Project/Area Number |
23K22225
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Project/Area Number (Other) |
22H00954 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 登志子 (鈴木登志子) 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (60301313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穂苅 真樹 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (20375223)
石井 香代子 福山大学, 生命工学部, 教授 (20462070)
川上 祐生 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (30453202)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
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Keywords | 嚥下調整食 / 嚥下機能評価 / 機能性食品 / 調理加工 / 慢性炎症予防 / 調理・加工 / 嚥下機能測定法 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,慢性炎症予防効果を有する食品機能性成分の単離同定とその効果の検証,そしてそれを利用した嚥下調整食の開発に取り組む。さらに,食品加工や調理過程でその機能性に変化が生ずるか否かを検討する。その結果をもとに,適切な条件で機能性を有する嚥下調整食を開発し,生体信号を利用した嚥下機能測定法を用いて,嚥下調整食としての生理的適合性を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、健康長寿のための疾病予防として、高齢者のフレイル対策と慢性炎症性予防のために、機能性を付加した新しい嚥下調整食の開発を目指す。慢性炎症予防のためには、炎症誘導性脂質メディエーター合成系を標的とした食品機能性探索を行っている。さらにそれを利用した新規嚥下調整食開発に取り組み、そのために、物性特性だけでなく、生理的嚥下測定が可能な、簡便で非侵襲的な嚥下機能評価系の構築にも取り組んでいる。 炎症誘導性脂質メディエーターのプロスタグランジン(PG)E2は、不飽和脂肪酸のアラキドン酸よりシクロオキシゲナーゼ(COX)-2とミクロソーム型PGE合成酵素-1(mPGES-1)によって生合成され、慢性炎症の惹起や増悪に働く。これまでに、自然薯と含有成分のジオスゲニンが、これらの酵素に対して炎症細胞選択的な発現抑制効果を有することを明らかにし、さらに、自然薯の物性を利用した嚥下調整食への応用に取り組んだ。また、ザクロ葉由来エラジタンニン類は、mPGES-1特異的な発現抑制効果を有し、抗炎症・抗腫瘍効果を有することを明らかにした。別のアラキドン酸由来の炎症誘導性脂質メディエーターとして、ロイコトリエン(LTs)が知られる。この初発酵素である5-リポキシゲナーゼとmPGES-1に対する二重阻害効果を有する機能性食品として、ナツメグ由来マラバリコンCを見出した。 生理的嚥下機能評価系を構築するために、嚥下時の咽頭音を生体信号として採取し、いくつかのパラメーター解析により、嚥下量、性差、年齢差などについて調査し、その有用性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、自然薯などに多く含有されるジオスゲニンが、炎症細胞選択的にこれらの酵素の発現を抑制し、炎症を伴う皮膚がんや急性肝炎の予防や改善に働くことを明らかにしている。ジオスゲニンを含有する自然薯は、強い粘性を有し、その乾燥粉末から調製された増粘剤は、レオロジー解析やテクスチャー解析によって、嚥下困難者に適する物性を有することを示した。さらに、とろみ剤としての有用性を調べるために、コーンプレート型粘度計を用いて、市販のとろみ剤と比較した。自然薯粉末は、濃度を変化させることで容易に粘度調整が可能であり、温度変化に対してやや安定性に欠けるものの、pH変化に対する安定性やα-アミラーゼ抵抗性については、市販の増粘剤と同程度に良好な安定性を示した。さらに、市販の増粘剤では、食塩添加量に依存して粘度が大きく低下するのに対して、自然薯粉末溶液は優れた安定性を示した。自然薯粉末に、機能性を有する嚥下調整食としての可能性を見出した。 慢性炎症予防のための食品機能性の探索において、以下の特徴により副作用を回避した機能性成分が見出されている。(1)細胞選択的効果 (2)二重阻害効果 (3)最終PGE2合成酵素特異的阻害効果。さらに、候補成分の機能性の詳細と、慢性炎症モデルマウスを対象とした効果の検証を進めている。 嚥下時咽頭音を用いた生理的嚥下機能測定法を用いて、20代男女を対象とした嚥下量による比較を行ったところ、本測定法が嚥下量の変化を反映させることや性差を示すことが明らかとなった。また、物性の異なる試料を嚥下した際にも、それに相関した変化が観察された。加えて、性差や年齢差についても、有意差が観察され、本測定法が生理的嚥下評価に適するものであることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在見出している食品機能性成分の中でも、二重阻害効果を有する成分について、それを含有する食品の調理や加工に伴う成分変化と機能性変化について検討を進める。さらに、最終PGE2合成酵素特異的阻害効果を有する機能性成分について、慢性炎症性疾患モデルマウスを対象とした効果の検証を行うとともに、長期投与時の安全性や副作用の有無についても調査する。 嚥下時咽頭音を用いた生理的嚥下機能評価系を用いて、さらに年齢層を広げた調査を実施し、評価系の有効性を検討する。加えて、機能性成分あるいは含有食品を用いた嚥下調整食の開発を行い、物性評価と、構築中の生理的嚥下機能評価系を用いた適合性評価に取り組む。
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