Project/Area Number |
23K22138
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Project/Area Number (Other) |
22H00867 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07070:Economic history-related
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
杉原 薫 総合地球環境学研究所, プログラム研究部, 客員教授 (60117950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 さやこ 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (00296732)
西村 雄志 関西大学, 経済学部, 教授 (10412420)
小川 道大 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (30712567)
小林 篤史 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (40750435)
太田 淳 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50634375)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
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Keywords | インド洋交易史 / グローバル・ヒストリー / 貿易統計 / 経済発展経路 / 植民地化 / 経済発展径路 |
Outline of Research at the Start |
継続課題のため、記入しない。
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Outline of Annual Research Achievements |
19世紀後半から1930年代までの東南・南アジアは、植民地化と世界経済への統合のなかでではあるが、大幅な人口増加と、生活水準の維持またはわずかな上昇を経験した。と同時に、そうした人間の活動の拡大は、土地、水、森林資源の劣化、生物多様性の喪失など、環境負荷の増大をもたらした可能性が高い。本研究の課題は、環境と人口の関係に関するこうした変化がどのようにして生じ、地域の長期発展径路にいかなる影響を与えてきたのかを、地域交易ネットワークの成長という観点から検討することである。そして、これらの地域が欧米への第一次産品輸出基地として開発されただけでなく、それとは相対的に自立した地域経済のネットワークがアジア人の商人や生産者を巻き込んで発展し、従来よりも多くの人口と、土地・水・バイオマス集約的な資源開発のあいだに新しいバランスが形成されたことを示唆する。 地域交易の成長は、一方では飢饉や食糧不足を緩和し、移民を通じた交流を促すとともに、劣等地の耕作を促し、水や薪を遠方まで出向いて調達せざるをえなくなる状況を作り出すなど、「非貿易財」の資源の利用とそれに携わる人たちに大きな負荷を課してきた。本研究では、こうした現象を実証的に検討するために、いくつかの事例研究を行っている。第一次産品輸出とは相対的に自立した域内の穀物交易をとりあげた研究では、交通革命による交易の発展を確認しつつ、シンガポールやカルカッタ、マドラス、ボンベイなどの港市の中継機能を媒介して余剰米が不作地域に供給されたこと、価格も全体としては需給を反映して変動しつつも、国際的に連動していたことを示した。と同時に、価格の季節性はあまり解消されず、緊急時の穀物備蓄機能は、農村でも中継地においても十分ではなかった可能性が高いことを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、基盤B「インド洋交易圏の統計的研究」(令和1-3年度)の後継研究であり、これまで集積してきたデータに新しいデータを追加することによって、交易と人口、経済、環境、立地との関係を解明しようとしている。リサーチアシスタントに新しいデータの入力、整理を依頼し、それらを分担者と共有するシステムを構築している。 令和4年度は、以上のデータ・システムの運営と文献のレビューのほかに、国際会議の開催などを通じ、共同研究を進めた。パリの世界経済史会議(7月)で、多くの研究代表者・分担者が中核的な研究成果を報告した。また、総合地球環境学研究所において2回のワークショップを実施するとともに、令和5年3月に、Tirthankar Roy氏、Bin Wong氏などを招いて、国際会議を開催した。ここでも全員が報告し、各報告を詳しく検討した。 令和5年度には、5月に社会経済史学会の全国大会(福岡)においてパネルを組織し、その後2回の研究会を開催した。研究代表者は、7月の国際集会(東洋大学)において“Southeast Asia in Global History: Trade, Economic Growth and the Environment”と題する報告を行い、交易と環境の関係を論じた。また、12月に京都大学の研究会において、「20世紀初頭における英領インド米の流通-趨勢・地域性・季節性-」と題する報告を行なった(前記「研究実績の概要」を参照)。さらに、令和6年3月に、熱帯アジアの経済発展と環境に関する国際ワークショップにおいて、“Indian Ocean Trade as a Regional Force of Integration and Population Growth, 1800-1950”と題する報告を行うとともに、同じ内容の和文の論文を刊行した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度も、研究会活動や国際学術交流を継続するとともに、最終成果を英文で発表するための準備を行う。 第一に、インド交易圏史研究をまとめるために必要な補足を行い、中継港の立地と後背地の環境の関係を明らかにする。具体的には、ボンベイのデータの収集を継続するとともに、海峡植民地の欠落データの解釈などを進める。 第二に、6月に、Tirthankar Roy氏を招いて熱帯の牧畜業についてのセミナーを行う(関西大学)。9月、12月には、英文成果論文集の刊行に向けた研究会を開催する予定である。 第三に、宇佐美好文氏(インド農業)、Deepak Johnson氏(インド、東南アジア農業)、Jean-Pascal Bassino氏(東南アジア経済史)などを総合地球環境学研究所に招いて、関連するテーマについて意見交換を行う。地域交易の季節性の持続に関する実証をふまえ、なぜ20世紀初頭に英領インドで飢饉が頻発しなくなったか、しかし干ばつと凶作は続き、ベンガル飢饉を経て、第二次大戦後の独立インド政府の強力な介入による食糧自給政策につながったのかという長期的な文脈を論じることができればと考えている。降雨量の長期データは存在し、研究もある。独立後のインドについては、灌漑だけでなく、地下水、電気エネルギーの役割、近年の温暖化などについても、長期的視野からの議論が始まっている。これらの動向をふまえて、経済史的な観点からの国際的な議論への貢献を目指したい。
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