Project/Area Number |
23K22221
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Project/Area Number (Other) |
22H00950 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20294184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 智 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (00343898)
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 教授 (00378283)
山田 由佳子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20304074)
武内 俊次 信州大学, 繊維学部, 特任准教授 (20869804)
金田 理子 神戸大学, 附属学校部, 附属中等教育学校教諭 (70942241)
兒玉 隆之 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (80708371)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
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Keywords | テキスタイル / 持続可能性 / 感性評価 / シミュレーション / 脳波計測 / 故繊維 / 糸特性 / 布特性 / 風合い / 引張特性 / 圧縮特性 / 触感 |
Outline of Research at the Start |
安価な衣服が増え,大量生産・消費されることで製造工程の廃液や,使用後の衣服の廃棄物が環境に及ぼす影響が問題となっている。さらに低コスト・大量生産が招く低賃金・長時間労働の問題ともつながり,国際的な問題となっている。これらの問題の解決のため,SDGsの観点からも長く大切に使用してもらえるような機能性と使い心地を重視した付加価値の高い衣服の製作が重要である。本研究では,使用時に心地よいと感じる布を,繊維・糸の特性から理論的に設計する評価システムを開発することを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
廃棄衣料から作られた再生糸から作成された織物・編物等を試料として、一般製品と遜色ない性能設計のための基礎資料を得るため、主に廃棄衣料から得られた再生糸を入手した。試料は、番手(12番・24番)、単糸・双糸、バージン綿の種類(通常綿N・超長綿L)、故繊維Rの含有割合(30%・50%)の異なる計10種類の糸を緯糸、通常綿100%の80番双糸を経糸としてそれぞれ三原組織で製織された30種類である。それぞれの布試料について、布の風合いの客観的評価にかかわる物理特性を、KES-F(カトーテック㈱)を用いて測定した。測定項目は、引張特性(EMT・LT・WT・RT)、曲げ特性(B・2HB)、せん断特性(G・2HG・2HG5)、圧縮特性(LC・WC・RC)、表面特性(MIU・MMD・SMD)、構造特性(厚さT・重さW)で、一般衣料布の標準的な測定条件で測定を行なった。再生糸から製織された織物の特性は、一般衣料布の各特性値の±4σの範囲に入っており、引張弾性回復率RTが小さく、平織布については、曲げ特性、せん断特性がやや大きく、摩擦係数偏差MMDが大きいという傾向はみられるが、市販されている一般の布地の特性の範疇であることが明らかになった。今後、再生糸の品質評価の標準化を視野に、さらに布の設計に必要な基礎資料としてのデータストックをさらに増やしたいと考えている。 一方で、これらの布の官能評価を行った。これらの布についての既存の風合いの客観評価式の有効性の確認を進めている。また、被験者が生地に触れた時に生じる心的状況を捉えるため、脳波計測を行っている。2023年度に続いて、試料に触れている時および触れる前後の安静時におけるそれぞれの脳機能活動について分析し、触感の官能評価の結果と合わせて比較検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
廃棄衣料から作られた再生糸を用いて製織した織物についてのデータ収集は予定通り進んでいるが、編物(ニット)について試料の入手に時間がかかったため、まだ測定に取り掛かったところで、データ収集が完全ではない。糸の特性の測定、布の特性の測定に予定以上に時間がかかったため、糸から布への理論計算に関して、これから着手するという状況にある。脳波計測に関しては、大学生の被験者については30人程度の評価を得ることができた。さらに被験者を増やして評価の解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
再生糸および再生糸から製織した織物の測定をさらに進めるとともに、2024年度には再生糸から製作された編布(ニット)の測定を進め、理論計算およびシミュレーションに向けて、予定通り、研究を進める。 再生糸から作成された布の品質評価の標準化を視野に、布の設計に必要な基礎資料としてのデータストックを行っていく。布の特性は、引張特性・せん断特性・曲げ特性・表面摩擦・粗さ特性(たて・よこ方向)圧縮特性の6項目について測定を行い、用途別の客観評価式を用いて、布の風合いに関する計算を行う。官能評価の結果と合わせて評価式の有効性の確認を進める。 布にふれることで無意識に誘起される情動の変化を脳機能活動として評価し、これまでの布の物理特性からの評価と組み合わせることにより、個人差のある不安定な官能評価の感性と嗜好の評価を安定的に捉えることに本研究の独自性がある。2024年度は、被験者が生地に触れた時に生じる心的状況を捉えるために、さらに人数を増やして脳波計測を行う。試料に触れている時および触れる前後の安静時におけるそれぞれの脳機能活動について分析し、触感の官能評価の結果と合わせて比較検討を行っていく。 繊維・糸の性質と布の構造から理論的に嗜好を評価できることは、繊維製品の生産において、試行錯誤による製品設計を行う手間を省き、製品設計や製品開発に方向性を与えられるようにデータストックを増やしていく所存である。そして、今年度より、布の風合いの客観評価式と心地よさの脳波試験の結果を比較検討し、布の風合いと脳波試験による心地よさとの関係について考察し、心地よさの評価システムを開発するところにも着手していく予定である。
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