地域イノベーション・エコシステムの競争優位性とコア企業のガバナンスの研究
Project/Area Number |
23K22148
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Project/Area Number (Other) |
22H00877 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金間 大介 金沢大学, 融合科学系, 教授 (80435742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 伸 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任准教授 (90520883)
平井 祐理 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60815637)
高野 泰朋 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 客員研究員 (90815713)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | イノベーション・エコシステム / スタートアップ / アントレプレナー / アクセラレータ / ダイバーシティ / スタートアップ・エコシステム / 大学 / イノベーション / エコシステム / インキュベーション施設 / コワーキング施設 / 起業文化 / アントレプレナーシップ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、昨今急増するスタートアップ・エコシステムやイノベーション・エコシステムの複眼的な整理を行った上で、日本におけるエコシステム研究の課題を明示し、それらに対し定性・定量両面から重層的にアプローチすることで、日本各地におけるエコシステムの形成・発展に資する知見を提供することを目的とする。これらのエコシステムは、費用対効果の高い地域経済振興のツールとして多くの政策立案者から注目を集める一方、成功したエコシステムの特徴をまねることに基づいた政策の同質化が懸念されている。本研究では、地域独自の資源や環境、文脈をどのようにエコシステムの形成に反映させるかといった視点も含めて論じていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
世界的にスタートアップ・エコシステムの形成が促進されている。日本では、内閣府が2019 年に策定した「世界に伍するスタートアップ・エコシステムの拠点都市の形成」プログラムを基に、全国8か所のSES拠点の支援を開始した。EY Japanや経済産業省らは、地域・社会的課題の解決に取り組む地方起業家の育成を目的としたアクセラレーター・プログラムを2022年7月から開始している。その他、日本各地でコワーキング施設やインキュベーション施設が、多様な機関の主導の下で整備されている。そこで2022年度では、地域経済の発展とスタートアップ・エコシステム形成に対するインキュベーション拠点の役割について、多数の現地調査やインタビューを通して探求した。具体的には、全国に点在する地域SESの活動拠点とも言えるインキュベーション施設を中心に、エコシステムの構成要素を地域毎に抽出し、比較可能な状態まで分解した上で、共通点や類似点を体系的に整理する試みを行った。加えて、各地域におけるサクセスストーリーの有無やその展開の仕方によって、どのように当該地域の起業文化の醸成や起業家リサイクルの定着に影響を与えているかについて考察した。その結果、地域の起業文化は、当該地域における起業家のサクセスストーリーの存在と強く関連していることがわかってきた。地域で成功している起業家の事例は、起業のメリットや可能性を議論する際のテキストとなり、高等教育終了後の若者のキャリアパスとしての可能性を示したり、若い起業家に同じような旅をするように促す役割がある。これにより、新たな起業家を継続的に確保することができ、当該地域ではリスクを取ることが文化として許容されていくことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、日本におけるスタートアップ・エコシステムの形成過程における経路依存性に着目し、形成初期における地域との結びつきや、地域独自の資源や環境、文脈をどのようにスタートアップ・エコシステムの形成に反映させるかを明らかにしていくことに主眼を置いた。その結果、上記で報告した通り、おおむね順調に進展が得られた。事前から懸念されたこととして、まだ日本には成功例と呼べる地域のスタートアップ・エコシステムは少ないものの、発展途上にある複数の地域の事例を抽出・分析することで、この懸念点を補うことができた。その上で、これらの地域におけるスタートアップ・エコシステム形成過程を丁寧に可視化することで、地域に根ざした起業文化醸成の支援の在り方やプロセスの構築に資する知見の可視化を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、昨年度から引き続き、急増するスタートアップ・エコシステム研究の複眼的な整理を試みるとともに、日本におけるエコシステム研究を前進させるために取り組むべきリサーチ・アジェンダの確定を第一の目的とする。加えて、日本国内のスタートアップ・エコシステムに関する定量データの取得を目指す。 学術的にはentrepreneurial ecosystemという概念が広く共有されている。この概念は、2000年代後半から2010年代前半にかけて徐々に見られるようになり、その後、広く伝搬した。特に2010年代半ばにStamやSpigelらが理論体系の構築を志向したレビュー論文を発表したことで、さらに研究が加速された。このようなエコシステムは、費用対効果の高い地域経済振興のツールとして多くの政策立案者から注目を集める一方、「政策や実践が研究を先導している」と言われる状態で、そのことが結果的に成功したエコシステムの特徴をまねることに基づいた政策の同質化を引き起こすことが懸念されている。 そこで2023年度は、昨年度の研究成果を踏まえた上で、具体的に次の4点の研究課題に取り組む。第一にエコシステムが内包する属性や構成要素を俯瞰的に整理する。また、それらの関連性について論じた上で、不足する定量的研究の課題を明示する。第二にエコシステムの地域性を論じる。ここには地域独自の資源や環境、文脈をどのようにエコシステムの形成に反映させるかという視点も含まれる。第三にエコシステムの形成過程における経路依存性に着目し、形成初期における地域との結びつきや、国際展開を担う起業家との関係について論じる。そして最後に、スタートアップの異質性とダイバーシティ・マネジメントについて論じる。第一、第二の点については、主に研究代表者が、第三、第四の点については、研究代表者と分担者が協力しながら進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)