得られた。 地方政府間の模倣行動において,近隣の地方政府を参照する事例が多く,遠方の財政規模等が類似する地方政府を参照する事例は相対的に少ないという現象を行動経済学的な視点から分析した。実験室経済実験において,参照する価値の高いプレイヤーと低いプレイヤーのどちらを参照するかという意思決定において,低いプレイヤーが内集団(身近な集団)という介入群では,統制群と比較して参照するケースが有意に多いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の地方分権における政策競争の大きさを測定するため,法人住民税の超過課税制度に着目して,戦略的相互依存関係の存在やその因果関係の識別に取り組んだ。法人住民税均等割に関して,都道府県・市町村データを用いて,地方公共団体に関する変数や地域の企業の事業所数や雇用者数に関するデータの収集を行った。集めたデータを基に分析を行い,法人住民税均等割に関する分析結果を暫定的にまとめた。空間計量モデルを用いた分析では,他地域の超過課税の導入が自地域には正の外部性があることがわかった。また,都道府県境からの距離に注目をして介入群と統制群の違いをみる差の差分析(Difference in Differences)を用いた分析では,法人住民税や,事業所数,従業員数について正の外部性があることが明らかになった。また,地方法人課税について,非線形な資本課税を想定して,地方政府間の租税競争の分析を行い,上述の実証分析を踏まえて,租税競争モデルの拡張を行った。 また,地方公共団体が策定する「公共施設等総合管理計画」について策定年度や改訂年度,公共施設の数などの項目についてテキストデータとして整理し,空間計量モデルを用いて分析を行った。地方公共団体が計画で重要視している語句や項目についての近隣地方公共団体との関係性に注目して分析を行った。 さらに先行研究では分析されてこなかった参照行動において参照相手として内集団を優先するかどうかについて経済実験を実施してきている。昨年度は,コーディネーション・ゲームを利用して参照行動における意思決定を検証する経済実験を行い,セミナー等で報告を行ってきた。本年度は,その内容を報告したセミナーでの指摘を踏まえて,統制群の設定を精緻化した実験計画を策定し実施した。その結果,統制群と介入群に有意な差が検出され,参照行動における内集団バイアスの存在が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
分権化における政策競争の分析として,空間的相互作用を考慮した地方政府の政策効果を検証するために,都道府県・市町村レベルのデータより,Spatial model やDifference in Differencesを用いた分析に取り組む。また,これまで蓄積してきた市町村レベルの決算統計データと,地価や不動産価格などの地域経済データとのデータ接合を試みる。これらの作業は,研究を拡張するために必要なものとなる。次に,財政ルールが財政赤字に与える影響の研究の一つである,旧財政再建法下における市町村の財政運営の取り組みについて,継続して研究をおこない,査読誌への論文投稿を実施する。 2024年度は,2023年度にテキストデータとして整理した都道府県と市町村の「公共施設等総合管理計画」の内容について,相互参照行動の有無を確認する。なお,都道府県と市町村との関係,特に政令市同士や,政令市のある都道府県にと政令市との関係など,近隣団体以外の地方公共団体の機能の違いに着目した分析や,地方公共団体が作成している他の公共施設に関する計画の策定状況を踏まえた分析も行う予定である。 さらに,地方政府の模倣行動についての分析については,統制群の設定を改良した実験室経済実験を実施し,仮説を支持する結果を得られた。これを受けて今後は,この結果を学会で報告を行い,専門誌への投稿を行っていく。また,参照行動における内集団バイアスの特徴を明らかにするために,利得のデザインを変更した実験室経済実験を行っていく。
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