学童保育指導員の「専門性」再考――多領域横断性と力量形成に焦点をあてて
Project/Area Number |
23K22260
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Project/Area Number (Other) |
22H00989 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大谷 直史 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (50346334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 歩子 京都教育大学, 教育学部, 講師 (10615058)
二宮 衆一 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20398043)
代田 盛一郎 大阪健康福祉短期大学, 子ども福祉学科, 教授 (60610011)
松田 洋介 大東文化大学, 文学部, 教授 (80433233)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,910,000 (Direct Cost: ¥10,700,000、Indirect Cost: ¥3,210,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 学童保育 / 専門性 / 親密性 / 集団性 / 総合性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、学童保育指導員の専門性が発揮される局面を、総合性・集団性・親密性の観点から把握し、構造化することを目的とする。具体的には判断を問われる場面を設定した質問紙調査を行うとともに、専門性尺度調査、業務実態調査等、定量的な専門性の把握を目指す。そのため、学童保育実践の参与観察とインタビューにより、指導員が個々の判断に際して、組織的諸条件及び子どもとの関係性を含め問題状況を総合的に捉えるその構造を把握する必要がある。現在実施されている国内外の資格・研修制度に想定されている専門性を明らかにし、理論研究も踏まえて、往還的に各調査を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
専門性尺度調査は、2023年2月に予備調査を実施し、親密性尺度・集団性尺度について検討する材料を得た。指導員同士の関係では、既存の家族研究とほぼ同様、親密性因子と機能性因子が確認された。また同時に、指導員の学習の状況を捉える設問を設定し、様々な学習の形式(研修・事例検討・日々の振り返り等)の関連と学習の総体を捉える試みを行った。おおむねあらゆる形態での学習活動は、専門性を高める方向で機能していることが確認された。 判断の問われる場面調査は、昨年度実施した予備調査の結果を、第12回日本学童保育学会研究大会(中国学園大学、2022年6月)自主企画において発表した。判断の問われる場面において、指導員が持つ視点は、「保護者因子」「(子どもとの)関係因子」「子ども(の特性)因子」「環境因子」に区分され、経験年数は施設や遊び環境を重視する方向で関連があること、子どもの人数が少ないことは「保護者因子」「環境因子」の視点を重視する方向で関連があることが明らかとなった。 業務実態調査については、橋本市の3つの学童において観察を行い、指導員の判断が必要となる場面を抽出するとともに、指導員へのインタビューから労働条件や専門性に対する考え、研修の内容や方法を聞き取った。この他、東京都杉並区、福島県、宮城県等での視察、大阪学童保育連絡協議会での研修に関する聞き取り調査を行った。 以上を通じて明らかになったことは、学童保育を必要とする児童が増え、延長保育、特別な支援の必要性などの増加の一方で、施設や指導員の増加が追い付かず、専門性を向上させる学習の機会が減少している現状である。また大規模化は、よりチームワークを必要とすることとなり、専門性のあり方の変容も感じられた。設置形態の多様化も、企業やNPO法人の増加とともに進行しており、それぞれの状況に即した専門性の検討が必要であることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
判断の問われる場面調査に関しては、2022年度内の本調査を想定していたが、専門性尺度調査と同時に行うことが効率的であり、また相互の関連も検討可能であることから2023年度実施とした。設問内容については、判断を問われる場面調査で設定した8場面の内、判断(回答)が偏るケースもあり、文言の調整等が必要である。親密性・集団性に関する尺度、学習実態を明らかにするための設問はおおむね指標として利用できる見通しがある。 国内調査については、共同調査は一カ所であったが、今後観察項目や聞き取り内容を統一することで対応していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
専門性尺度調査及び判断の問われる場面調査の本調査を全国の学童保育から300か所程度抽出し、約3,000人を対象として実施する。約1,000人の有効回答を想定し、親密性・集団性・総合性それぞれの専門性の関連と、その規定要因を明らかにしたい。とりわけ指導員の学習の様態との関連、経験年数や子どもの人数などの環境要因との関連を問う。またこれまでに行った予備調査の結果を元に、日本学童保育学会研究大会(5月)自主企画で報告を行い、研究の成果と見通しを問う予定である。 国内調査は昨年度から引き続いて継続的に行い、判断の問われる場面調査の設定への活用も見通しながら、実践場面での専門性が発揮される様子を捉えていく。それとともに指導員の学びの様態を聞き取り、専門性との関連を検討する。また国外調査を1か国(スウェーデン)予定しており、日本の学童保育を相対化して捉える視点を得ながら、研修システムの相違や子どもとの関わり方の差異を明らかにしたい。 また引き続き、関連領域(教育・看護・福祉等)における専門性論との比較検討により、学童保育に固有の専門性を明らかにしていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)