Theory of quantum computation in topological magnets
Project/Area Number |
23K22418
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Project/Area Number (Other) |
22H01147 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
宇田川 将文 学習院大学, 理学部, 教授 (80431790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 隆史 東京大学, 物性研究所, 教授 (50421847)
高吉 慎太郎 甲南大学, 理工学部, 准教授 (80710722)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | Kitaev磁性体 / 非可換エニオン / 走査型トンネル顕微鏡 / Haldane磁性体 / 非平衡ダイナミクス / キタエフスピン液体 / 量子スピン液体 / 量子計算 |
Outline of Research at the Start |
量子スピン液体と呼ばれる磁性体では、励起の分数化という顕著な現象が現れる。すなわち、ミクロな棒磁石であるスピンがN極のみの粒子とS極のみの粒子に分裂する。また、1ビットの情報が分裂して情報が非局所化される。本研究では情報の非局所化が生じる典型的なシステムであるKitaev模型と、その非局所的な情報の担体である非可換エニオンに注目し、固体中で基本的な量子計算操作を実現するための理論基盤を構築することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はキタエフスピン液体のカイラルスピン液体相における素励起であるvisonのダイナミクスを記述する有効Hamiltonianの構築を行なった。また、その有効Hamiltonianを用いてキタエフ相互作用が強磁性的な場合、反強磁性的な場合それぞれにおいてvisonの一粒子ダイナミクスを解析し、visonの一粒子バンド構造を決定することに成功した。また、走査型顕微鏡(STM)や核磁気共鳴(NMR)などの実験プローブを念頭にvisonの局所磁場に対する応答を調べた結果、反強磁性的なキタエフ相互作用の場合には局所磁場によりvisonが束縛状態を形成することを見出した。これは走査型顕微鏡の探針に強磁性体を用いて局所的な磁場印加を行なうことによってvisonを捕獲できる可能性を示唆する。すなわち、非可換エニオンとして振る舞うvisonのbraidingを通じたトポロジカル量子計算を実行する応用の見地から極めて有望な結果である。また強磁性的なキタエフ相互作用の場合にも限定的ではあるが、束縛状態の形成を確認した。この束縛状態形成はvisonの一粒子バンドがChern数をもつことから理解できる。すなわち、Chern絶縁体に半整数磁束を局所的に挿入することによって束縛状態が形成される機構がここで働いていると考えられる。 またvisonのダイナミクスとは別に、カイラルスピン液体相において原子欠損を用いてvisonを局所的に捕獲する理論提案を行なった。さらに二箇所の原子欠損にそれぞれvisonを捕獲すると、その間に非局所的なスピン相関が生じることを見出した。また、この非局所相関の発生機構にはキタエフスピン液体において、Mott gapに起因するフェルミオンパリティの保存が本質的であることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では量子スピン液体やHaldane物質に代表されるトポロジカル磁性体を用いて、固体中で基本的な量子計算操作を実現するための理論基盤を構築することを最終的な目標として目指している。特に、磁性体の素励起の実空間操作によって素励起の内部空間に生じるアダマール変換等の作用を検証し、またドイチュコードなどの基本的な量子計算アルゴリズムを実行して実験的に測定可能な観測量を通じて検証することが具体的な目的である。 昨年度はキタエフスピン液体のカイラルスピン液体相における素励起であるvisonのダイナミクスを記述する有効Hamiltonianを構築し、その有効Hamiltonianを用いてキタエフ形相互作用が強磁性的な場合、反強磁性的な場合それぞれにおいてvisonの一粒子ダイナミクスを解析してvisonの一粒子バンド構造を求めることに成功した。さらに、STMやNMRを念頭にvisonの局所磁場に対する応答を調べた結果、反強磁性的なキタエフ相互作用の場合には局所磁場によりvisonが束縛状態を形成することを見出した。この結果は非可換エニオンとして振る舞うvisonのbraidingを通じたトポロジカル量子計算を実行する応用の見地から極めて有望な結果であり、当初の計画では期待できなかった大きな成果である。 また、visonのダイナミクスとは別に、カイラルスピン液体相において、二箇所の原子欠損にそれぞれvisonを捕獲し、その間に非局所的なスピン相関が生じることを具体的な計算を通じて見出した。この成果はキタエフスピン液体を用いた測定型量子計算の実行の可能性を示唆するものであり、やはり当初の研究計画作成段階には予想できなかった大きな成果と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、固体中の散逸環境下での素励起のダイナミクスについて調べる。Kitaev 模型に vison のダイナミクスを引き起こす非可積分的な相 互作用を導入して解析する。特に、braiding に伴う位相情報が量子計算において本質的であるが、その効果がvison の分散関係や散乱行列などの基本特性にどのような影響を与えるかを調べる。また、固体内で散逸を引き起こす電子、格子振動などとの結合による位相情報への影響 を明らかにする。また実験プローブとの相互作用について考え、STMを通じて導入された電荷、あるいは探針自身との相互作用を考慮し、visonが保持する量子情報に対する影響を調べる。また、量子スピンアイス、Haldane磁性体についても、量子情報の観点からそのダイナミクスに焦点を当てた解析を行う。 具体的な研究内容として、Kitaev模型において、vison pair(quartet) が励起された部分空間 を考え、visonのダイナミクスについて厳密対 角化を用いた解析を行う。また、外部環境との結合を考慮し、STMの探針との相互作用をKitaev模型に対する局所場の効果として取り入れ、vis on特有の応答について吟味する。また、STM探針を通じて振動磁場を印加する状況を考えて、その非平衡応答を調べ、visonの捕獲、操作の可能性について考察する。量子スピン液体を実現する典型理論模型である、Toric code模型、量子スピンアイス、Haldane磁性体についても、同様の立場から解析を行なう。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)