Project/Area Number |
23K22191
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Project/Area Number (Other) |
22H00920 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
田原 範子 四天王寺大学, 社会学部, 教授 (70310711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森口 岳 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (00749848)
波佐間 逸博 東洋大学, 社会学部, 教授 (20547997)
松田 素二 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任教授 (50173852)
榎本 珠良 明治学院大学, 国際学部, 准教授 (50770947)
梅屋 潔 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80405894)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | アフリカ在来知 / 共生原理 / 遊動民 / コンヴィヴィアリティ / ウブントゥイズム / カコフォニー / ウガンダ共和国 / ガーナ共和国 / 南アフリカ共和国 / カメルーン共和国 / シティズンシップ / 多文化主義 / ウガンダ / カメルーン / ガーナ / 社会的包摂 / 生業にもとづくネットワーク / 共生の思想ウブントゥイズム / 遊動民のライフヒストリー |
Outline of Research at the Start |
本研究は、アフリカにおける社会調査を通して、社会的包摂にかかわる課題の解決を試みる。植民地支配による暴力と独立後の社会的政治経済的動乱を経験したアフリカの人びとは、多様な生業(漁業、農業、牧畜)により共同体を形づくってきた。人間、動物、自然を含めた他者との協同にかかわるローカルな実践を明らかにし、その根底にあるアフリカ在来知と人間観を解明し、不寛容性の高まる現代社会に新しい共生モデルを提言する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、昨年度に引き続き各自がフィールドワークを実施し研究を進めた。 研究代表者の田原は8月と2月にウガンダホイマ県・ブリッサ県においてフィールドワークを実施し、難民たちのモビリティの現状を調査した。また田原はドイツ・ベルリン、ポーランド・オシフィエンティムとクラクフの博物館を訪問し、強制的な移動を経験した人びとの記憶と記録を継承するための取り組みを学び、英国国立公文書館所蔵のウガンダ保護領時代の公文書を閲覧し資料収集を行った。 研究分担者の波佐間は、難民キャンプでの他者との連帯・協同にかかわる共同体レベルにおけるローカルな実践や個人のライフヒストリーやミクロな生活誌を収集した。梅屋は、カメルーンにおけるHassan M Yosimbom、Henrietta NyamnjohなどLangaa所属の研究者たち、南アフリカケープタウン大学のDivine Fuh,、Ayanda Man Ayanda Manqoyi、Francis B Nyamnjohなどとステレンボッシュ高等教育研究所のEdward K Kirumiraと学術交流を行った。森口はウガンダのカンパラ・ジンジャにおいてフィールドワークを行い、歴史研究に関心のある国際研究者たちと研究交流を行った。榎本と松田は、フィールドワークにより得られた資料と文献資料を元に、アフリカ在来知の哲学的特徴の理論化を試みている。 在来知の掘り起こしを進める過程で、アフリカ社会における「共生の本質と原型」にはコンヴィヴィアリティ(生の饗宴)と共にカコフォニー(不協和音)が満ちていることが確認された。また国民国家による支配、民族間の葛藤などに翻弄されながらも、ミクロレベルでの生業活動の維持のためにマイクロファイナンスの利用による弊害も起きている事、さらに地方議会によるガバナンスが個人の日常生活を妨げている現状もある事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究者は、調査対象の地域社会における信頼関係を確立し、フィールドワークを実施することができている。 各フィールドにおけるキーパーソンのライフヒストリーの分析を通して、他者との「共生」の基盤にある原則を明らかにするために、生活史等の詳細な聞き取り調査と参与観察についても順調に実施できている。 ウガンダ北西部の漁村において、欧米企業による石油開発が進行するなかで、民族対立が進行し、地域行政における汚職等が見られることを明らかになった。ケニア北西部トゥルカナ県の牧畜民の他者との「共生」の基盤にある原則および人間観を解明するための生活史収集を進めている。イギリス在住のウガンダ人の生活史についても収集している。 理論構築については、途上にある。研究に関連する関係者との学際的交流をとおして、各自の研究成果を公表しながら、アフリカの在来知にかかわる知見を深化させているが、今後も継続的に学術交流を行うことで、アフリカ在来知にかかわる理論化を実現する予定である。アフリカ在住の研究協力者たちとは緊密に連絡をとりながら研究成果を共有し、研究計画についての相談を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は各人がフィールドワークを継続し、生業を基盤とする人、モノ、動物の相互作用にかかわる事例を収集し、それらのネットワークの様相と基盤にある在来知ついて調査研究を進める。昨年度に宗主国英国のThe National Archivesで収集したアーカイヴ資料を精読して、人びとが暮らしのなかで培ってきたであろう共生原理の萌芽を発見することに務める。また持続可能な共生社会実現に関わる国内外の関係者等と共に公開研究会とシンポジウムを開催し、研究成果を共有した上で、理論的深化を試みる。 本課題の目標①アフリカにおける在来知の概念化と理論構築についてはEdward Kirumira(STIAS: The Stellenbosch Institute for Advanced Study, South Africa)、目標②ウガンダにおけるマイノリティの連帯と共同にかかわる調査についてはEria Olowo Onyango(Makerere University, College of Social Sciences, Uganda)、共生原理の理論化および共生モデル・構築研究成果の出版についてはFrancis B. Nyamnjoh(University of Cape Town, South Africa)と研究交流を進めながら、遂行する。 2025年度はISAのforumにおいて本研究課題のパネルを主催し、その成果をNyamnjoh・田原共編でIJJSに2026年までに投稿し、本研究による「共生モデル」の援用可能性を明らかにする。2026年度は日本国内の学会においてアフリカ在住の研究協力者を招聘して、日本社会学会で分科会を主催し、アフリカ的「共生モデル」の研究成果公開を行う。またはびきの市民大学において一般の人々を対象に研究成果の公開を図る。
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