Project/Area Number |
23K22319
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Project/Area Number (Other) |
22H01048 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09070:Educational technology-related
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
美馬 のゆり 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00275992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 真男 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (30222342)
市川 尚 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (40305313)
渡辺 雄貴 東京理科大学, 教育支援機構, 教授 (50570090)
美馬 義亮 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 特命教授 (60325892)
根本 淳子 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (80423656)
鈴木 克明 武蔵野大学, グローバル学部, 教授 (90206467)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 自己調整学習 / コンピテンシー / AIリテラシー / エージェンシー / 協調学習 / 議論を基盤とした学習 / ELSI志向PBL / パフォーマンス心理学 / 社会的公正教育 / 文化に関連する教育 / 文化的に持続可能な教育 / 調整学習 / 創造的共感知性 / 成人学習 / 学習スタイル / 正統的周辺参加 / 人工知能 |
Outline of Research at the Start |
21世紀の成人に必要な新たなコンピテンシーの概念を確立し、その育成を目的とした教材を開発する。概念の確立では、新たに追加すべきコンピテンシーの要素(定義と評価指標)を探究考察し提示する。その育成のための教材開発では、学習スタイル(個別学習と共同学習)と、テクノロジーの利用(リアルタイム型とオンデマンド型)について進める。その基礎となる学術領域として、1)教育心理学における自己調整学習、2)学習科学における協調学習、3)教育工学研究におけるインストラクショナルデザイン、の三つの領域を橋渡しして実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、社会課題の解決に寄与するコンピテンシーを、21世紀の成人に必要な新たなコンピテンシーとして特定し、その育成を目的とした教材を開発することである。 そのために今年度は昨年度に引き続き、新しいコンピテンシーの要素の特定、概念化および効果的な育成方法の探索に向け、「①関連理論の探索と理解」、「②学習方法の調査と整理」、「③学習内容の検討と実践の実施」を行うとともに、新たに「④教材開発および実践評価」に着手した。 ①については、ChatGPTに代表される生成AIの登場によって、新しいコンピテンシーとしてAIリテラシーの育成が、子どもから成人に至るまで必要であることが明らかになった。②については、正統的周辺参加、自己調整学習、パフォーマンス心理学における理論研究の動向について調査し、検討した。その結果、コミュニティの活動への参加を通じて、実践的なスキルや知識を身に付けるプロセスに焦点を当てることや、個人が自己表現や自己実現を目指し、周囲の環境との関係を創造的に変革するプロセスに焦点を当てる必要性が明らかになった。社会的、経済的、政治的、環境的危機の状況下にある社会では、社会的公正教育、文化に関連する教育、文化的に持続可能な教育が米国を中心に重視されてきていることも判明した。③については、①②を踏まえ、「議論を基盤とした学習」や、「ELSI志向PBL」という学習方法が有効である可能性が高いことが判明した。④については、先進的な教材提供の例として、米国の非営利団体であるThe AI Education Project (aiEDU) の取り組みに着目した。aiEDUによって開発された教材の分析を行なった。その結果を踏まえ、aiEDUの協力のもと、日本版の教材開発に着手し、それを利用したモデル授業を開発するために、試験的に高校、大学、市民に複数回実施し、課題も見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年末にChatGPTに代表される生成AIの登場によって、新しいコンピテンシーとしてAIリテラシーの育成が、子どもから成人に至るまで必要であることが明らかになった。 そこで今年度は、先進的な教材提供の例として、米国の非営利団体であるThe AI Education Project (aiEDU) の取り組みに着目した。aiEDUによって開発された「Intro to AI」「AI Snapshots」「Project Dashboard」というAIリテラシー育成のための三つの教材の分析を行なった。その結果を踏まえ、aiEDUの協力のもと、日本版の教材開発に着手し、それを利用したモデル授業を開発するために、試験的に高校、大学、市民に複数回実施した。この教材を使用することで参加者は、グループで議論しながらAIリテラシーを高めていることが確認された。また、学習方法の調査と整理を行い、AIリテラシー育成のためには、「議論を基盤とした学習」や、「ELSI志向PBL」という学習方法が有効である可能性が高いことが判明した。 本教材を公開するためのWebサイトを立ち上げた。さらに、具体的に授業内での活用について、学習方法と使用するツールについて検討した。問題を数名のグループで議論するため、意見を可視化し、保存可能な共同作業に適したデジタルホワイトボードを使用した。この機能が、議論の内容の理解と新たなアイデアの創出を支援する有効な方法であることが明らかになった。また閲覧機能は、グループだけでなくクラスという共同体内での相互作用を促進し、協調的な学習活動を活性化すると考えられる。多様な視点の獲得を促し、グループおよびクラス内で共通理解の形成を可能にするツールの役割を確認することができた。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、以下の2つの主要課題に重点を置いて取り組む予定である。まず、④教材開発および実践評価(システムとコンテンツ)、次に⑤コンピテンシーの新側面の理論化と育成方法への展開である。教材開発では、個別学習と共同学習、オンライン学習とオフライン学習、またはそれらの組み合わせについて検討し、評価のための実践を進める。具体的には、学習者が自律的に学べる教材や、協働して学ぶ教材を開発し、それらの効果を評価する実践を行う。また、オンラインとオフライン学習のハイブリッド形式による教育効果も評価する。 さらに、今年度明らかになった課題として、(1)学校での実施における障壁と(2)AIリテラシーの評価方法の未確立が挙げられる。(1)については、生成AIを活用することで教育の効果や効率を高める実践例も報告されているが、一般にはAIリテラシーに関連する授業枠がなく、実施時間の確保が難しい。また、教員の知識不足や、議論を基にした授業スタイルの定着の難しさも課題である。これらの課題を解決するためには、生成AIを利用した教育プログラムの開発と実践が求められる。(2)については、AIリテラシーは、AIに関する知識に基づく、個人の日常生活や未来への意思決定能力として捉えられる。これには、AIの長所と短所の理解、未来のAIに関する想像、意思決定、データからの学習、データの批判的解釈、倫理などが含まれる。評価指針としては、ワークショップの事前事後調査を通じて、AIに関する知識に基づいた意思決定ができるか、活動中の議論がどのように展開しているかなどを考慮する。これらの評価方法を基にさらなる検討を進め、効果的な評価方法の確立を目指す。 来年度も引き続き、教材開発と実践評価の両面から教育の質の向上を図り、多くの学習者に有益な教育環境を提供することを目指し、理論構築とデザイン研究を進める。
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