Project/Area Number |
23K22408
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Project/Area Number (Other) |
22H01137 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
時弘 哲治 武蔵野大学, 工学部, 教授 (10163966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間田 潤 日本大学, 生産工学部, 教授 (80396853)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥15,210,000 (Direct Cost: ¥11,700,000、Indirect Cost: ¥3,510,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
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Keywords | 血管新生 / 内皮細胞動態 / 離散数理モデル / 形態形成 / 楕円体粒子モデル / 離散力学系 |
Outline of Research at the Start |
多細胞生物におけるさまざまな形態は、多細胞間の時空間的相互作用によって形成される。近年、形態形成過程での「集団的細胞運動」が注目され、関与する分子群や細胞間相互作用のダイナミクスが明らかになってきたが、どのような原理や法則で秩序ある形態を形成するのかを細胞生物学的立場から統合的に説明できるには至っていない。 本研究では、血管新生から血管網形成における樹枝状構造および管腔構造の形成を題材とし、計測データから抽出された血管内皮細胞の動態に注目した数理モデルによるアプローチにより、普遍的な形態秩序の構築原理への発展も視野に入れて、多細胞動態による生体における形態形成の機構を解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究提案の目的は、多細胞運動によって営まれる血管新生における細胞動態の法則性を見出し、それがどのようにして樹状構造および管腔形成、さらには拍動を伴う原始的な心臓形態までの形態的秩序形成を可能にするのか、実際の観測データを基に数理モデルを用いて研究し、in silico 実験可能な数理モデルを構築することである。 今年度の研究では、これまでの2次元の数理モデルを3次元に拡張したモデルを構築し、樹状構造を再現し、本質的パラメータとして2次元同様に細胞の扁平率が考えられることを示した。このモデルでは、内皮細胞を3次元の楕円体粒子によりモデル化し、その動態を離散力学系によって表し、粒子間の2体相互作用として、細胞の排除体積効果による斥力、仮足の接触で生じる接着分子発現による引力、接触により生じる自己駆動力と回転力、を採用した。また、内皮細胞の形状を表すパラメータとして、楕円体の軸方向の比率(扁平率)、細胞核の位置の変位を考え、内皮細胞の位置及び方向に関する2体相関、ボックスカウンティング次元の閉ペイ率依存性を求めた。東京大学栗原研究室で行われた実験データと比較した結果、定性的には良い一致を示すことがわかった。ただし、分枝の長さについては、実際のin silico実験のデータに比較して、数値計算ではかなり長くなっている。実験状況にもよるが、より定量的に一致する数理モデルの構築が必要である。 また、4年に一度開催される国際応用数理学会ICIAM2023では、"Mathematical models of morphogenesis and morphological deformation in living organisms"と題したミニシンポジウムを主催し、パリ大学のBadoual教授をはじめ4人の専門家に生体における形態形成に関する講演が行われ、活発な研究討論ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、3次元の楕円体モデルへの拡張結果を解析して、扁平率が重要なパラメータであることを再確認し、予定した相関関数やボックスカウンティング次元の解析ができ論文を完成させた。これらの結果を欧文誌に投稿したところ、さらなる実験結果との比較検討を求められたため、東京大学医学部栗原研究室の内島助手らによるin vivoでの3次元系の実験データを入手し、比較検討を行った。また、栗原研究室の礪波助教らが中心となって、内皮細胞運動の詳細な解析を行った結果、遺伝子操作などの効果について数学的な考察を加え、まとめることが可能となったため、修正も含めて何度かの欧文誌とのやり取りの結果、次の論文を発表することが可能となった。 Kazuo Tonami, Tatsuya Hayashi, Yasunobu Uchijima, Masahiro Kanai, Fumitaka Yura, Jun Mada, Kei Sugahara, Yukiko Kurihara, Yuri Kominami, Toshiyuki Ushijima, Naoko Takubo, Xiaoxiao Liu, Hideto Tozawa, Yoshimitsu Kanai, Tetsuji Tokihiro, Hiroki Kurihara,“Coordinated Linear and Rotational Movements of Endothelial Cells Compartmentalized by VE-cadherin Drive Angiogenic Sprouting”, iScience, Volume 26, Issue 7, 107051(2023); https://doi.org/10.1016/j.isci.2023.107051 以上の結果から、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最初に取り組む内容は、ECM(細胞外器質)の効果である。これまでの研究からECMが血管の分岐に強い影響を与えることがわかってきた。これまでのモデルにおいて、密度依存性を入れて分岐則をルールとして与えたモデルは別として、楕円粒子で近似した場合には分岐は生じるものの、1次元的な血管から2次元的な空間への広がりについてはまだ定量的に実験結果に合致する結果が得られていない。そのため、近年パーシステントホモロジーのアイデアを用いて進展した画像処理による細胞動態と分岐のデータをもとに、ECMの影響をよりよく表現する数理モデルの構築を進める予定である。特に、ECMを連続体としたモデルと離散的に異種細胞が配置されたモデルのどちらが適切であるかを考察したい。 次いで重要となるのは、管腔構造形成の数理モデルである。これまでの楕円粒子モデルおよび楕円体粒子モデルを拡張して内皮細胞が、血管網形成の後期段階で折り畳み可能となるとしたモデルの精密化について考察したい。単純には、円筒形の血管断面を考え、1細胞内での接着力と反発力のバランスで管腔構造を生じるとし、ある程度管腔構造に近いものが得られたが、まだ、トイモデルの段階である。本年度は、これまで成功してきた楕円体粒子モデルにおいて扁平な変形が可能としたモデルを用いて管腔構造形成の有無について、研究分担者とともに予備的な数値シミュレーションを行うことを予定している。 また、コロナによる渡航制限が解除され、対面での研究集会が以前のように開催されてきたため、国内外との研究者との直接の交流の機会も増えたため、海外の研究者との交流のために海外渡航や海外からの研究者の招聘を行いたい。さらに、当該分野の若手育成のために研究集会への協賛および若手研究者を積極的に招いての研究討論も続けてゆく予定である。
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